昨日に引き続き、静岡で行った製材のレポートです。
先週の火曜日に、120年生の杉の大径木を製材しました。
直径は一番細いところで60cmありました。
木の一番根元の部分を1番玉(いちばんだま)といいますが、この木はもちろん一番玉です。
写真で見てお分かりの通り、右側が根元の方ですね。
一番玉は太さも大きくなるのですが、枝(=節)も出にくくて、とても美しい木がとれる確率が高いのです。
製材していくにつれて、もっと節が出てくるかと思ったのですが、芯(中心)の方に近くなっても全く節が出ず、とても美しい杢の板が次々取れました。
昨年まではこういった大径木の1番玉は入荷していなかったのですが、今回の木を伐採した山はとても目の詰んだ美しい木が出る、標高の高い北斜面だったので、特別に太い木を何本か発注しました。
目的は和室の天井板と建具の鏡板をとるためです。
木から板材をとるための製材をする時には、外側から薄く少しずつ挽いていきます。
一枚一枚挽くたびに、
「もう節が出てしまうのかな・・・どうか出ませんように」
と冷や冷やしながらスリリングな一瞬が続きます。
製材はやり直しが効かないので、どんな厚みの板をとるかという判断をし続けなければいけません。
これまで120年かけて育ってきた木を挽くための判断を下すのは、大変な精神的重圧がかかります。
でもいい板がとれたときは、これまで育ててきてくれた林業家のみなさんの想いや木の魂に応えられたような気がして、すごく嬉しくなります。
これは一番中心の部分までスライスしたところの写真です。
ここまでくるとさすがに節が出てきますが、芯に近くなるにつれて杢が細かく・美しくなっていきます。
この板はカウンター材として使うように、厚み70mmと少し厚めに挽きました。
上の写真が今回とれた天井板です。
末口の赤身の部分だけで巾40cm以上あり、俗に言う尺三(1尺3寸)巾の天井板が8畳間2部屋分取れました。
この板はこれからゆっくり乾燥させて、天井板かまたは建具の面材として使う予定です。
今からどんなものに仕上がるか、とっても楽しみです。
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