京都の保育園改修工事 完成しました

京都保育園


 


 


 


 


 


連休明けから着工していた、京都市内の保育園さんでの改修工事がほぼ完成しました。

写真で見えている手前の部屋の床が、もともとは15cmほど高かったのですが、それを解体して隣の部屋とほぼ同じ高さになるようにするのが目的でした。

今回は杉の無垢材のフローリングを張り、床下に電気式の床暖房を設置しています。



奥に見えている部屋は、実は遊戯室の一部を建具で囲っただけの保育室です。
 
平常時は保育室として使っていますが、発表会などの保育園行事として遊戯室を使うときは建具を全て取り払ってしまえば元通り遊戯室として使えるようにしました。



この写真を撮ったのは今週火曜日の朝なのですが、もうすでに子供たちが走り回っていることでしょう。

適正価格

先日来ご相談を受けている方に、【建築家に依頼することでクライアントの方が得られるメリット】についてお話しする機会がありました。



その時に後述の資料を作成してお渡ししたのですが、

「これって他の皆さんにとっても知っておいてもらった方がいいのでは?」

と思われる内容であると感じたので、記事にまとめてみようと思います。



建築家に設計を依頼すると、設計報酬の分が高くつくので経費のムダだと考えられる方は多いでしょう。

「この人のこのデザインがどうしても欲しいから」

という理由で建築家に依頼される方もいらっしゃると思いますが、もう少し客観的に見て建築家に依頼するメリットがないと、建築家に設計だけを依頼するのに数百万円の費用は高すぎる、と僕も思います。



建築家に設計を依頼するメリットや建築家の役割については、東風のサイトにまとめてあります。

 → 建築家の役割~どうして建築家が必要なの?

詳しくは上記ページををご覧頂くとして、その中の
「同じ条件で数社の価格比較ができる」
という点について、実例をご紹介したいと思います。

まずはこちらをご覧下さい。
(別ウィンドウでPDFファイルが開きます)



上記の表は、東風で過去に設計・監理業務を請け負った物件において、実際に見積もりに参加して下さった工務店さんや建設会社さんが出して下さった見積書の価格です。

この見積をご提出いただいた際には、30~60ページに及ぶ設計図書(=図面)を各社にお渡しした上で、全ての条件(すなわち価格の根拠)を全く同じになるようにしてから見積書を提出して頂いています。

そうやって出して頂いた見積書であっても、これだけ価格に開きがあるのです。



なお、ここで誤解して頂きたくないのですが、東風では価格を少しでも安くするためにこのような相見積りを取っているわけではありません。

東風では価格だけで判断して頂かないように、各建設会社や工務店さんに対して、社風や力を入れていることも見積提出時に合わせて自由にプレゼンテーションしてもらうための時間をとっています。

そうすることで、価格を含めた会社の姿勢や個性も判断材料としてクライアントに提供しています。

2社以上から見積りが出てくると、
「この価格は他社と比べて妥当なのかどうか?」
という点もクリアになり、価格に対する納得感も増します。



そういったことは、工務店や建設会社さんに建物を依頼した際には実現することができないことです。

建築家に設計監理業務を依頼する上でのメリットの一つとして、とても大きなものだと思います。

間伐後の林

またまた更新の間が開いてしまいました・・・。
先週の金曜日(5/21)、また静岡へ行きました。

今回は乾燥中の材木の雨養生をする作業が目的だったのですが、それはあまりにも地道で写真の写り映えがしない作業なのでここでは割愛・・・。



で、その道中、2007年の秋に間伐した林に入って様子を見てきました。


明るい森


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



上の写真は、2007年の11月に間伐した、約90年生の杉・桧混合林の現在の様子です。

間伐を開始した時の記事(2007.11.06)
間伐が完了したときの記事(2007.11.10)

間伐する前は林道もなくて、下草も今ほどたくさん生えていなかったのですが、間伐したことで林が明るくなり、下草も充分育つような環境に変わってきました。

撮影した当日の天気がとても良かったせいもありますが、人工林とは言え、明るく緑豊かな美しい林に変わってきました。


№24 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真は、2007年に伐採した、この林の中で一番大きかった木の切り株です。

この年の24番目に伐採したことから、24番という番号がついていますが、根元の直径は70cmほどもあり、節のほとんど無い素直な木だったので、今春竣工した京都市N邸の板材として、様々なところ(※)に使われています。
(※・・・玄関式台、下足箱天板、ダイニングカウンター、リビングボードなどなど)

この木を製材したときの様子(2008.08)はブログでもご紹介しましたが、伐採の時にクライアントのN様も立ち会って下さった、とても思い出深い木です。

「もう根は朽ちて見る影も無いかな」

と今回現場へ行くまでは思っていたのですが、実際に行って見るとまだまだしっかりと残っていて、ちょっと嬉しく感じました。


 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家

京都市内の保育園でリフォーム中

京都保育園解体


 


