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4. 民家再生〜古材研磨


今回の建物は新築の木造住宅ですので、構造材はほとんどが新材(新しく製材した木材)です。
柱・梁・造作材全てに吉野杉を使います。
しかし、リビングの吹き抜け部分に架かる梁だけは、施主であるW氏のたっての希望により、古材を使うことになりました。
民家から解体してきた古材は、ススけていたりホコリを被っていたりしているので、そのままでは使えません。
しかし、磨いたり削ったりしてあげることで、とても豊かな表情を引き出してあげることができます。
女の人のお化粧と同じ事ですね。





左 : 今回使う古材(合計5本ありますが)のうちの2本です。
    今回の古材は全て松です。
    これから表面を削って仕上げていきます。

右 : これも仕上げる前の古材です。
    表面が黒くススけていますよね。



左 : 一度全体を削った後、表面に焼け色を付けるためガストーチという携帯式のバーナーで焼いていきます。
    作業をしているのは施主のW氏です。

中 : バーナーで焼いたところは黒く焦げているのがよくわかりますね。
    これはとても根気のいる作業です。
    W氏は長さ6m の古材を約2時間かけてゆっくりゆっくり丁寧に焼いていました。

右 : 焼いた後。
    表面を細かい紙やすりで仕上げました。
    きれいに色が付いたでしょ?



左 : さてこれは上記のバーナーで焼く方法とは別のやり方で仕上げている途中です。
    左半分は汚れたままの黒い状態。右半分は粗く表面の汚れを取ったところです。
    紙やすりでススやベンガラなどの塗膜だけを削り落としていくのです。
    今回は新しい杉材と古材とを取り合わせて使うため、古材独特の ” ちょっと汚れた感じ ” を残したまま、
    全体をきれいに磨いて仕上げる、というデリケートな方法を採用しています。
    よく行われている古色塗装はしません。
   なかなか良さそうな顔が見えてきたと思いませんか?

右 : 5本全ての研磨作業が完了しました。
    夜になってしまったため、倉庫の中に5本の梁を並べてみました。
   水銀灯の下でストロボ撮影したので、古材の色が飛んでしまっていますね。
   5本の古材の太さ・形や木目の表情などを見ながら、実際の空間を想像して、
    「あの梁はここ。こいつはその隣にしよう」
    などと W 氏と二人で梁を配置する順番を決めました。
    古材の研磨作業はこれで完成です。

外装工事
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