北斜面で育った木なので、年輪が詰まっていて端正な顔立ちをしています。
筋状に入った柱表面の凹みを【絞り】といいますが、特に深く鋭く入った筋をエクボ(笑窪)と呼びます。
筋状に入った柱表面の凹みを【絞り】といいますが、特に深く鋭く入った筋をエクボ(笑窪)と呼びます。
今年の春から墨付に着手した京都市左京区のU様邸が完成します。
京都市内のU様邸では、大工工事も完了し、左官工事が行われています。
U様邸の一般の部屋の壁は、全てほたて漆喰ライトという材料を使って仕上げています。
北海道のホタテの貝殻を砕いたものを原料にした壁材です。
ただ、玄関だけは少し違った材料で仕上げました。
完全には乾ききっていないので、まだ湿った壁の色になっていますが、左官屋さんといろいろ相談して、ほんまもんの土を塗って仕上げています。
下の写真は壁の仕上材の塗り見本をかなり至近距離で撮影したものです。
右側(緑よりも右)が、現代の和室などで一般的に良く使われているせんいジュラク壁
左側(ガムテープより左)が今回使ったホンマの土です。
どちらも少し表情を出すために、
左官屋さんに頼んで細かいスサを混入してもらっていますが、右のせんいジュラク壁の方がザラザラしていて表面に凹凸があり、左の土壁の方がペタッとしたマットな感じに仕上がっているのがお分かりになると思います。
(下の画像をクリックしてみてもらうと、もう少し拡大できます。)
今回、U様邸の玄関では、京都らしいしっとりとした雰囲気が出るようにと考えて、四角く製材した角柱ではなく、丸太のような丸みが残った杉の面皮柱(めんかわばしら)と磨き丸太ばかりを使いました。
↓ 磨き丸太と土壁
丸太の筋のように影が見えるところは柱の表面が凹んでいます。
これを【絞り(しぼり)】と言いますが、U様邸では
天然の絞りが
控えめに入った木を選んで使っています。
天然の絞りに対して、人造の絞り、というのもあるのですが、
それを書き始めると長~くなってしまうので今回はやめておきます。
壁の色にムラがあるのは、乾き始めているところと
まだ濡れているところがあるためです。
↓ 面皮柱(めんかわばしら)と土壁
タテに建っているのが面皮柱です。
木目(もくめ)が出ているところは、表面を削って平滑に仕上げている【面】の部分
一方、壁際の木目が無くて少しベージュ色が濃いところは、木の皮をむいただけの【皮】の部分
1本の柱に面と皮とが共存しているので、面皮柱といいます。
これらの磨き丸太と面皮柱は、いつもナグリ加工などでお世話になっている、京都の銘木屋/中儀銘木店さんが用意してくれました。
中儀さんの面皮柱は、市場で仕入れてきたものではなく、全て自社の山で生産したものばかりなので、履歴や木の素性、育った環境などもはっきりしているし、よく目が詰んだものばかりなので品(ひん)が良いです。
面皮柱や磨き丸太は、角柱と違って角が立っていないので、室内が柔らかな雰囲気になります。
その面皮柱の繊細な表情を引き立てる壁として、しっとりした雰囲気の土壁を採り合わせたくて、今回は土を塗って仕上げてもらうことをU様にご提案したところ、この組み合わせになったというわけです。
もちろん、少しザラザラしたせんいジュラク壁でもいい雰囲気になるし、実際巷間ではよくやられていますが、土壁のしっとり感は、せんいジュラク壁には出せない良さがあります。
尼崎市のH様邸、無事に竣工し、昨日お引越しを済まされました。
先週の初めに竣工写真を撮ってきましたので、何点かお披露目します。
まずは外観から(↓)
1階の外壁は吉野杉(赤身・板目)
2階の外壁は白漆喰抑え仕上げです。
屋根には少しむくりをつけています。
上り口の式台 (↓)
材料は杉で、いつもの原田さんに化粧なぐりを施してもらったものです。
リビング内観(↓)
