無言の先生

工事中の現場が一通り完了し、このところ設計物件が重なっています。
設計・設計・設計・・・の日々です。

東風は設計事務所なので設計は本業なのですが、現場に出られないのもちょっと寂しいです。

でもそう言っているうちに現場が始まると、
「あちこち走りまわらないで、じっくり腰を落ち着けて設計がしたい」
と言い出しそう・・・なんて思うと、勝手なもんだと自嘲。



今日は久しぶりに古民家の調査で兵庫県丹波市の現場へ行きます。

どんな家だろう、どんな材料だろう、どんなことを考えてつくられた家だろう、と考えるとワクワクしてきます。



古い家は昔の大工さんと頭の中で対話ができるから楽しいんですよね。

古民家の調査現場で、じぃ~っといろんなところを見ていると、
「なぜこうしたんだろう」
「どうしてここにこの材料を使ったんだろう」
なんていう疑問が次々に湧いてきます。

それらに仮説を立てては確認し解答を与えていく、という読み取り作業をしているのですが、それが建てた棟梁との対話です。

その人の気持ちになって考える。
同化するような感覚ですね。



どこまでその棟梁の気持ちに近づけるか。
どこまで読み取れるか。

自分の力量が試されている、と感じる時でもありますから気が抜けません。
でもその分、毎回学べることは多いですね。

会ったこともない、無言の先生に対峙している瞬間です。

 

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