長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。
雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。
結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。
上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。
この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。
このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。
もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。
上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。
家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。
これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。
細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。
部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。
材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。
遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。
設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。
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