月別アーカイブ: 2012年12月

伐採した桧を見に、今年最後の山へ/木造専門建築家、原木からつくる木の家

2012年、最後の現場です。
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2日間、静岡の山奥・葵区梅ヶ島へ行っていました。

目的は2つ。
今月中旬に林業家に伐採してもらった桧を見ることと、在庫の木材を整理することです。

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1日目。
夕方から雪が降り始め、茶畑もうっすら雪化粧。

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茶畑の脇に立つ栗の木。

秋にはたくさん実をつけた栗の木も、今ではすっかり落葉して
冬の佇まいです。

2日目の朝。

昨夜雪を降らせた湿度が山にまとわりついたのか、
あたりは朝から一面の深い霧。

すぐ目の前の木ですら、少し霞んでいます。

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ここの標高は約550m。
北東向きの急斜面・尾根付近に植林されている桧の山です。 

長谷川等伯筆・国宝 松林図屏風を思わせる雰囲気です。

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この桧が植えられたのは、今から約90年前。

地盤は割れやすい石交じりの砂地で、水はけが良く痩せていて
しかも北向き斜面なので、植物にとっては非常に育ちにくい条件です。

上の画像を見て頂くと良くお分かりになると思うのですが、樹芯
付近の年輪の幅が特に細かく、ほとんど数えられません。

この年輪の詰まり具合からは、植林後1020年のこの木が若い時に
とても苦労して育った木であることがよくわかります。

大事に大事に使ってあげないといけないなぁ・・・と
責任のようなものを感じます。 

 

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この桧は割と太くて通直だったので、根元の1番玉を使って
長さ7m×240×240の大黒柱を採ることにしました。

樹皮から見るところ、製材したら節は出てくる木ですが、
まっすぐ伸びた素直な良い柱になりそうです。


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先ほどの木の根元の部分を接近して写したもの。
年輪の詰み具合や木の太さがわかるように自分の手を
一緒に撮影しましたが、年輪の偏りもなく、とても素性の
良い木です。

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上の画像は、先ほどの木とは別の木ですが、この木は
根元付近の曲がりが大きかったので、化粧丸太梁として
使う予定です。

長さは7mで伐る予定。

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桧を育てるための人工林の中にも、広葉樹である
こんな楢(なら)の木が立っていました。

心ある林業家が、山のことを考えてちゃんと残したんでしょうね。
観ていてうれしくなりました。

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東風(こち)の家づくり youtubeチャンネル/和風、木の家、木造専門の建築家

東風でこれまでに撮った動画をyoutubeにアップしています。
(東風サイトのトップページにもリンクのバナーを貼りました)

ちなみに、今アップされている動画は以下のとおりです。

  ○ 人工林と天然林の違い
  ○ 土壁のつくり方
  ○ 化粧なぐり作業
  ○ 実大建物 振動実験
  ○ (原木の)製材
  ○ (原木の)玉切り
  ○ 新月伐採

興味のある方は覗いてみて頂けると嬉しく思います。
これからもボチボチ増やしていきますので、よろしくお願いします。

→ 木造建築 東風(こち)の Youtube チャンネル

天然林と人工林の違いを動画で見られます/木の家、和風モダン、木造建築東風

森林には、大きく分けて天然林と人工林の2つがあります。
東風は建築屋ですから、人工林(=針葉樹林)にはよく足を
運ぶのですが、天然林に行く機会は、実はそれほど多くありません。

人工林と天然林に優劣があるわけではなく、目的や役割が
違うのですが、天然林に足を踏み入れると、人工林には
ない自然のエネルギーというか、満ち満ちている生命力と
いうか、そういう目に見えないものをひしひしと感じます。

言葉でうまく表現できないのが残念ですが、来年の4/20(土)に、
標高1700m付近に広がる天然林(奥山)まで歩き、その場の
エネルギーを全身で感じてもらえるツアーを静岡市で行うことに
なりました。

当日は、現地の林業家が案内と解説をしてくださいます。
 

主催は日本民家再生協会(http://www.minka.jp/)です。
(木造建築 東風は企画・運営面で協力しています)

