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木造建築と石場建て伝統構法の建築家【東風】(大阪、京都、兵庫、奈良)

伝統構法石場建ての家を新月伐採材でつくる /京都市HEADLINE

概要・コンセプト

ゆるやかにむくらせた京都らしい表情のN様邸外観

京都市内に石場建て伝統構法住宅を建てられたN様。
N様のお宅の設計を進めていく中で、東風からは様々なご提案をさせて頂きました。

「原木を伐採するのですが、静岡まで観に行ってみませんか?」
「伐採した木材を静岡で製材するのですが、観に行きませんか?」
「家の壁を土壁にしようかと思われるのならば、せっかくなので石場建て伝統構法にしませんか?」

通常の家づくりにおいて、木材の製材や伐採に建築主様ご自身が現場に立ち会うということは、ほとんどありません。
しかしこのような過程をご覧になられ、林業家や製材所の職人さんたちに会って言葉を交わし、木が育ってきた現場に足を運んでその場所がどんなところか全身で感じたことは、N様にとってかけがえのない機会となったようです。
このN様邸の工事をきっかけに、東風でも原木を使った家づくりを積極的に行うようになった、とても思い入れの強い現場です。

N様のお宅で使った構造材(柱・梁など)は全て東風で行った新月伐採材のみを使っています。
木材は静岡の鈴木林業さんがこの現場のために伐り旬の新月期を選んで伐採してくれたもの。
山で葉枯らしし、1年間天然乾燥させました。

構造材の緊結には金物を一切使っていませんし、建物自身も基礎となる石の上に置いてあるだけで、ボルトなどで固定されてはいません。
巨大地震の際には、ギシギシと大きな音を立ててしなやかに揺れるでしょうが、ちょうど紙相撲の力士のように石の上を跳ね回り、エネルギーを吸収させて構造材へのダメージを最小限に留めるのが石場建て伝統構法の最大の特徴です。

   → 石場建て伝統構法とは?

   → 石場建て伝統構法と在来工法の違い

そして土壁の伝統構法石場建ての家は、夏涼しいのも嬉しいところ。
古い民家に入ると夏でもひんやりした記憶をお持ちの方も多いと思いますが、これは厚み約8pもある土壁が多くの湿度を調節してくれるからこそ実現できることです。

シロアリ対策としても、石場建て伝統構法住宅はもっとも理にかなっています。
シロアリの侵入経路が特定しやすく、またもし侵入されたとしても発見が容易であるというのがその理由です。

N様の石場建て伝統構法住宅は、これから何代も住み継がれて200年以上の歴史を刻んでいくことでしょう。

建物をつくる過程

新月伐採を静岡で行いました。樹齢110年の杉 静岡市梅ヶ島産の樹齢110年の美しい杉
左写真 : 静岡市の山中で原木を伐採した時の様子
右写真 : 大黒柱の製材作業中。樹齢110年の杉

長さ9.5mの静岡産杉の原木を製材。原木は鈴木林業、製材はひかる製材
伐採した木を葉枯らし乾燥させ、初夏に静岡で製材を実施した時の様子。1本ものの原木の長さは9.5m。
手前に写っているご夫妻がN様。

京都で代々名栗(なぐり)加工を手がける原田銘木の原田隆晴氏
伐採に立会った思い出の木で玄関上り口の式台(しきだい)を作り、名栗(なぐり)加工を施した作業の様子

京都市初の石場建て伝統構法住宅建て方。設計施工/木造建築 東風 長ホゾと鼻栓で通し柱と胴差しを緊結する
左写真 : 建て方の時の様子
右写真 : 金物を使わず、長ホゾと鼻栓で通し柱と梁を緊結する石場建て伝統構法

石場建て伝統構法の壁。竹小舞と半年寝かせた荒壁。左官工事は山本左官工業
建物全ての壁は竹小舞下地を網み、現場で半年寝かせてグレーに変色した壁土を塗りつけています。
筋交いが1本もないのも石場建て伝統構法の大きな特徴です。


建物の写真

石場建て伝統構法住宅_切妻屋根の外観

むくり屋根が来訪者を優しく迎える、石場建て伝統構法の家 雨落ちと一文字瓦が美しい石場建て伝統構法の家/京都市
左画像 : 来訪者をやさしく迎え入れるような表情を出すために、屋根のラインが全体にゆるやかな弧を描く
       『むくり』をつけ、軒先の高さを極力低く抑えたつくりにしました。
       → むくりとは?