 


 


 


 


 


京都市内の保育園さんで、先週からリフォーム工事が始まっています。

上の写真は、既存床組みの解体工事中の様子です。



今回は元々あった床の段差を無くすため、既存の床組みを一旦解体した上で、新たに床暖房と杉の床板を張りなおすという工事を行っています。

主に1~2歳の小さな子供たちが過ごす保育室なので、園長先生のご希望もあって柔らかい杉のフローリングを使っています。

無垢材に床暖房を組み合わせると、反ってしまって使い物にならないとよく言われますが、それも程度によるもので一概にダメだとは言い切れません。

当方では、予測される状況(床板の反り・多少のスキマができること)などについてあらかじめクライアントの皆様にお話した上で、ご理解を頂いた場合には床暖房対応ではない商品であっても、組み合わせて使うことがよくあります。



一番大切なのは、素材に対する理解度と、ユーザー/サプライヤー間のお互いのコミュニケーションです。

木造でも遮音できます

連休の最中に着工したリフォーム工事が、先週末に無事完成しました。

工期は2週間でしたが、1階床のバリアフリー化工事とともに、2階の1部屋を遮音して外部からの音を遮断する工事を行いました。

遮音工事はディテールが命なので、実際に完成して入居してもらうまで効果の程が心配だったのですが、クライアントの奥様によると効果はしっかり出たようで、一安心です。

今回のご依頼では、耳が遠くなってきたおじいさんが視聴する際のテレビの音が大きくて就寝時に気になる、ということが遮音工事の目的でした。



最近、木造住宅の遮音工事の依頼を受けることが多くなってきたのですが、一般に
「木造住宅では遮音できない」
とか
「遮音シートを入れれば大丈夫」
というような誤認識が多いようです。

確かに木造で遮音を行うのは構造にも関ってくるので非常に難しいのですが、決して不可能ではありません。

遮音工事は理屈は簡単なのですが、現場での判断が難しいため、当方でも方法を簡単にはお教えすることは控えています。

安易に真似されると、かなり高い確率で失敗するからです。

遮音工事をお考えの方は、実績のある専門家の方に依頼されることをお薦めします。

チタンには見えません

チタン葺き










上の写真は先月末に訪れた、浅草・浅草寺の宝蔵門です。

この門の屋根、思いっきり本瓦葺きのように見えますが、実はチタンで作られているのだそうです。

僕もこの日一緒に参拝した方から教えてもらうまで僕も知らなかったのですが、確かにこちらのページに書かれているとおり、チタンのようです。



『チタンは酸化物が非常に安定で侵されにくく、表面が酸化物の皮膜によって保護されるため空気中では、白金(プラチナ)や金とほぼ同等の強い耐蝕性を持つ。』(『』内はwikipediaより転記)

という性質が評価されて、近年屋根材として使われる事例をよく見られるようになりました。



酸性雨の影響で、銅板の耐久性が以前に比べて下がっていますので、社寺のように耐久性の高さが強く求められる現場では重宝するのでしょうね。

価格が高いのが難点ですが、瓦よりもずっと軽いので耐震上有利になります。

新月材 乾燥中

新月材0426

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう2週間も前のことですが。

日光へ行った帰りに静岡へ寄ってきました。
昨秋製材した木材のボリュームや状態を確認するためです。
(製材したときの記事はこちら→通柱天井板

現在は製材した杉山製材所さんで預って頂いています。
(杉山さん、いつもありがとうございます)

上の写真がその一部ですが、全部でこの約3倍の量があります。
これから整理するのは大変そう・・・。



これらの木は2008年の晩秋に伐採したもので、樹齢110~130年の杉と桧です。
とってもいい木で、今から使うのが楽しみです。

桧は乾燥が早いのでもうそろそろ使えそうですが、杉の構造材は来秋(2011)あたりまで乾燥させるつもりです。

その一部をご紹介しますね。

新月材0426_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は桧の通し柱と大黒柱です。

通し柱は節の無いきれいなものには背割りという鋸目を入れて、大きな割れが走らないように処理しています。

この写真だとなんだかそんなに大きくは見えませんが、この通し柱の太さはだいたいどれも6寸角(18cm×18cm)です。

大黒柱の太さは8寸5分角(26.5cm×26.5cm)あります。


新月材0426_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大黒柱をリフトで持ち上げてもらって柱の面を見たところです。

どの木もほとんど節が無くて、四方上小節~無地の大黒柱になりそうです。
中央付近の一部が濡れているような色をしていますが、これは割れ止め材を塗布しているためです。
仕上ったらこれはきれいになくなります。

これは鉋できっちり仕上げて、50年くらい経ったらなかなかいい味が出てくるでしょうね。

その頃になったら僕は生きているかどうかわかりませんが(笑)、今から楽しみです。
どんな方が使ってくださるんでしょうか。



 

