京都市N邸 上棟しました

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長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。

雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。

結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。

 

上棟1004_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。

この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。

このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。

もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。

 

上棟1004_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。

家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。

これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。

細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。

部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。

材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。



遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。

設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。



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西宮2世帯住宅 上棟しました

西宮1003.1 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、西宮市内で工事中の2世帯住宅/Y・K邸の上棟が行われました。

本当は昨日行われる予定だったのですが、あいにく雨に見舞われ、一日延期となりました。

 

僕が予想していたよりもずっと早く作業が進み、夕方4時に現場へ着いた時にはすでに棟が上がっていて、タチ(柱の垂直)を直しているところでした。


 

西宮1003.2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、2階リビング上部に架かる赤松の化粧丸太梁です。
ゆる~く上品な感じで曲がっていて、節も少なくおとなしい木でした。

出来上がったらきっといい感じで部屋のアクセントになると思います。



今回の現場に入った構造材は、僕が予想していたのよりも良い木が多く、材料を見ていくと少し設計変更が出そうです。

すでに玄関袖壁の脇に立っている桧の通し柱などは、もともと見せずに隠してしまう設計になっていましたが、木目がおとなしくて見栄えがする木なので、設計を変更して木を見せるようにしてはどうか?という話が持ち上がりました。

ポストやインターフォン、照明器具なども絡んでくるので調整・検討が必要ですが、木造の設計というのはこうやって材料によって途中で変更することがしょっちゅうあります。

こういうところは現場が始まってみないとわからない、施工の醍醐味です。



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建方2-3日目

前回に引き続き、建方の報告です。

足固め、胴差、差鴨居の長ほぞを入れるのに大変苦労して、建て方に要する時間と手間が大幅にオーバーしてしまいました(汗)。

下の写真のような胴回りまで組み上げるのに、結局丸3日を要しました。

 

建方0928

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしここまでが一番大変なところだったので、胴まで組み上がって一安心。

次回、また上棟までの残りの報告をします。



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建方 1日目

昨日もお伝えしたとおり、京都市内で石場立て伝統構法型木造住宅の建方作業に入っています。

1日目の様子をご報告します。

 

建方0926_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

まずはこの家の中心にある大黒柱を立てる作業から始まりました。

この柱は2006年の晩秋の新月期に伐った、樹齢約110年の杉の柱(220mm×220mm)です。
写真を見て頂ければ一目瞭然ですが、当日はカラッとしたとってもいいお天気でした。


 

建方0926_1

 


 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、この家に8本ある通し柱のうちの1本の柱脚の部分を組み立てているところです。

写真を拡大して見て頂ければお分かりになるかと思うのですが、柱は石の上に載っているだけで緊結にも金物を一切使っていません。

組み始めの段階であれば、かけやという大きな樫の木槌で叩くと、ギシギシと音を立てながら構造体全体が少しずつ右に行ったりして動きます(笑)。

きっと大地震のときには、こうやって前後左右、上下に移動したり跳ねたりしながら動いていくことでしょう。

紙相撲と同じ理屈です。



通し柱は150mm×150mmの杉の通し柱。
柱の左右から刺さってきているのは桧の足固めで、左側が120mm×210mm、右側が120mm×120mmの太さの木です

これらの木は全て静岡の同じ山から伐った木ですが、大黒柱よりも少し若い木で樹齢は約90年。
2007年11月の新月期に伐った新月材です。

 

建方0926_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大黒柱と3本の通し柱=合計4本の柱に囲まれた立体フレームが組み上がりました。

今回の構造材は、仕口の部分の長ほぞが30cmもあってとても長いのと、いちいち貫を入れて編むように組んでいかないといけないので大変です。

暑い中、大工さん達も一生懸命頑張って建ててくれているのですが、なかなか作業ははかどりません(汗)。

現場担当のスタッフと僕も、微力ながら現場で一緒にお手伝いをさせて頂いておりますが、毎日作業が終わるころにはへとへとになって体の節々がギシギシになっています。

担当スタッフは気付かないうちに何度もどこかでぶつけたらしく、脚が青アザだらけになっていました。



しかし、この建て方作業が何とか進められているのも、近隣のみなさまのご理解やご協力のおかげで、大変ありがたく助かっております。

みなさま、本当にありがとうございます。
いろいろとご迷惑をおかけいたしますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



今回の建方の様子は少しずつビデオカメラで撮影して記録しています。
後日編集して、youtubeに投稿する予定ですのでそちらもどうぞお楽しみに。

また明日、続きをご報告します。

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建方が始まりました

京都市N邸で建て方が始まりました。

毎日準備などで駆けずり回っていますが、少しずつご報告していきます。



まず、加工させてもらっていた兵庫県三田市の西本製材所さんから、京都市内の現場に材料を運び込みます。

下の写真は、一番最初に積み込んだ通し柱(150×150)と大黒柱(220×220)です。

この写真は柱頭部分の仕口を写した写真ですが、各柱それぞれに取り合ってくる桁や梁の形が違うので、丸太にあわせたひかりつけがしてあったり、ビンタが伸びたりしています。

