苦肉の策

決して褒められた話ではないので投稿するのを迷ったのですが、何かの参考になればと思い書いてみます。

床がリビングよりも2段下がっているキッチンに降りるためのステップを工夫してみた事例です。

kitcenstep10
キッチンの一番下にある引き出しを引っ張り出そうとすると、リビングからキッチンに降りるためのステップが邪魔になり、○印部分で引き出しに当たってしまいます。
kitcenstep2

そこで、引き出しを開ける際にはあらかじめステップの半分を半回転させて持ち上げ、その後で引き出しを開けるようにしました。

あらかじめ申し上げておきますが、これは苦肉の策です。
一番スマートな解決方法は、この板巾の分だけ部屋の巾(=建物の巾)を広げてしまうことです。
そうすればわざわざこういったことをしなくても済みます。
なぜこうなったのか?をお話しますね。

「システムキッチンのフロアユニット(※)を引き出し型のものにしたい。
キッチンの大きさはこれ以上小さくしたくない。」
と言われる奥様。

「キッチンの床はリビングやダイニングよりも低いレベルにして、お互いの視点高さを一致させたい。
(→つまりキッチン内に必ず1段の階段が必要)」
と言われるご主人。

お二人のご要望を共に実現し、
「梁の組み方・大黒柱の位置などの構造面とコストを考えると、部屋の間仕切位置は動かせない。
かと言ってステップの巾をもっと小さくすると、巾が狭すぎて実用的ではない・・・。」
という東風の設計事情のすり合わせると、こういった解決方法に至りました。

※フロアユニットとは、カウンターの下にある収納部分のこと。
開き扉タイプと引き出しタイプがありますが、最近は引き出し型が好まれています。

こういうアイデア(?)がインテリア雑誌などで採り上げられる際は、きっと
「ムダな空間を有効に利用した、一挙両得の優れた解決方法!」
であるかのような説明文がつくんでしょうね。きっと。
( ↑ マスコミに対する僕の偏見?)

でもプロの視点からすると、これは決して最善の方法ではありません。
ですから、「へぇ~」と感心して安易にこのような手法を使うことは避けて頂きたいのですが、諸事情によりどうしても他に解決方法がない・・・という場合にはこういうことも可能です、ということをお伝えしたくて書いてみました。

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