築1300年の法隆寺と、築後60年で壊される戦後の木造住宅
日本でつくられた木造建築なのに、なぜこれほど寿命が違うのか?
世界最古の木造建築である、法隆寺。
築後1300年を経て、今なお十分な耐久性を持ち続けています。
その一方で、主に都心部で50-60年前に建てられた木造住宅は、とても立派な建物に見えても
「安全性に問題がある」
と言われて当たり前のように解体され、その後また数か月も経てば、また別の新しい建物が完成します。
どちらも同じ日本に建っている木造建築です。
もちろんどちらも日本人がつくったものです。
しかし一方は1300年経ってもまだまだ大丈夫で、もう一方は60年で危険だと判断されて壊される。
私たちは慣れっこになり、多くの方は疑問を感じていないかもしれませんが、これはとても不思議なことだと思いませんか?
しかし両者の間には、つくり方・素材・ディテール・デザインなど、様々な点においてとても大きな違いがあるのです。
また、その違いについてきちんと解説される機会はほとんどありません。
これからの時代において、
・モノを大切に扱う
・永く使う
・不必要なごみを出さない
という価値観は、とても重要です。
1300年を誇る、圧倒的な世界最古の木造建築文化が現存している日本。
その背景には、大きなヒントが隠れていました。
300年という時間を超えて愛され続ける価値とは?
私たちがご提供しているこの講座では、新築した後も数百年にわたって愛され続ける木造建築をつくる際の考え方や、つくり手が留意していることなどについてご説明しています。
この講座で学べる内容は以下の通りです。
1. 石場建て伝統構法(いしばだてでんとうこうほう)と、在来工法の違いについて
伝統構法とは、築後1300年経過している法隆寺や、各地に残る古民家などの工法
在来工法とは、戦後に建てられた木造建築全般に用いられる工法
2. 築100年以上の古民家の木材と、現在流通している木材の違いとは?
3. 伝統的な木造建築の価値について
金物を一切使わずに構造材を組み上げる技術
竹と土とワラだけで数百年もの耐久性を誇る壁
これらのつくり方と、その価値とは?
4. 数百年~1,300年という時間を超える価値のために必要な視点とは?
この講座は、例えば以下のような方々のためにご提供しています
・日本の伝統的な木造建築や古民家に興味がある方
・築100年以上の古民家に住んでいて、耐震性能などに不安を感じている方
・日本の伝統的な建築の価値観や、職人の技術・つくり手の想いについて学びたい方
・数百年という時間軸で物事を考える視点を学びたい方
私達は伝統的な木造建築をつくる専門家です
私は 株式会社 木造建築 東風(もくぞうけんちくこち)の代表取締役 佐藤仁と申します。
当社は奈良県御所(ごせ)市という場所に事務所を構え、300年先まで愛され続ける、美しい伝統的な木造建築の設計・改修・施工を手掛けています。
掲げている企業理念は、
「世界に、300年先も美しい風景を」
自社で原木の買付けと自然乾燥を行い、熟練した大工職人と、設計・現場監督スタッフで運営している小さな会社です。
奈良県御所市名柄(ながら)地区の歴史的なまちなみを維持するために、集落内で再生した古民家に事務所を構え、
木造家屋をまちなみに合わせてリノベーションした、一棟貸しの宿泊施設も運営しています。
古民家の再生や、石場建て伝統構法(いしばだてでんとうこうほう)の新築などを手掛けながら、
日本の伝統的な木造建築について学ぶ、2泊3日のプライベートツアーを訪日外国人向けにも実施しています。
300年先も愛され続ける木造建築の価値とつくりかたを体験し、
その背景にある考え方や姿勢を学ぶ
この講座の内容は4つのセクションにわかれています。
Section-1. 世界からみた日本の木造建築とは
Section-2. 素材/木についてもっと深く知る
Section-3. 職人の技術力を体験し、伝統構法の価値を体験する
Section-4. 洗練された設計と、最新技術の融合
この講座は実物と映像を体験して頂くために築115年の古民家で行い、その価値を十分に味わって頂くために最大5名以下で実施します。
それではその内容を、もう少し詳しくご説明します。
Section 1 世界からみた日本の木造建築とは
まずは日本の木造建築が世界から見て、どれだけ特徴的なのか?についてお話するのが Section 1 です。
細かい内容は、以下の通りです
・世界最古の木造建築が法隆寺だ、ということは多くの方がご存じだと思います。
でも2番目に古いのは? 3番目は? TOP10は?
