今日は朝から現場に行って、午前中だけ建前のお手伝いをしてきました。
久しぶりの手刻みの現場で、楽しかったですね。
やはりプレカットとは違って、とてもいいものです。
当然のことながら、この建物はうちの事務所で設計をしたので、建物の形は隅々まで大体自分の頭に入っていて、イメージ通りのものが目の前で出来上がっていく過程を見ているわけなのですが、やはり現物の迫力は違います。
何よりも
1. 木材の表情と香り
2. 職人の技術が凝縮している仕口(しくち)と継ぎ手(つぎて)
に圧倒されますね。
ここが木造の醍醐味です。
まぁ、僕なんかが口で言うよりも、実際に画像を見てもらった方がよく伝わると思うので、現場で撮ってきた写真を掲載します。
(すべての画像はクリックすると拡大表示できます)
柱に貫(ぬき)を通しているところです。
最近は土壁をつけるケースが少ないので
こんな作業風景を見ることはめったになくなりました
貫が通し終わりました。
通柱を貫く胴差のヤトイが抜けないように、車知(しゃち)栓を打ち込んで留めています
窓台の下端に車知栓を打ち込んでいる大工さん
通し柱と胴差し(どうざし)を緊結する仕口
ヤトイを込栓(こみせん)と鼻栓(はなせん)で結い、引き抜きに抵抗するように組んでいます。
吹き抜けにかかる、交差する丸太梁。
材料は木曽のヒバ(あすなろ)で、とても目の詰まった美しい材料です。そして、それを仕上げた大工さんの技術とセンスが素晴らしかった。
いくら設計をしていても、実際の建物がどう出来上がってくるか?というのは、やはり材料の持つ力や美しさ、実際に手を下してその木材を刻む職人さん達によって全く変わってきます。
ここは、残念ですが設計者の力の及ばないところです。
いかに職人さんに腕を震わせたくなるような設計をするか、というのが木造建築物における設計者の実は一番の腕の見せ所なのですが、それを感じさせないように建物全体をバランスよく仕上げることができて、材料の美しさと職人の技が引き立つ建物になってくれれば大成功だと僕は考えています。
このあたりの感覚は、ちょっと伝わりにくいでしょうね(笑)。
この現場を担当しているうちのスタッフも、
このところ水を得た魚のようになっています。
やはり木造は現場に全てがあるなぁ、と感じます。
最後に、とてもいい機会を与えてくださった建築主のTさんと、
素晴らしい仕事をしてくださった職人さんたちに感謝。
今週末の上棟式とその後の宴会が楽しみです。
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世界に、300年先も美しい風景を
立派な家ですね。 太い大黒柱(6寸角?)が、貫いているのに☆☆☆☆☆です。
ヒバは、愛媛県では使わない(当地では松)ようですが、きれいな木みたいですね。
吹き抜けに松が露出していると、ヤニが落ちてくるけど、ヒバなら心配要りませんね。
屋根瓦は何でしょう? 瓦で家の雰囲気が大きく変わるので今から楽しみです。
Kさん、するどいコメントありがとうございます。
ヒバ(あすなろ、あて、あすひ、とも言う)は桧によく似た木です。
水に強いので、土台とか浴室の内部羽目板などに良く使われます。
産地として全国的に有名なのは、木曽以外に青森、能登などで、どこも割と寒いところですね。
能登の民家では、丸太梁以外にも土台や大黒柱などに使われていたのを見たことがあります。
屋根はガルバリウム鋼板ですが、将来的には瓦に葺き替えるかも?とクライアントのTさんは言っていました。
ヒバが檜の親戚であることは知っています。
青森県では「凧」の骨組みに竹ではなくてヒバを使うそうです。
ちょっと質問です。
ヒバが水に強いのなら、いわゆる、「檜風呂」=浴槽を檜で作る。木屑を袋に入れて湯船に浮かべるのではありません・・・に、使えば良いと思うのですが、それじゃあ、一般に檜風呂と呼ばれているのはヒバ風呂?
もう一つ質問。
ヒバの丸太梁の写真の上の写真。右の方に杉材が出ているのは何になるのですか?
興味津々!
Kさん、マルチレスです。
その1
ヒバ風呂、実は売ってます。
エステックウッドと呼ばれる過剰乾燥品(ほとんど絶乾に近い)で狂わないのが売りだとか。
実物は見たことありませんが、見てみたいなぁと思っています。
伝統的な浴槽でヒバのものは僕は見たことがありませんが、ネットで検索すると青森ヒバの浴槽が出てきますね。
木製の浴槽で一番多いのは桧製ですが、最高級品は高野槙(こうやまき)と言われています。
桧・ヒバ・高野槙はそれぞれ香りが微妙に違います。
その2
ヒバ丸太梁の写真の上の写真中、右の方に伸びているのは胴差(どうざし:2F床梁)です。
これは杉のように見えますが、実は信州の唐松です。