1週間くらい前から読み始めて、今朝ようやく読み終えた本をご紹介します。
僕は致知という月刊誌を読んでいるのですが、その中で採り上げられていた対談の中で、
「この人の考え方は面白いな。
こんな考え方は今まで聞いたことがないな」
と感じたものがあったので読んでみました。
この本で展開されている話は、
「感性が生命の本質であり、理性は合理的にしか考えることができない、有限で、不完全な能力である」
というものです。
感性論哲学、というのだそうです。
何ぃ~っ???と僕は思いました(笑)。
理性が不完全な能力で、感性が生命の本質だというのは、現代の教育をひっくり返すような考え方ですよね?
そこに強烈に惹かれて、僕はパクッと食いついてしまったわけです。
現代において大多数の学者も含め、多くの人が考えているのはこうです(↓)。
「理性という能力は合理的に物事を考えることができる素晴らしい能力だ」
しかし、感性論哲学の立場からいうと、
「理性は合理的にしか考えることができない。
だから理性は素晴らしい能力なのではなく、不完全な能力だ」
となるのだそうです。
だいたいこの現実世界には、合理的ではないものがいっぱいあり、人間の世界には合理的であるものよりも、むしろ合理的でないものの方が多い。
愛も、幸福も、自由も、生きがいも、勇気も、責任感など、これらは全て理性的なものではない。
例えば、愛は理性的に考えて手に入るものではない。
合理性を超えたもの、理屈を超えたものが愛だ。
幸福も、幸せだなぁと実感した時が幸福なのであって、どんな豪邸に住んでいても、どんなにお金があっても、その中で自分が不幸だなぁと思ったら不幸なのです。
だから愛も幸せも実感が問題なのです。
実感は理性ではなく感性で、人生においては感じるものが最も重要だ。
感性こそが人間の本質だ、という哲学がこの本では書かれています。
これは芳村思風という方の書かれた 『人間の格』 という本です。
カテゴリー分けすると哲学書ですが、この本は講義録として書かれているので、全て口語体で大変読みやすく、内容も平易でわかりやすいものです。
価格が高い(¥10,000-)ので、僕も大学図書館で借りてきて読んだのですが、読み終わった後で
「買おうかな」
と思ってしまった本です。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
読み物としてもとても面白いし、新しい価値観が自分の中に構築できるのでオススメです。
玄関式台を製材しました
月曜日に、いつもお世話になっている三田市の西本製材所さんへ行き、明石市k様邸玄関で使う予定の式台用の材料を製材してもらいました。
上の材料は建具用に使おうかと思って取り置きしておいた杉の幅広板です。
長さが5mあったので、そのうちの先端約2mを切って使うことにしました。
この木は2007年11月の新月期に静岡で伐った材料です。
ちょうど3年天然乾燥させたことになりますね。
上の写真がその2mに切った部分です。
厚みは6cmで樹種は杉です。
この写真では耳(両サイドの丸みがついた皮の部分)が残っていますが、この後耳を落してもらって表面のねじれや反りを取るために、ほんの少しだけ(表裏約1.5mmずつ)製材してもらいました。
この板は今週末に京都市左京区へ持って行って、チョウナで化粧ナグリを施してもらいます。
昨年も同じやり方で杉の式台を作ってもらったんですが、このナグリの式台がかなり好評です。
昨年なぐってもらった時の記事や映像も公開しています。
もし良かったら見てくださいね。
今回もまたビデオ撮影してこようかな。
春に向けて
今朝も30分ほどかけて、日課の早朝散歩をしてきました。
いつもと同じ池のまわりを一周、ゆっくりゆっくり歩いてきました。
今日は空がとても青くて、筋状の雲が薄くてとても軽やかな気持ちのいい空でした。
ひんやりしてきた空気の感触も心地よく、これから徐々に秋が深まっていくのだなぁと思いながら沿道の桜を見てみると、もうすでに全ての葉を落して越冬の準備を完了している木がちらほらとありました。
僕は立ち木の広葉樹の樹種の見分けがつかないので、桜の品種まではわかりませんでしたが、これから葉を色づかせて落葉しようとしている桜の木もあれば、同じ場所に生えているのにもう葉を全て落している桜の木もあります。
これって個性なのかな?