構造材は全て現しで、静岡県産の杉(新月伐採材)
床板は静岡県産の桧 厚み40mm
1階和室(↓)
襖紙には、京唐紙の太渦(ふとうず)という文様を型押しした、朱色の紙を使っています。
紙の色・文様は、クライアントのH様が選定されたものです。
2階子供室から吹き抜けを見たところ(↓)
2階の床板は静岡県産の杉・厚み40mmを使っています。
工事中のご不便にもご理解・ご協力を頂いた近隣の皆様
いつも陰ながら応援してくださる、東風ファンのみなさま
関係してくださった各職方と東風スタッフ
クライアントのH様
みなさまのおかげで素晴らしい家に仕上がりました。
心より、御礼を申し上げます。
(株)木造建築 東風 佐藤 仁
今日からついに8月ですね。
毎日強烈な暑さが続いています。
外でお仕事されている、交通整理の方や、工事関係者の方、始終走り回らないといけない宅配・郵便の方々などを見かけるにつけ、本当に頭が下がる思いです。
みなさま、体調を崩されませぬよう、暑さ対策を充分になさって下さい。
僕も外で体を動かして仕事をする時は、必ず長袖を着たり、頭に濡れタオルを巻いたりして気をつけています。
ほんのちょっとの注意で、おどろくほど疲れが違うので対策は重要ですね。
さて、ご報告が遅くなってしまいましたが、先月下旬に尼崎市内で完成見学会を開催させて頂きました。
当日現場へご来場頂いたみなさま、開催を快諾して下さったH様、本当にありがとうございました。
「すごく木の香りがしますね」
「居心地が良くて、つい長居してしまいました」
「(周辺の町並みと比べて)ここだけ雰囲気が違いますね」
などなど、みなさまからお褒めの言葉も頂き、大変嬉しく感じております。
ところで。
京都市内で工事が進んでいるU様邸では、内装の大工工事が完成に近づいてきております。
↑ リビング上部吹抜けの小屋組み
いつも通り天井は張らず、小屋組みの構造材をそのまま見せて仕上げます。
断熱材はこのもう一層上にしっかり入っていますから安心です。
昨日も最も暑い時間帯にこの家の2階で図面を描いていたのですが
風も抜けるせいか、暑くは感じませんでした。
↑ 1階玄関からリビングの方向を見たところ
手前の上部に写っている斜めの板張りの天井が玄関の天井板です。
後姿の大工さんの頭上に緩やかに登っている丸太梁は、
リビングと吹抜けに架かる、桧の丸太です。
写真を見ていただければお分かりかと思いますが
この家はものすごく軒を低くして作っています。
しっとりとして居心地の良い、落ち着く空間に仕上げるために
東風では建物の高さや軒の高さは、できる限り低くします。
↑ リビングに架かる階段も、ほぼ形が見えてきました。
軽やかな雰囲気に見せるために、各部材を小さく
したいのですが、あまり小さくしすぎると強度が確保できない
というところで、現場担当の当方スタッフや大工さんとも
何度も詳細に検討してこの形になりました。
写真では雰囲気まで伝えきれないのが残念ですが、
現場のみなさんが力を結集してくれたおかげで、
とてもいい階段に仕上がりそうです。
階段の形は、どこの現場でも特に気を使います。
○ 決してこれ見よがしなデザインにならないように。
○ でも、「この階段、きれいね~」と感じて頂けるように。
○ 安心して昇り降りしていただけるように。
ということを考えながら、家の中での位置や全体の
プロポーションなどから樹種・寸法を決めていきますが
出来上がるまでは、
「ちゃんと思ったように仕上がるかなぁ・・・」
と実は毎回心配です。
でも毎回、現場のみなさまのおかげで、問題なく
きれいに仕上がって一安心、という結果に落ち着きます。
いつもありがとうございます。
6月に上棟した京都市U様邸新築工事現場では、内装工事が急ピッチで進んでいます。
今回の現場では、大工の鮫島さんから