右画像 : 玄関前の軒内に立って庭を見たところ。
        庭石の多くは、この敷地内にあった古い石を取置き、再設置しています。

中塗り土コテ抑え仕上の内壁と杉板張りの天井 新月伐採材を名栗(なぐり)加工した杉の式台
左画像 : 玄関内観。天井板にも緩やかなむくりをつけ、柔らかな雰囲気にしています。
       壁は中塗り土コテ抑え仕上。
右画像 : 玄関上がり口の式台詳細。赤身の幅広板に名栗(なぐり)加工を施しました。
       適度に凹凸のある足触りが心地よく、傷がついても目立ちにくいので大変好評です。

間接照明が照らす吹抜けの空間と薪ストーブ。石場建て伝統構法の家/京都市 薪ストーブは犬も大好き
吹きぬけのあるリビングと薪ストーブ。針葉樹も遠慮なくガンガン燃やせる薪ストーブはカナダのハンプトン社製。
この薪ストーブ1台を焚けば、吹き抜けとリビング全体が暖められます。N様が飼っていらっしゃる犬のなずなちゃんも薪ストーブの前が大のお気に入りで、冬場は薪ストーブの前に寝転び、いつもうたた寝・・・ZZZ。
リビングの照明は壁面に設けた間接照明のみ。昼間に見ると「これではいくらなんでも暗すぎるのでは・・・?」と感じますが、夜になると目が暗順応するため、この明りでも問題ありません。
とても落ち着いた雰囲気に心が和むと訪れた方からも好評です。

杉の分厚い一枚板で作ったダイニングカウンターは伐採に立ち会った新月伐採材。京都市 薪ストーブと吹き抜けと間接照明
南面に大きなガラスの開口を伴ったリビングからは、冬場になると室内の奥まで日光が差し込み、晴れた日の日中は暖房要らずで過ごせます。
夏は太陽が頭上高く上がるので、深い軒が日射を遮るように軒の深さと高さを設計しています。

ダイニングカウンターと中塗り仕上げの土壁。京都市の石場建て伝統構法住宅 ステンレス製のシンプルなキッチン
左画像 : ダイニングカウンターの板も、伐採に立ち会った原木から挽いた無垢の幅広一枚板を使っています。
右画像 : キッチンはシンプルなステンレス製。ステンレスなのでお手入れも気兼ねなくできます。

階段の床板には原木から切り落とした板を使用。京都市 階段の手摺には北山杉の磨き丸太入節を使用
階段の板も、伐採した原木から全ての材料を用意しました。手摺には京都産北山杉の磨き丸太入節があるものを採用。
京都の数奇屋の世界では、入り節をエクボと見立て、お客様を笑って迎えるという意味で好まれます。

竹小舞下地が隠れてしまうのが惜しいと塗り残した下地窓
2階の壁の一角に、壁下地の竹小舞を塗り残した下地窓を設けたのは、N様の奥様のアイデア。「職人さんがせっかく苦労して編んで下さった竹が全部隠れてしまうなんて・・・」と仰った奥様の言葉から、それなら下地窓にしましょうということになりました。

杉板張りの洗面脱衣室内観 間接照明が照らす吹抜けの木組み。石場建て伝統構法住宅/京都市
左画像 : 洗面脱衣室内観。窓の前の板はベンチになっていて、奥様が所望されたもの。
       入浴の際に着替えを置いたり、お風呂上がりにちょっと腰掛けてゆっくりしたり、とても便利です。
右画像 : リビング上部吹抜けの木組みは、夜になると間接照明に照らされて全く別の表情を見せます。
       近くの道からも吹抜けの木組みがチラッと覗けるのですが、まるで建物全体が行灯になったようです。

伐採した場所に杉の苗木を植樹しました 植樹された杉の苗木
建物が竣工した翌年に、N様ご夫妻は静岡の林業家の提案に応じて静岡まで再び足を運び、伐採した森に杉の苗木を植樹して下さいました。この木が大きく育って素材として使えるようになるまでには、これから約100年かかりますが、どんな風に育って、どんな風に使われていくのか、今からとても楽しみです。


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