 

通し柱

 

 

 

 

 

 

 

 

 






今回の現場では、通常では使わないようなたくさんの長材を使うので、乾燥時の材料管理・墨付け・刻みから搬入までとても大変でした。

 

搬入0925

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は桁や棟木を現場でおろす作業をしているところですが、積んでいるのは4トンロングのトラックです。

荷台の上の作業員の方と構造材の長さを比べてもらうとわかると思うのですが、この材料は長さが8.6Mの1本ものです。

通し柱や大黒柱は、荷台の長さが5.6Mある4トンロングに載せても50CMくらいはみ出す程度で納まりましたが、桁・棟木は上に乗せ掛けて前後にはみ出させないと積みきれません。

通常であれば10トントラックで運ぶところですが、今回の現場ではとても10トントラックなど入れないので、4トンロングに何とか積み込んで僕が運転していきました。



明日は上棟1日目の報告をします。

どうぞお楽しみに。



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西宮2世帯住宅 基礎工事

西宮

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西宮市内で、2世帯住宅・Y/K邸の基礎工事が進行中です。

連休前に土間コンクリート、立ち上がりコンクリートを打設完了しました。



ここは歴史のある土地柄なのか、付近一帯の道路がとても入り組んでいて、道路巾も狭く、施工者は大変です。

今回の工事の施工を担当してくださっているのは、クライアントのご親戚にあたる有限会社 蓑代工務店さんですが、社長さん自らが現場に足繁く通い、とても気持ちよく迅速に対応してくださっていてありがたい限りです。

上棟は10月初旬の予定。
この現場の上棟は、材料置き場やレッカー設置場所など、大変苦労されるだろうなぁ・・・。

蓑代さん、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



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京都市内で新築伝統構法物件の建築確認 降りました

小舞下地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



昨年の秋から準備に取り掛かっていた、京都市内の伝統構法新築物件の建築確認申請が先週末にようやく降りました。

これでやっと工事に取り掛かれます。
(上の写真は、3年前に当方で設計・施工管理を行った、
 大阪府の伝統構法物件の施工中の写真です。)



ここで詳しくご説明することは控えておきますが、今回は常識的には考えられないようなとんでもないことが一杯ありました。
(ほんとうに、いろいろありすぎです!)

この物件の構造計算には、昨年末以来長きに渡って心底苦しめられましたが、振り返ってみれば自分の血肉となり、とてもありがたい経験をさせてもらえました。
あまりにも手間がかかりすぎたので採算は全く度外視ですが、それは端から覚悟の上です。



しかし何よりも、建築主であるN様には精神的に大きな負担をかけてしまいました。
ここまでたどり着けたのは、私たちのことを信じて辛抱強く待って頂いたN様ご夫妻のおかげです。

N様、本当にお待たせしました。
辛抱強く待って下さり、本当にありがとうごさいます。

担当スタッフともども、心より感謝しております。<(_ _)>

この連休中も工事の準備に明け暮れていますが、これだけ長い間お待たせしたのと引き換えになるほどの建物が出来上がることに関しては、絶対の自信を持っています。

どうぞ竣工を楽しみにお待ち下さい。





石場立ての伝統構法型建物を新築で建てることは、マンション構造偽装問題が起こった後に改正された現行の建築基準法の下では、率直に言ってとても難しいことです。

今回、自分で実際にやってみて、そのことがよくわかりました。

しかし、不可能ではありません。
道はきちんとあります。



確かに、木造2階建て伝統構法物件の建築確認申請手続きにここまで時間と労力を要する状況になってしまっていることは、今後改めて行かなくてはならない問題であると僕は思っています。

一昨年より、そのことを訴える様々な会議やシンポジウムなども各地で開催されてきていて、機運は高まっています。

各地で
「もっと伝統構法型の木造建築物をもっと建てやすくしてほしい」
という作り手の声も、日を追うごとに大きくなってきています。



そういう作り手のみなさんのお気持ちはよくわかります。
僕も確かにそう思います。同じ気持ちです。

しかしその一方で、設計者・施工者を含め建物の作り手側が、もっともっと真剣に構造に関する問題に取り組まなければならない、と僕は思います。

声高に叫び制度改革を要求する前に、自分で実際に問題に取り組んでぶつかってみるということを、もっと多くの実務者の方にやってみて頂きたいと僕は感じています。



とまぁ、少し愚痴もこぼしてしまいましたが、とにかく今回はたくさんのみなさまの後押し、協力を得られてここまでたどり着けたこと、深く感謝しております。

梓工務店社長様、S様
○ JSCA関西メンバーのみなさま
○ C&CのO様、H様
○ アールイージャパン様
○ 日本建築総合試験所のU様
○ 東風スタッフのOさん、Uさん
○ そして何よりも、今回の機会を与えて下さり、じっと待ってくださった
  建築主であるN様ご夫妻

