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竣工して3年。伝統構法・石場立ての家@京都市
昨日(2013.02.19)は、外構工事のご相談で、京都市N様のお宅に寄せていただきました。
2010年竣工の伝統構法・石場立ての家です。
こちらのお宅は、東風にとって、この上なく大切で思い入れの強い家ですが、
行く度に素敵に住んでいらっしゃるご様子に感心します。
最近飼い始めた犬のなじゅちゃん(メス)が、薪ストーブの前でまったりしてました(笑)。
薪ストーブの目の前が、彼女の定位置なんだそうです。
↑ 「ん? な~にぃ~?」
↑ 竣工した時に撮った写真は調度品が入っていなかったので少し味気ないものでしたが、
やはり生活が始まると空間に断然潤いが出てきます。
↑ 左脇に写っているのは、ご主人の趣味であるLPレコードの棚。
ご主人はオーディオや音楽が大好きで、ダイニングカウンターの下にも
びっしりCDが並べられていますが、使われているアンプは何と真空管です。
↑ 昨日は定期点検をする目的もあって、2階へもおじゃましました。
上の写真は、たくさん入り節がある北山杉磨き小丸太でつくった階段手摺。
竣工当初に小さな割れが何箇所か入ってしまったので、割れがどんどん
大きくなっていかないように・・・と心配していたのですが、もう大丈夫なようです。
住み始められてから数年経った家へお邪魔して、お客様の楽しそうな表情や
暮らしぶりを拝見させて頂くのは、建築家にとって、とてもうれしい瞬間です。
作り手としては、「いい建物ができたなぁ~」と感じる竣工時も、もちろん魅力的
なのですが、やはり建物はお客様のために作っているわけですから、それを
喜んで・気に入って使ってくださっている様子は、何物にも代え難い喜びです。
このお宅の家づくりの全容は木造建築 東風(こち)の以下のページでご覧になって頂けます
→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html
(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を
高齢・大径木の樹皮と霜/原木からつくる木の家
先日、いつも × いつも東風がお世話になっている、兵庫県三田市の西本製材所に行った時のこと。
その日は、朝から大工さんが墨付け作業を行うことになっており、AM 07:30 ごろに製材所へ着いたのですが、寒い日だったので至るところに霜が降りていました。
西本製材所さんの敷地内には、そこらじゅうに大きな原木がごろごろ転がっているのですが、そんな中でも特に大きな原木は、やはりそれだけ古い(=高齢の)木ということになります。
人間と同じで、木も100年、200年、300年と生きながらえてくると、いろんな傷やシワ・ゆがみやクセなどが表面に表れてきて、樹齢50年程度の若い木では、逆立ちしたって出せない凄みや迫力のようなものがにじみ出てきます。
とかなんとか、つたない言葉で説明しても全然伝わらないと思うのですが、やはりそういう高齢・老齢の原木の表面に、その日の朝は霜が降りていて、しかも朝陽で照らされた陰影が何とも言えない美しい姿になっていました。
そんな一瞬の姿を写してみたのが下の写真です。
↑ 3本の異なる樹種の原木が並んでいました。
手前から、樅(もみ)の原木、中央が松、一番奥が桧です。
どれも全て針葉樹ですが、樹種によって表面の樹皮ってこんなにも違うものなんです。
↑ これは樹齢約300年の杉の樹皮です。
杉の樹皮も、樹齢100年ぐらいまでは真っ直ぐきれいに並んでいることが多いのですが、
これだけ高齢の木になると、こんな風に樹皮の方向もバラバラで、年輪もしわくちゃ×
入り乱れたようになっていきます。
↑ これは松の木です。
この木は伐採されてからかなり年月が経過しているようで、表面の白太
(辺材)部分が傷んでいます。
しかしこうやって白太が傷んでいても、芯材(赤身)の部分は全く傷んで
いないため、製材してあげれば素晴らしい木になります。
風化して傷んでいる表情の下には、宝石のような美しい木目が隠れている
のですが、そのアンバランスさ加減を想像すると、この荒れ果てた表情からも
内に秘めたすごい迫力を感じます。
一般的には、【建築用材としての木】というと、木目や節が見えているものを
みなさんは想像されると思いますが、こういう原木の時に木を見ると、その表面や
形、年輪などから、それまでの木の歴史・育った環境など、実はいろんな情報が
読み取れるんです。
すごくおもしろい世界なんですが、でもそんなことを言っている僕は、ちょっと変人?
