民家やお寺など、壁の少ない木造建物のための構造計算手法

昨日、建築構造計算に関する講習を受けてきました。
限界耐力計算法と呼ばれるものです。

一般の住宅などの木造建築に対する構造計算手法としては、
「壁量計算」と呼ばれる手法が一般的です。
建築確認申請の際にも、大規模な建物を除くとほとんどがこの手法で今も計算されています。



両者の違いを簡単に言うと、

 ○ 壁量計算法・・・建物の壁面にコンパネを張りまくって、建物を
             強固な箱のようなガチガチの状態にして
             変形させないように固めて倒壊を防ぐ方法
             (絶対に変形させない/建物を剛体としてみなす)

 ● 限界耐力計算法・・・柳の木のように、しなやかに揺れる(歪みもする)が、
                揺れることによって地震のエネルギーを吸収し、
                建物が受けるエネルギーを減衰させて倒壊を防ぐ
                (建物に対して変形を許す/建物を柔体とみなす)

という、全く逆の考え方です。

ムズカシイ話は置いておくとして。
じゃあ、これによってどういうことが可能になるか?すごく簡単に説明します。

これがおかしな話なんですが、震度6強の地震が来た時に、
○の方法で計算すると違法建築(→すなわち、地震時に倒壊する)とこれまで判定されていたものが、
●での方法で計算すると合法建築である(→すなわち、地震時にも倒壊しない)と判断される
というケースが発生するのです。

もちろん同一建物で、ですよ。



これまで一般に、耐力壁(筋交いやコンパネを張った壁)が少ない古民家や社寺などは、建築基準法に適合しない建物(既存不適格建築物と言います)として扱われてきました。

しかし様々な実験・研究結果が進んだことにより、これらの伝統的な建物は大地震のエネルギーを受けても倒壊しないどころか、むしろ逆に破壊的なエネルギーを持つ地震に対しては●方式で計算した建物(古民家や社寺)の法が安全で倒壊しない、ということが科学的に証明されてきました。



この、限界耐力計算法は2000年に施行された建築基準法に準拠しており、完全に合法的な手法ですが、まだまだ一般に認知度が低く、役所や確認申請機関もこれに対応できていない機関がほとんど、というのが実情です。

しかし決して難解な構造計算手法ではなく、しかもしなやかでより安全な建物をつくることができるという、とても優れた手法です。



今年うちの事務所ではこの設計手法によって構造計算をする予定の建物が現在のところ2棟あるのですが、今後はこの構造計算手法を主流にして設計していくつもりです。

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