それとも樹種がちがうのかな?
よくわからないのですが、いずれにしても春に向けて準備が始まっているんですね。
なんだか健気で、それでいてしっかりした桜の生命力を感じました。
黒い外壁が張れました
明石市で施工中のK様邸で外壁のスパンサイディングがほぼ張りあがりました。
K様は黒い外壁と木の色の対比がパキッと出る感じにしたいとお望みになったため、サッシ・外壁ともに黒を選択しています。
軒先の高さとか家のボリュームはお隣の家とほぼ同じにしているので、白黒写真を撮ったら町並みとしては何の違和感も感じずになじむのでしょうね(笑)。
でも黒にすると、家の外観はかなりインパクトが強くなります。
竣工して家の手前に植樹して緑が添えられたら、また一段と映えるでしょうね。
今から楽しみです。
今日から奈良市内で着工するOさん宅も、2階の外壁は黒です。
黒い外壁の家は、小規模な住宅には良く合うと思います。
こんな木、使いたい!
大阪府北部の豊能町というところへ行ってきました。
そこですごいものを見せてもらってきたのでご報告します。
この杉の木(↓)です。
この写真をパッと見ただけではあまり実感できないでしょうから、ちょっとだけ違う別の写真もお見せしますね。
こちらです(↓)。
中央に置いているのは子供用の軍手・・・などではなく、僕の軍手です。
大人用のLサイズ(大きさ23cm)。
根元の直径は1.5mはあるでしょう。
すんごい太さでしょう?
樹齢はなんと約300年!とのことです。
300年前ということは、西暦1710年。
江戸時代中期です。
この山には実生(みしょう:植林ではなく種子が落ちて自分で生えた木)のこんな杉の大径木がごろごろありました。
この秋に伐採するそうです。
こんな木、ぜひ使ってみたいなぁ・・・。
買って製材して5-6年寝かせておきたいところですが、そんな簡単に手が出る値段ではないのが悩ましいところです。
ホームページをリニューアルします
少し前から取り掛かっているのですが、東風のホームページをリニューアルします。
できればここ2週間くらいで何とかキリをつけたいと思っているのですが、間に合うかどうか・・・。
リニューアルする理由は色々あるのですが、今回のデザインコンセプトは
「もっと見やすく、一目で伝わるわかりやすいサイトにすること」
です。
今のサイトは2年前に作ったものですが、これまでのサイトはどれもテキストが長く、じっくり読み込むことを前提としているので、はっきり言ってとっつきにくいものでした。
今回はそこをバッサリと変革します。
実はもうすでにデザイン案はできているのですが、まだナイショです。
イメージとしては、i-padでもサクサク読みやすいサイト、という感じ。
どうぞお楽しみに。
みんなで建てました
先週末の土日 9/25-26 2日間にわたり、兵庫県赤穂郡でボランティアによるかやぶき民家再生プロジェクト(通算第22回目)が開催されて参加してきました。
主催はNPO法人・日本民家再生協会です。
今回の作業は、2008年の秋から着手していたトイレ棟の棟上げです。
あいにく僕は仕事の都合で1日目だけの参加となりましたが、1日目の夕方に無事上棟しましたので、写真でご報告します。
1日目の朝はこの状態でした(↑)。
基礎だけが出来上がっていて、何も建っていません。
まず基礎の上に土台を敷いていきます。
材料は全てこの敷地内で解体した建物から出てきた古材を使っています。
次に柱を立てます。
素人ばかりの寄せ集めチーム(笑)での作業なので、貫を通すのもなかなか大変です。
夕方には無事棟が上がり、建ち起こし(垂直)やレベル(水平)の確認・調整も完了して作業は終了しました。
事故や怪我が無かったのが何よりです。
小屋組みのみを撮った写真です。
真ん中には1本だけ丸太の曲がった梁を入れています。
この建物は約3m×3m(広さ:4.5帖)あり、全て素人だけで刻みました。