みなさま本当にありがとうございました。
心より深く御礼申し上げます。<(_ _)>




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かやぶき屋根 葺替え現場に行ってきました

久しぶりの更新です。

ようやく身辺が落ち着いてきたので、今日からはまた平常どおりのペースでブログを更新していこうと思っております。

みなさま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



9/17(木)に、宝塚市内で行われているかやぶき屋根の葺替え現場へ見学に行ってきました。

 

かやぶき0918-1

 

 

 

 

 

 

 

 

 



これはうちの設計物件ではありませんが、日本民家再生協会(以下、JMRA)の仲間である、京都府美山町の屋根晴(やねはる)さんが手がけておられる物件です。

「今週一杯で完成します」
と聞いていたので、急いで見に行かないと!と思い、スタッフを連れて事務所総出で見学させてもらいに行ってきました。

 

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のどかな風景の広がる土地で、青空の下で仕事をするのは気持ちいい、と
屋根晴の20代の若い職人さんは嬉しそうな顔をして話してくれました。

 

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関西地方の典型的なかやぶき屋根は入母屋型です。
その妻面に、杉の青葉を積んだ納め方をされていました。

僕はこのような納め方を見たのは初めてだったのですが、鮮やかな緑がとても美しかったです。



現場で、かやぶき職人独特の道具をいくつか見せてくださったので、写真に納めてきました。
以下にご紹介します。

かやぶき0918-5












これは、太い藁縄(直径1cm程度)を使ってかやをくくる時に使う道具です。
針のおばけのような形ですね。



かやぶき0918-4





 

 

 

 

 

 

 

先ほどの藁縄よりももっと細い縄(直径5mm程度)を通す際には、こちらの道具を使うそうです。


かやぶき0918-6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

軒先の萱の先端のツラを揃えたり、角度をつけたりするときには、
このような道具を使って萱の木口を叩きます。



休憩時間に、屋根晴の代表・西尾さんから、かやぶき屋根に関するいろんなお話を伺いました。

西尾さんは僕と同い年(=同学年)です。

社会に出てからかやぶき屋根の施工にずっと携わってこられたようですが、かやぶき屋根に関する、彼独自の見解を聞かせてもらって、

「なるほどなぁ~。
 そういう見方もあるんだ。」

と、西尾さんに視野を広げてもらった気がします。

西尾さん、職人のみなさん、お忙しい中時間を割いてくださってどうもありがとうございました。



以前もこのブログで宣言しましたように、少しずつではありますが今後は東風でコンスタントにかやぶき屋根の建物を作っていくことに決めましたので、また近いうちに西尾さんと一緒に仕事をさせてもらう日が来ることでしょう。

どんな建物になるのか、今から楽しみです。



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西宮市内で新築住宅の工事が着工しています

またまた更新に間が空いてしまいました。
いつも覗いてくださるみなさま、すみません。

目も回るほど(というか、実際体力的にはフラフラでしたが・・・)の多忙業務に追いまくられて、更新ができずにおりました。

いろいろネタになることはあったので、徐々にご報告していきます。



西宮市内で2世帯の新築住宅の工事が着工しました。
昨日は基礎の配筋検査で現場に行ってきました。

下の写真は敷地の一番奥の配筋を撮ったものです。

 

西宮配筋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらのお宅は、10月初旬に上棟・年内竣工予定でこれから工事が進んでいきます。

現場へ行った際に、施工を請け負ってくださっている社長さんと、構造材の刻みのことで何点か打合せをしてきました。



またボチボチご報告していきますね。
どうぞお楽しみに。



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9/12(土)滋賀県で伝統構法に関するシンポジウムが開催されます

9/12(土)に滋賀県大津市で、伝統構法に関するシンポジウムが開催されます。

構造計算書偽装事件の影響で建築基準法の運用が厳格化され、伝統構法型建物が非常に建てにくくなっています。

( ↑ 当方でもまさに今日現在、その構造計算ならびに申請手続きを行っておりますが、大変苦労しております。汗)



それを何とかもう少し建てやすい状況にしてほしい、との声が全国から上がっていて、運動も起こっており、国土交通省も何とかしようと昨年から3年計画で新しい設計法の確立を目的としたプロジェクトを進めています。

興味のある方はぜひ下記シンポジウムにご参加下さい。

  『伝統構法はこれからどこへ向かうのか』




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