今年の春に静岡で製材をしたときの写真を整理していたら、1枚おもしろい写真が出てきたのでご紹介します。
上の写真はどちらも杉の原木を挽いた時に出たおがくずですが、右と左で全然違うのがお分かりでしょうか?
左のものはジト~っと湿った感じですが、右のものはさらさらパラパラって感じで吹けば飛びそうですよね?
これは原木の中の水分(含水率といいます)の違いによるものです。
もちろん、右の乾いたほうが水分が良く抜けていて、左のものは木の中にまだたくさんの水分があるボトボトの状態です。
木を伐採した直後、木の中には水がしたたり落ちそうなほどの水分があります。
そこから葉枯らし乾燥をかけたり寝かせておいたりすることで木の水分は下がっていくのですが、その前にまず
【1年のうち、いつの時期に伐るか?】
ということがとても重要です。
木は生き物なので、春から夏にかけて水をどんどん吸い上げて、光合成を活発に行い、成長しようとします。
そして秋の彼岸を過ぎると成長するのを抑えるようになり、そこから次の春までは水をあまり吸い上げなくなります。
建築用材として使う際には、強度が大きく、狂いの少ない木材が優れています。
最終的には含水率が20%以下に落ちた木材です 。
木材は含水率が低ければ低いほど、強度は逆に上がります。
(不思議ですよね?)
ですから上の写真でみると、左の湿ったおがくずが出る木よりも、右の乾燥したおがくずが出る木材の方が良い、ということになるのです。
来月下旬には、昨年同様また静岡で伐採を行います。
この伐採は出荷できる量が非常に少ないのですが、
〇 1年で一番いい時期に木材を伐採し
〇 理想的な状態でゆっくり乾燥させ
〇 建物にとって一番いい長さ(←継がない1本物)で出材する
という原則をしっかり守って行っています。
なぜこんなめんどくさいことをやるのか?
それは、こういう木材は絶対に市場に出回らないからです。
いくらお金を出しても実は買えない木材。
このお話はまた改めて書きますね。
どうぞお楽しみに。
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