なんとも贅沢なトイレです(笑)。
さすがに墨付けだけは素人にはできないので、協会のメンバーの杉本さんという大工さんにやって頂きました。
建て方の途中で若干の手直しはあったものの、予定通り1日で上棟できて一安心。
2日目には屋根をかけルーフィングを葺いて、雨が降っても大丈夫なところまで仕舞をして下さったようです。
参加して下さった皆様、おつかれさまでした。
楽しかったですね。
土壁の中から
先日、貴重なものを頂きました。
下の写真の通り、古い竹です。
まずは画像でご覧下さい。
この竹は古い蔵の改修工事に際して、土壁の中から採り出された物です。
蔵をアトリエとして使われている方が、壁に窓を増設したいとのことで土壁の一部を切り取られたのですが、その部分から出てきました。
写真でうまく伝わるかどうかわかりませんが、実物を見るととても艶々していて、微塵も古さを感じさせません。
しかし何と!これは、150年前の竹だというのです。
しかもずっと土壁の中に埋まっていたもの。
ビックリしますよね。
古い建物を解体すると、土壁の中から下地材としての竹や藁縄が出てきます。
建物によっては、その下地の竹がもうボロボロになっていて、ゴミとして処分するしかないようなケースも結構あります。
その一方で、200年以上経った土壁の中から出てきた竹であっても、これと全く同じように艶々としていて、伐ってから10年くらいしか経っていないんじゃないか?と錯覚するような竹が出てくることもあります。
(以前、広島でもそのような下地竹を見せて頂きました)
この竹のように150年以上経っても艶々としてきれいな竹と
数十年しか経っていないのにボロボロになってしまう竹。
一体どこが違うのでしょうか?
僕はきっと伐採時期の違いによるものだろうと思っています。
竹は木材以上に虫が入りやすく、伐採に適した時期は短いとされています。
今年もそろそろ伐採の時期が近づいてきました。
10月には北摂で桧の伐採を計画中です。
ケヤキのカウンター材
今日は朝から明石市K様邸の打ち合わせを現場で行った後、三田市の西本製材所さんへ行って、K様邸用ダイニングカウンター材を探しました。
杉・トチ・ケヤキ・松・ミズメ桜などの希望樹種を伝えておいたところ、西本製材所の専務さんがいくつか候補となる材料を準備しておいてくれました。
西本さん、ありがとうございました。
いろいろ悩んだ末に、K様ご夫妻がダイニングカウンター用材として決定されたのが、下の画像のケヤキの一枚板です。
長さ3m、巾540mm、厚み60mmでした。
この大きさのケヤキの無垢材にしては、かなり安い価格で譲って頂けることになりました。
ご覧のように節があったりしますが、この大きさで、しっかり寝かせて天然乾燥させた材料の価格としては破格だと思います。
これ以外にも、大変美しい杉の一枚板(長さ4.7m、巾500mm、厚み60mm)も、木に申訳ないような破格値で譲って頂けることになり、とてもいい買い物ができました。
西本さん、いつもお世話になりっぱなしだというのに、どうもありがとうございます。
感謝。
ナキドコロ
東風で設計する建物は、いわゆる【逃げ場】がありません。
構造材はほぼ全てがあらわしになり、床板も天井板も、ほとんど全て裏表ともに化粧仕上げになります。
そんな設計なので、一番の泣き所は設備関係の配管・配線に関する部分です。
毎回毎回、大変ですっ!
明石市で進行中のK様邸でも電気配線が見えないように、大工さんと電気屋さんが協力してこんな風にすっと納めてくれました。
この写真は1階の天井を見上げたところですが、中央に下りてきている配線はどこにも露出していません。
(画像を拡大して見てもらえればわかります)
この床板は下地なしの厚い杉板(35mm厚)を梁の上に直張りしただけですから、2階から見るとこの天井板が床板になっています。
どんな風に配線したか、やり方がわかった方はコメント欄まで(笑)。