そこには驚くべき事実がありました。
・日本の木造建築は、他の国の木造建築に比べてとても繊細にできています。
ではなぜ日本の木造建築は、圧倒的に繊細なのでしょうか?
その理由や背景は、日本の豊かな自然が関係していました。
・みなさまが家を取得される理由、それは
「幸せを味わいたいから」ということでしょう。
では幸せを味わうために必要なものとは何でしょうか?
Section 2 素材/木についてもっと深く知る
Section 2 は木材についてお話しします。
・木造住宅をつくる際、よく使われる木は杉か桧です。
では杉やヒノキが、芽が出てから育成し伐採されて建材となるまでに、
どのくらいの時間がかかるのかご存じでしょうか?
・当社が伝統構法の家をつくる場合、構造材(柱・梁・土台など)に使う木材は、材木屋さんではなく、山で林業家の方から買っています。
一方、ほとんどの工務店さんやハウスメーカーさんは、木材を材木屋さんで買うはずです。
では材木屋さんで買う木材と、山で買う木材とではどこが違うのでしょうか?
Section 3 職人の技術力を体験し、伝統構法の価値を体験する
Section 3 は職人の技術力についてお話しします。
・伝統的木造建築の最も大きな特徴は
「金物を使わずに構造材を組み上げること」です。
このように木と木を継いだり、組み合わせたりする技術・部位のことを
仕口(しくち)、継手(つぎて)
と呼びますが、この仕口や継手について、実際の模型を組んだり外したりして体感して頂きます。
・わたしたちが行っている伝統構法の家づくりでは、ほとんどの壁を昔ながらの竹小舞と土でつくります。
最近はこのやり方を見ることが少なくなりましたが、このやり方でないと伝統構法の大切な価値をつくることができないので、今でもこのやり方を踏襲しています。
その価値・性能や理由についてご説明します。
Section 4 洗練された設計と、伝統構法×最新技術の融合
Section 4 は設計についてお話しします。
・建物をつくる上でもっとも重要なことは、安全性能です。
雨風をしのぎ、巨大地震でも倒壊しないこと。
そのためにはまずは形を守ることが重要なのですが、それはいったいどんな形でしょうか?
・本当に美しいものは、余計なもの・無駄なものがとことんそぎ落とされています。
美しいデザインとはどんなものか?
100年、300年経っても色あせない美しさとは?
ということについてご説明します。
・伝統的な木造建築という言葉からは、古臭いデザインで冬はとても寒い
という建物を想像するかもしれません。
上記の建物は伝統的な木造住宅でありながら、明るく開放的で、
家中どこにいても寒くない断熱・気密性能を持っています。
私たちは、寒くて暗い建物では、特に子供たちから愛されることは難しいと考えています。
小さな子供たちが
「この家大好き~♪」
と屈託なく言ってくれるような建物であるべきで、そのために断熱・気密は重要だと考えています
この講座は、日本を訪れる外国人旅行者向けに実施した、大変好評のプログラムでした
このプログラムは元々、日本に来られる外国人旅行者向けに提供する、2泊3日のコンテンツの一部として開発したものでした。
少人数で開催し、忌憚なく直接質問をすることができることもあってお互い親しくなることが多く、毎回とても喜ばれています。
しかし本来は外国人観光客の方々よりも、これから家づくりに取り組むみなさまや、数百年という長いスパンの視点に立って考える姿勢を必要とする経営者の方々にこそきちんと知っておいてもらうべき内容だと思い至り、当初のプログラムの内容を少しアレンジしてご提供することにしました。
品質が高く末永くていねいに愛される建物を望む方々や、信念がブレることなく経営する方々のために、長期にわたって愛される伝統的木造建築をつくり続ける者からのメッセージとしてお伝えしたいと考えて再編しました。
所要時間と料金について
この講座は、建物の見学なども含めて約4時間を要します。
料金はお一人様¥55,000-(税込)。
(ただし、12歳以下のご同伴のお子様からは料金を頂きません)
開催日時の設定は、お申込みを頂いた後で個別に調整させて頂きますので、曜日や時間帯などはできる限り受講者様のご希望に沿う形で対応可能です。
また、遠方から奈良県御所市へ来られる方もいらっしゃると思いますので、その際は当方で運営している 宿泊施設/東風の宿 をご利用いただく事も可能です。
(宿泊料金は別途必要です)
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