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連休中に着工したリフォーム

尼崎リフォーム1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


実は以前からご相談頂いていたクライアントの方から急な依頼を受けて、5/3(祝・月)より木造住宅のリフォーム工事に取り掛かっています。

1段上がっていた和室床とリビングの段差(12cm)をなくしたり、
おじいさんの部屋からトイレに真っ直ぐ行ける通路を確保したり、
新たに同居されるご家族のために2階にトイレを増設したり、
というリフォーム工事です。



とにかく早く竣工させるべく、急ピッチで工事が進められています。

近隣のみなさまには、祝日にも関らず工事の騒音によるご迷惑をおかけして、申訳ありませんでした。

1階の工事はすでに完了し、残すは2階のみです。

もう少しで完了しますのでどうぞご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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日光東照宮の漆

前回に引き続き、日光東照宮のレポートです。

 

日光の漆-4

 

 

 

 

 

 

 

 

 



今回、日光東照宮を訪れた目的は、現在行われている漆の塗替え作業現場見学のためです。

普通、作業中の現場を見ることは個人ではまず無理なのですが、そこは日本民家再生協会で勉強会を主催して正式に申し入れをしたこともあって、現場の方にもご理解を頂くことができました。


 

日光の漆-3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



現場の技師の方にご案内して頂いて現場を見学。

上の写真は廻り縁(えん)の床板に塗った漆が劣化し、ひび割れてはがれかかっている状況写真です。

漆の大敵は紫外線なのですが、こんな屋外にある日光東照宮では、塗って1年も経たないうちに漆の艶はなくなってしまうそうです。

そこまでして、どうして漆を塗ったりしたんだろう・・・と不思議で仕方ないのですが、江戸時代には20年毎に手を入れて漆の補修をしていたんだとか。

しかし今は財政面の問題もあって、60年に1度程度しかできないのだと担当の方が話して下さいました。

徳川政権おそるべし、ですね。

 

日光の漆-2

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真も補修前の漆の状態です。
拡大表示していただくとわかると思いますが、彩色がはげてしまったり、模様が切れてしまったりしています。



日光の漆-6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



日光の漆-1

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この写真は、補修が完全に仕上ったところです。
こんなにも鮮やかな色・艶になるのかと感嘆しました。

この状態にするまでには、恐ろしいほどの人の手間がかかっています。

漆を掻く職人さんの手間、建物をつくる大工さんの手間、漆を塗る職人さんの手間・・・。

なんという建築でしょうか!

好きか嫌いかはちょっと置いといて、これはもう建築ではなくて工芸品の域ですね。



陽明門の手前にあった下の写真の建物は、4年前に塗替えが終わったそうです。
妻面の象の下絵は、狩野探幽作だと言われているものだそうです。

日光の漆-5

 

 

 

 

 

正直、日光には圧倒されました。

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制震構造?石の鳥居

前回に引き続き、日光のお話です。



日光東照宮の入口に大きな石の鳥居があります。

今調べたところによると、石の鳥居としては日本でも最大級のものだとか。
日本3大鳥居の一つに数えられているようです。

写真に写っている人の大きさと比べてみると、大きさがよくわかると思いますが、高さ約9mもあるそうな。

 

鳥居1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



で、この大鳥居では柱にご注目下さい(↓)。

 

鳥居2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真の赤い矢印のところで、石が継いであります。

僕が小学校6年生の時、修学旅行でここを訪れたのですが、その時のガイドさんの話によると、ここで柱を継いでいることで、地震の時に倒壊しにくい構造になっているのだそうです。

「へぇ~、すごい!」

と、当時僕は子供心に感心することしきりでした。
(今思うと、この話だけはなぜかはっきり覚えていて自分でも不思議なんですが・・・)



で、今。

建築家になり、再度同じ場所を訪れてみて、その説が正しいかどうか?ということを考えてみたのですが、当たらずとも遠からず、といった感じではないかと思います。

きっと、この鳥居が地震で倒れるということは、ほぼ無いと考えて良いでしょう。



理由はこの鳥居の制震構造(←と呼ぶのが適等かどうかは置いといて)が果たしている役割も大きいと思いますが、この日光東照宮のあたりはきっと地盤が強烈に固いだろうと思います。
(↑周囲の環境、徳川幕府がここを選んだことなどから推測して)

同じ地震エネルギーで揺らしても、軟弱地盤なら揺れはより増幅されるし、強固な地盤なら増幅率は低くなります。



つまり、

地盤が固い
→地震時の揺れは大きくなりにくい
→さらに鳥居本体の制震性能が寄与
→鳥居は倒壊しない

ということになるのでしょうね、きっと。



いくら制震構造になっていたとしても、それを超えるエネルギーが入ったら、当然ながら倒壊します。

でも、ここではそれが現実となる可能性はかなり低いだろう、と思われるのです。

 

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