上の写真は、今朝の月です。
(カメラのレンズがあまり望遠効かないので画像が荒れてますが、お許しを)
現在は、下弦の月から新月に移ろうとしている時期です。
昨日、新月の木国際協会の方と電話で30分ほどお話しました。
電話をかけた当初の目的は、来月上旬に静岡で行う予定の新月伐採についての段取りの打ち合わせだったのですが、いろいろとお話をしていくうちに伐採後の木材の自然乾燥について方法などもお話してくださいました。
木材の乾燥方法については、大きく分けると人工乾燥と自然乾燥(または天然乾燥とも言う)の2通りがあります。
現在の主流は人工乾燥です。
日本国内で建てられている住宅のほとんどのケースでは、人工乾燥による木材が使われています。
人工乾燥というのは乾燥炉内に木材を搬入し、重油を燃焼させて乾燥炉内を80℃~130℃程度の温度に保って2~3週間という短期間で木材を乾燥させる方法です。
一方、自然乾燥は1年以上かけて(樹種によっては10年以上)ゆっくりゆっくり木材を乾燥させる方法で、重油などの化石燃料は使いません。
両者の違いを下記に簡単に述べます。
人工乾燥のメリットは短期間で乾燥することが可能だということです。
ストックヤードなどで材木を寝かせておく必要がなくなります。
一方デメリットは、乾燥工程で木が持っていた脂分が抜けてサクサクした感じになり、色艶も少し悪くなります。
自然乾燥のメリットは、乾燥工程で脂分が流れ出ることが無いため、木が本来持っている色艶や粘り強さがそのまま活かせます
デメリットは乾燥に時間がかかり、その間材木を寝かせておくための場所が必要になる、そして乾燥工程でできるだけ割れが出ないようにしたり、カビが生えてしまったりしないように、細心の注意を払ってあげたりする必要があることも含め、木材養生の際の管理に手間がかかるということです。
どちらが正しいか?ということではありません。
状況によって方法を使い分ければいい、ということだけです。
ただ、僕は今後はできる限り自然乾燥した木材を使うようにしていきたいと考えています。
なぜなら、それが
【 木材が本来持っている強さ・美しさを、
一番いい形で引き出してあげられる方法】
だからです。
確かに地球環境のためだけを考えると、化石燃料(重油)を使わない方が環境保護の観点から優れている、とかいろんな理由はつけられます。
参考値としてお伝えしておくと、建物の規模にもよりますが、平均的な家一軒に必要な構造材を人工乾燥させる際には、約800~1300Lくらいの重油が燃焼されます。
これは大変な量ですから、確かにそれを声高に言うこと自体は間違っているとも思いません。
ただ、僕は木造だけにこだわる建築家として、木を大切に使ってあげたい。
60年~百数十年または数百年という長い年月を経て、何世代にも渡って木を守り育ててきた林業家の思いや自然の恵みを受けてきた結晶として、現在の材木が得られるのですから、それをできる限り素直に活かしてあげたいという思いがとても強いのです。
そしてそういう思いや歴史をきちんとクライアントに伝えて、その思いを感じ、共有していただきたい。
そしてクライアントである皆様には、より深い満足感を得ていただきたいと思うのですが、あなたはどう思われますか?
昨日新月の木国際協会の方に教えていただいた自然乾燥に関する技術は、実はまだまだわからないことがたくさんあって、試行錯誤している段階なのだそうです。
僕も一緒になって勉強していかねば、と強く感じました。
やはり木造は深いです。
一生かかってもやりきれない分野だと思いますが、これを自分の一生の仕事として覚悟を決めてよかったと思います。
少しでも良い状態で木材をお届けできるように、そしてより美しく安全な木造の建物をみなさまにご提供していけるようにこれからもがんばります。
(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を
ブログ、ホームページを拝読しました。これからの活躍を期待してます。製材業を営む者として、一言だけ述べておきます。適切な管理の下での人工乾燥材(65度以下での乾燥-自然界で存在しう得る真夏の炎天下の樹皮温度)が、ヒステリシス特性や耐久性等の総合評価では最良と考えています。人工乾燥する事により、油脂分は自然乾燥より少し多めに抜けますが、辺材部の糖分の減少(所謂枯れた状態)のメリットは大きいと思います。連絡頂いたら、詳しく説明します。byあらやん
あらやんさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
ぜひ一度お話したいですね。
お互いにいろいろ情報交換できると、きっといろんなものが開けていくような気がします。
取り急ぎメールを差し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。