マニアックすぎますよね・・・(苦笑)。
移築された江戸時代の石場建て伝統構法/横浜・三渓園に行ってきました
2/7-8の2日間にわたり、日本民家再生協会の研修会+会合に参加するため横浜・東京へ行っていました。
2/7は横浜市内にある三渓園へ。
2/8は横浜市内の街並みを見て歩くツアーに参加してきました。
三渓園は、原三渓という事業家が個人で建物を収集してつくり上げた名園です。
関西にあった江戸時代の建物も、園内には多く移築されています。
和歌山→大阪→横浜と移築されてきている建物ですが、横浜に来るまではもともと瓦葺だったのを、この地に移した原三渓が杮葺き(こけらぶき)にしたとのこと。
職人も施主も素晴らしい眼力・想像力です。
この後、普段は公開されていない臨春閣の内部を特別に見学させていただきました。
これも日本民家再生協会のおかげです。
やはり間近で材料を見られると、当時の作り手の想いを随所に感じることができますから貴重です。
発想がいいなぁ
天然林の中に佇んだことがありますか?
上の写真は、ブナの天然林の中で撮った写真です。
天然林とは、簡単に言うと人の手が入っていない林のこと。
古い木が自然に倒れて腐っていったり、その後に新しい木が育っていったりする、というようなサイクルが人の手を借りずに自然に行われていく森林。
これが天然林です。
天然林の反対は人工林。
人工林は杉や桧、松など、産業に用いるための木材を、人が管理し、苗木を植えて育て、最終的に収穫(=伐採)してまた植えるという具合に、常に人間が面倒を見てあげている森林です。
人工林=木の畑、と言った方がわかりやすいかもしれません。
天然林と人工林はどちらも人間が生活していく上で欠かせないものです。
どちらも大切なんですが、しかし天然林の中へ入ってその場に佇んでみると、そこはとてつもなく優しく強いエネルギーで満たされているのを感じることができます。
そのエネルギーは言葉で説明できないのですが、あまりに素晴らしいのでぜひ1人でも多くの方に体感して頂きたいと思い、4/20(土)に天然林を感じるツアーを開催することにしました。
静岡市内の北部、山梨県との県境付近の天然林を訪れます。
当日は地元の林業家にガイド役をお願いし、森のこと、山のこと、いろんな木々のこと、土のこと、山に住む動物たちのことなどなど、山を一日かけてゆっくり歩きながら、林業家の説明を聞き、天然林を感じてもらいたい。
そんなツアーです。
お申込や当日のスケジュールなど、詳しいことはこちらのページでご紹介しています。
以前にもこのブログで一度ご紹介しましたが、天然林と人工林の違いをごくかいつまんで理解して頂くために、短い動画ファイルをアップしています。
興味のある方はご覧になってみてください。
立春/東風5年目のスタートです
今日は立春。
この春は雨のスタートですが、今朝、外に出たとたんに
「あれっ?、暖かいなぁ」
と感じました。
文字通り、春を予感させる日になりそうです。
立春は木造建築 東風(こち)の誕生日です。
旧事務所名(サトウ都市環境デザイン)から改称したのが4年前の今日。
事務所を2000年に立ち上げてから13年半経ちました。
(独立記念日は9/3ですから13年半。←ややこしいですね・・・すみません)
東風事務所の玄関に入ると、この扁額が掛けてあります。
4年前、事務所名を改称する時に、奈良県室生の芦田紀男様が揮毫して下さり、それを扁額に仕立てました。
孔雀の羽を束ねた筆で書いて下さったものです。
板は愛媛県の友人・Kさんがプレゼントして下さったもので、山桜の古材を削り直したもの。
4年前に比べると、だいぶ日に焼けて色合いが落ち着いてきました。
この板は、木裏使いにしています。
拡大表示していただけると木目が見えると思いますが、先述の芦田様に揮毫をお願いする時に、この板も一緒にお預けしたところ
「右上に年輪のような渦があり、これが広がっていく銀河のように見えるから、この方が良いんじゃないか?」
と見立てて下さり、木裏使いにしました。
この1年も、みなさまのお役に立てるよう、スタッフ一同全力で頑張ります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
4/20(土)、静岡市葵区で標高1700mの天然林を全身で感じるためのツアーを行います。
申込受付開始しました! 詳しくはこちら。
借景大きなアキニレの木/雑木の庭づくり、木の家をつくる建築家
久しぶりにお茶の稽古へ/木造専門建築家の茶道稽古
昨夕、3ヶ月ぶりに茶道の稽古へ行ってきました。