申込受付け開始は年明けになりますが、天然林と人工林の違いを
みなさまにご理解いただくためのビデオを作製したのでご紹介します。
もしよろしければご笑覧下さい。

ぜひ参加してみたい!天然林に行ってみたい!という方は
4/20の予定を今から空けておいて下さいね。
受付け開始したら、また改めてみなさまにお知らせします。 

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来年の年末から、東風のお歳暮は桧のまな板にします

唐突ですが、思いついたが吉日、ということで公約しておきます。

少し前から考えていたんですが、来年の年末から東風のお歳暮は桧のまな板にします。
あらかじめまな板用の木(ヒノキの幅広/柾目板)を製材しておかないといけないので、
残念ながら今年はできませんが、今シーズン伐採する桧から作り始めることにしました。

毎年、新しい桧のまな板で新年を迎えてもらえたら気分がいいだろうなぁ、と思いまして。
再来年のお正月、新しい桧のまな板で新年を迎えたい方は、どうぞこちら(↓)へ(笑)。

 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2212年に言ってもらえる家

四条畷市/伝統構法・和風の家で薪ストーブの位置変更&美しい夜景

先週の土曜日は、5年前に竣工した大阪府四條畷市のT様宅へ1日行っていました。
以前からお使いいただいていた薪ストーブを別の位置へ設置し直すためです。
朝7:30から晩の20:30までずうっと現場にいたのですが、久しぶりにじっくりと家の様子を観ることができました。
特に夜景は今まであまりきちんと観たことがなかったような気がするのですが、いろいろと再発見がありました。

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作業の本題、薪ストーブの移設。
薪ストーブ屋さんは3人がかりで、何とか一日で仕上げてくれました。

今回のストーブに関する工事は、京都の京阪エンジニアリングさんが手がけてくれました。
まず煙突を外し、煙突の塗装がはげていた部分を塗り直し、新しく煙突を設置する位置で屋根に穴を開け、板金屋さんと手分けしながら煙突設置や防水作業を進めてくれました。

要所要所で僕も写真を撮ったり、作業をサポートしたりしながら監督していたのですが、同時に僕が外壁の杉板を張り直したり屋根の板張りをしていたので、板金屋さんからは「大工さん」と呼ばれるし(←面倒だからと否定しなかった僕も悪いのですが・・・)、なんだか不思議な立ち位置でした(苦笑)。

さて、そんなこんなで職人さんたちが作業を進めて下さっている間、ちょっと暇をみつけると、写真を撮りながらいろんなところを観ていきました。

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上の写真はリビング上部の吹抜けの入隅に設置した照明器具です。

当時、照明器具の作家さん(女性)に依頼して作ってもらった、つるを網んだような照明。
土壁に落ちる影がきれいでした。

実は吹抜けの四隅にそれぞれ異なったデザインの小さな照明器具を配置しています。
全て作家の方が考えてつくって下さったものです。

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リビング上部吹抜けの見上げ。
縦長の大きなまゆのような証明器具も、同じ作家さんの手によるものです。

各所に仕込んだアッパーライトが、幾重にも重なった木組みをほんのり照らして、いい具合に効いてました。

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今までまじまじと観た記憶がなかったような(恥)、玄関の夜景。
自分でお客様にご提案しておきながらこんなことを言うのもナンですが、なかなかいいなぁと思ってしまいました。

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2階から吹抜けに架かる梁ごしに観た階下のリビング。
梁は木曽の大工さんが提案してくれた、ヒバ(あすなろ)の太鼓摺りです。
普通、関西ではこのような丸太には赤松を使うことが多い(というか、8割以上は赤松)のですが、所変われば品変わるという具合で、

「ヒバでどうか?」

と大工さんから言われた時は、

「う~ん・・・、どんな感じになるんだろう・・・。
 想像できないけど、そう言って下さっているんだから
 一度ためしにやってみようか」

というような感じでしたが、これが大正解。
この物件をやってから、東風では丸太梁に桧を使うようになりました。

(↑さすがにヒバは関西では入手が大変)

これまで東風の現場をご覧になった方はご存知かもしれませんが、
赤松に比べると桧やヒバの丸太は表面の肌理が細やかで、上品な感じがします。

そしてなによりも、桧は乾燥が早い!
松よりもずう~っと早く乾きますから使いやすいし、入手しやすいのも助かります。

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