5月下旬の上棟に向けて、京都市N邸の構造材墨付け作業が本格的に始まりました。
昨日は刻む場所に行って、朝から大工さんと一緒にまずは木出し作業を行いました。
木出しとは、それぞれの木の癖や面(つら)を見て、どの位置にどの向きでつかうかを決定していく作業です。
まずはこんな風に材料を馬(←木で作った台のこと)の上に並べて、比較・検討できるようにします。
写真に写っているのは、背7.5寸と8寸の杉の梁です。
こうやって並べてみると、木目が上品でおとなしい木、少しひねくれたくせの強い木、色の黒い木などそれぞれにいろんな個性を持った木であることが良くわかります。
各々の木の面以外にも、元末(もとすえ)や背と腹を見て木を使う方向を決め、番付(ばんづけ)を打っていきます。
昨日は胴(=2階床)回りの木材を全て出しました。
墨付け作業を行っている大工の西田さんです。
西田さんは墨付け~刻みの工程が大好きだそうで、今回は墨付け用に墨壷の糸も一段細いものに入れ替え、さしがねを墨付け専用の柔らかい地金のものを持ってきていて、準備は万端です。
これから1ヶ月くらいかけてじっくり墨付けを行い、そこから刻みに入ります。
実はこの墨付け作業に入るまでに、この現場を担当するうちの女性スタッフが昨年の末からずっと原寸図を描いてきました。
今日はそのうちの1枚だけをご紹介します。
(もっともっと大作もあるんですが、大きすぎて読み込めません)
画像をクリックすると拡大表示できます。
最近では現場でもほとんど見る機会がなくなった原寸図ですが、この現場の原寸図だけでも彼女は通算100枚以上描いているでしょう。
本当に熱心に、根気よくていねいに描いてくれています。
( ↑ 当然、上記の中には変更でボツになったものや書き損じなどもありますが)
しかし、この図面が命です。
この図面をどこまで書き込むかによって、建物の完成度がまるで違ってきます。
墨付け作業に取り掛かるまでに大方の原寸図を描き終えることができて、ちょっと一安心です。
設計事務所で今だに原寸図を描いているところはと~っても少ないでしょうね。
しかもうちは原寸図だけは絶対に手描きです。
(本当は一般図も手描きの方が良いんですが・・・)
手描きの意味は描いた人にしか判らないと思いますが、この原寸図はコンピューターで描いたのでは絶対にダメです。
別に、スパルタ式にしごくとかイジワルな意味でこんなことをやっているんではないのですが、こんなご時世だと前時代的だとか思われてしまうんでしょうね、きっと(苦笑)。
でも、こうやって作り込まないとできない建物があることを、きちんと次の世代に伝えていくことが僕の使命です。
なんと言われようと曲げません。
(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を
お、お~~~っ! 画面が新しくなっている。
新しい画面に☆☆☆☆☆
迷い込んでこちらを拝見しました。この図面だけと思いたいですが、わざと突っ込み所満載の原寸図を出したのですか?
まず鴨居の目違をなぜ樋端側に入れているのですか、将来の材の変形を考えれば、当然鴨居上端に入れるべきです。しかも、本当にこのように施工したら差鴨居の樋端の部分の木余りが足りないので、割れてしまうと思います。
これは冗談だと思いますが、建具を本当に図面のように作るとクリアランスが足りないので嵌め込めない野ではありませんか?などなど
厳しい言い方で恐縮ですが、もう少し勉強されたほうがよろしいかと思います。
通りすがり様、はじめまして。
ご指摘ありがとうございました。
建具のクリアランスの件は仰るとおりですね。
実際の施工の際には、もう少し大きなクリアランスを取っています。
樋端の件は、通りすがり様がおっしゃるように考えるのがセオリーだとこちらも良く理解しております。
ご指摘の点も含め、いろいろな事情を考慮した上で今回はこのように判断しました。