僕は2004年の6月からメールマガジンを発行していますが、
ときどきその読者のみなさまからいろいろなメールを頂きます。
(本当にありがとうございます。
僕がメールマガジンを書き続けられるのも、
読んで下さるみなさんのおかげです。)
そんな読者の1人であるN氏が、前回のメールマガジンを読んで
とても興味深いお話をメールで教えて下さいました。
「ぜひうちのブログで紹介させて頂きたい」
とお願いしたところ、快諾して下さったので以下に抜粋・転記します。
なお、N氏は大手新聞社で新聞記者をされており、その取材の中でこの話を聞かれたそうです。
――――――<以下、N氏のメールより転記>――――――
全く余談ですが、私の仕事のお話で。
カビの繁殖で話題になった、明日香村の国宝壁画、高松塚古墳や
キトラ古墳はご存じでしょうか。
生えては取り除いて殺菌し、また別の種類がわいてきて、、、というイタチごっこを繰り返し、キトラ古墳の場合、今では20種類以上のカビや酵母が常駐しているそうです。
1300年も無事だったのに、30年、あるいは数年でどうしてこんなに変わってしまったのか?
一言で言うと、人が入ったことで急激にカビが繁殖したんですが、実は、そう単純でもないようです。
話は飛んで、フランスへ。
ラスコーの壁画はご存じですか。
あの、牛の絵で有名なやつです。
日本では余り知られていませんが、ラスコーも近年、カビが生えて大変なことになっていたのです。
今は閉鎖し、ようやく落ち着いてきたようですが、ごたごたともめたあげく、
「薬剤を使ってはいけない」という教訓が、導き出されたそうです。
4年ほど前、まだ文化庁が高松塚の劣化をひた隠しにしていたころ、文化庁の担当者がラスコーを視察し、
「薬で消毒してはいけないよ」
と当たり前のように言われ、ショックを受けたそうです。
当時、高松塚では、エタノール、ホルムアルデヒドの薫蒸など、カビが出るたびに薬剤をバリバリ使って、それでも収まらずにいましたから。
結論を言えば、
1)薬剤を使うと、必ず耐性菌が出てきたり、薬そのもの(エタノールなど)
をえさにする菌が出たりして、悪循環を繰り返す
2)完全に殺菌してしまえば、それまで石室内で保っていた生物同士の
均衡が崩れ、しばらくすると特定のカビや菌が大繁殖する
ということだそうです。
かつて、高松塚古墳の壁画保存に取り組み、それこそカビとイタチごっこをした経験のある先生は、
「結局、自然を甘く見すぎたんです」
とおっしゃっていました。
今のところ人間は、どんなにあらがっても自然に勝つことはできず、自然をうまく利用することしかできないということなんでしょう。
だからこそ、発酵食品という素晴らしい知恵が生まれたんでしょうね。
建物も、同じ事がいえそうで・・・。
――――――<以上、N氏のメールより転記>――――――
都合の悪いことが起こってきたときに、
「封じ込めよう」
とか
「抑えつけよう」
と考えること自体が、そもそも間違っているんだと教えてくれていますね。
とても深い示唆に富んだ、いい話を聞かせていただきました。
Nさん、どうもありがとうございました。
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世界に、300年先も美しい風景を
自然=命の根っこの深いお話ですね。
すとんとナットクしましました。
子どもって小さな自然だなって思います。
同じことが言えます。
親としてもこのお話、改めて肝に銘じて
日々過ごそうと思いました。
ありがとうございます
くるみさん、いつもコメントありがとうございます。
>子どもって小さな自然だなって思います。
なるほど、そういう風にも捉えることができるんですね。
またひとつ視野が拡がりました。
どうもありがとうございます。