先日、兵庫県淡路市のT様邸古民家改修計画現場へ行った時のことです。
T様との打合せが終わり、これから改修計画を立てる建物の材料や状態を見ていました。
もともとしっかりした建物であることは、以前調査した折にわかっていたのですが、床の間の材料を良く見ていると大変珍しい玉杢の材料が使われているのに気付きました。
現場がちょっと暗かったことと埃をかぶっていたので、樹種の特定まではできなかったのですが、ケヤキかタモと思われる表情の、上品な玉杢の床框でした。
T様がおっしゃるには、この家は100年前に地元の名家からここへ移築されてきた建物だとのこと。
それを聞いて、なるほどなぁ~と合点がいきました。
僕らは古い建物を観るとき、まず材料を観ます。
それから建物全体の構成や細部の仕事やデザインを観ます。
建物が残されるか否かにおいて、もっとも大切なのは材料の良し悪しと全体の構成です。
材料は良いけれど、全体の構成が悪い・・・という残念な建物は、近年建てられたものの中には割と多いのですが、100年くらい経過している建物の中にはほとんどないですね。
昔の職人さんは基本をきっちり抑えていたからでしょう。
近年は設計者と施工者の分業が進んできたことや技術が進んだ弊害で、建物をつくる上での基本が軽視されているように感じます。
そうすると、基本構成が全然できていないのに、材料だけはものすごく立派・・・というバランスの悪い建物が増えてしまうのです。
・・・と、話がそれてしまいました。
T様のお宅は、100年前に移築されようとしている時点で、すでに最低でも50-60年は経っていたでしょう。
(材料から推測する限り、200-300年経っているようには見えませんでしたので)
こうやって大事に大事に使われ続けてきた建物を今からまた再生しようとしている。
とても大切なことですね。
こんにちは。
先日は、お忙しいなか現地まで来ていただいてありがとうございました。
お話を伺っていると、良い材料で作られてたんだなぁ~と、改めてリフォームできること、嬉しく思います。
せっかくの家も施主の方があまり理解してないばかりに、物置状態でしたから(苦笑)。
設計の方よろしくお願いします。
Tさん、コメントありがとうございます。
床框の写真を掲載しようかと思ったのですが、あまり写りが良くなかったのでやめておきました。
後年になって恥を掻かないような、きちんとした再生をしたいですね。
どうぞよろしくお願いします。