「構造材の刻みを行った後、上棟までに全ての内装部材の加工もあらかじめ済ませてしまう」
と提案があり、いつもと違うやり方でやってみたのですが、これが功を奏して現場の進み具合が通常よりもかなり早いです。
今後はこのやり方で行こうかと思うのですが、その反面、現場内には材料が山積みです(苦笑)。
↓ 2階の床板を張る、鮫島稔さん。
今回の床板はいつも通り、杉板厚み35mmの本実加工した無垢フローリングです。
階段の段板は、巾240mm× 厚み40mmの杉1枚板です。
赤身の張った、きれいな板です。
↓ 若手大工の井野さん。
このときは書斎入口の建具枠と壁下地を起こすところでした。
↓ 下の画像はリビングに面したL型の階段設置中の写真です。
材料は全て杉を使っています。
杉の中でも赤身が張った大径木から採った材料を使っており、
杉独特の穏やかでかつメリハリのある木目が美しく見えるように
と配慮したデザインにしています。
この階段は、U様邸の中でも象徴的な存在になりそうです。
少し先になりますが、また完成したら画像をお届けします。
どうぞお楽しみに。
↓ 階段部材の刻み・加工から設置までは、全て大工の鮫島透さん
が手がけてくれました。
下の画像は、階段の側桁を設置しようとしているところです。
今日は尼崎で見学会の最終日です。
午後からは、にわか雨の予報。
昨日も昼過ぎにざっと強く降ってくれたおかげで、大変過ごしやすくなりました。
毎日夕方に降ってくれるといいんですけどね(笑)。
今日は雨の予報です。
少しは暑さが和らいでくれるといいんですが・・・。
さて、明日と明後日は尼崎市内のH様宅にて完成見学会を開催する予定です。
↑1階LDKと大黒柱。
大黒柱は桧の8寸角。
棟木まで1本で到達する長さにしています。
床板は桧の幅広フローリング(厚み40mm)
写真の窓枠で区切られた薄暗いところがキッチンです。
↑ 吹抜けから見通した2階内観の様子。
大黒柱に刺さっている地棟も桧です。
一般的には丸太梁には松を使われることが多いのですが、東風ではいつも桧を使っています。
木材表面の肌理の細やかさ・美しさが松と桧では全く違うためです。
現場を見て頂ければ、そのあたりも良くお分かりになっていただけると思います。
見学会の詳細についてはこちらをご覧下さい。
明日の土曜日はご来場予定者が少なく、今のところ、ゆっくりご覧になっていただけると思いますよ。
日曜日も見学は可能です。
まだまだお申込を受付けています。
たくさんのみなさまのご来場、お待ちしております。
※見学会は終了しました。
たくさんのみなさまにご来場いただき、心より感謝申し上げます。
京都市左京区内で工事中のU様邸・玄関の式台に使うための材料に、いつもの原田さんに化粧なぐり加工を施してもらいました。
クライアントのU様にも立ち会ってお見せしたかったので、原田さんには1時間ほどかけて上京区にある中儀
(なかぎ) 銘木店さんへ来て頂きました。
手を下す前に、材料をじっと見つめる原田さん。
この板は和歌山県産の杉の板です。
一番玉(木の一番根っこ)の原木から採りました。
北斜面に生えていた木なので目(=年輪)が詰んでいて、杢が中心部にぎゅっと集約されたきれいな板です。
写真奥でチョウナを振り降ろしているのが原田さん。
手前で板を抑え付けているのは、中儀銘木店の小西さんです。
なぐり加工が完了した時の状態です。
今回は板の見付部分
(画像で言うと右端部)は、なぐってしまわずに皮付きの状態で磨き仕上としました。
7/21(土)-22(日)の2日間、尼崎市にて完成見学会を開催します。
下の画像は、リビング上部吹抜けにかかる丸太梁と手摺の工事中の様子です。
見学会の詳細についてはこちらをご覧下さい。
たくさんのみなさまのご来場、お待ちしております。