人を育てる

棟梁

最近、『棟梁 技を伝え、人を育てる』という本を買って読みました。

著者をご存知の方も多いと思いますが、建築界での第1号人間国宝であった宮大工、故・西岡常一棟梁の唯一の内弟子、小川三夫さんです。

小川さんの本はこれまでにも読んだことがありますが、今回はこの本の「技を伝え、人を育てる」という副題に惹かれて買いました。

口述筆記形式の本なので非常に平易で読みやすい本ですが、内容はものすごく深くて重みがあります。
建築の技術的なことも少しは書かれていますが、仕事・人生に対する姿勢、後進育成のために著者が心を砕いてきたことが一杯詰まっています。

読み終えたばかりですが、すぐに再読を始めました。

うちの事務所にもこの春から新卒の女性スタッフが入ってきて、4月末からは毎日朝から晩まで西宮市の現場にへばりつかせています。
竣工までは今後約3ヶ月しかありませんが、建て方から竣工まで全ての工程を
「とにかく見ておけ」
と伝え、このスタッフは一生懸命がんばっています。

棟梁の西田さんも
「あの子、よう動くなぁ」
と感心しています。
(Uさん、今は苦しいけど頑張れよ)

設計職希望の経験乏しい若い女性が、いきなり建築現場に放り込まれて大変な思いをするでしょうが、現場から育った人材は絶対に強いものです。

僕も大学卒業後、右も左もわからない状態で現場へ行かせてもらったおかげで今があることを、師に深く感謝しています。
(感謝しても感謝しても、とてもしきれませんが・・・)

建築をつくるとはどういうことか?
僕も後進に伝えていかなくてはいけない世代になってきました。

本の中で小川さんも述べています。

「人を育てることはできない。
 できるのは育つ環境を整えて、機会を与えてやることだ」

全く同感です。
そこから何を学ぶかは本人次第ですからね。

良書です。
自信を持っておすすめします。

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世界に、300年先も美しい風景を

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