関東に大きな地震が起こる確率が高まっている、という報道が相次いでいますね。某TV局の連続ドラマや、1/15(土)に放映された特番でも採り上げられていました。国民の関心を高めて、危険回避への取り組みを促す、という意味ではとてもいいことだと思います。 しかし、1/15(土)に放映されたTV特番の中で行われていた実験には、非常に違和感を憶えます。あれでは「木造住宅が危ない!」と言っているようなものだ、と受け取られかねません。 あのときの番組をご覧になった方は憶えていらっしゃると思いますが、
番組内の実験では、実物大(と思われる)2階建ての木造住宅が、
2階の床梁(はり)下の位置でまっぷたつに折れて、倒壊しました。
きちんと作っていれば、あんな倒壊の仕方は絶対にしません!
まず、あんな倒壊の仕方をするということは、通し柱(とおしばしら※)が
配置されていません。
通常は(きちんと設計されている建物は、という意味です)建物のすべての出隅部分に最低各一本ずつ、
合計4本以上は通し柱が使われているので、何の抵抗も無くそこで簡単に建物が腰折れしてしまう、ということは考えにくいのです。
どうも意図的な作りこみを感じます。
またはテレビ映りだけを考えた番組制作スタッフが作られたのか。
きっと木造の大手ハウスメーカーなどからも、TV局に対して抗議の電話などもあったことでしょう。
いずれにしても、耐震設計は重要です。
通し柱や筋交い(すじかい)、耐力壁の配置も重要ですが、それ以上にバランスのよい形状の建物を作ることも大変重要です。
番組の中で紹介されていたように、1階が駐車場になっていたり、やけに細長かったりする形状の建物は耐震上不利と言えます。
(その場合であっても、きちんとした設計のもとに、耐震補強がなされていれば大丈夫だと思いますが)
耐震設計とともに、地震時に備えた常備品の確保も欠かせませんね。
・靴を枕元に置いて寝る
というのは、寝ていたときに襲ってきた地震によって割れたガラスを踏んで怪我をされた体験者が得た大きな知恵でしょう。
他にも、
・寝ている部屋には大きなタンスを置かない
(または金物を使ってタンスを壁に固定しておくと、タンスが倒れてきてその下敷きになるのを防げる)
とか、
・お風呂のお湯は、最後の人が上がった後でも抜かずにそのままおいておく
(水が断水したときには、トイレの汚物を流す水としても使える)
などは、簡単に実践できる有効な手立てですね。
(※)通し柱とは?
1階の土台から最上階(2階建ての場合は2階、また3階建ての場合は3階)の天井裏にある梁(小屋梁といいます)まで到達する、
継ぎ目がない一本の木材で作られている柱のこと。
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