2週間ほど前のことですが、仕事の打ち合わせが終わった後、京都市左京区にある曼朱院門跡へ行きました。
このあたり(北白川・修学院近辺)には詩仙堂や修学院離宮、白沙村荘などもあり、美しい建物がゴロゴロしています。
曼朱院門跡へ行ったのはすごく久しぶりだったので、どんな建物だったかすっかり忘れていましたが、やはり美しかった・・・。
今回は特に屋根を詳しく見てきました。
上の写真は小書院(こしょいん)の外観です。
杮(こけら)葺きの屋根で、華奢で繊細な雰囲気を出すために、勾配は3寸とゆるめでした。
起り(ムクリ)はついていません。
軒がちょうどいい感じに低く抑えられていて、とても繊細でした。
一方、下の写真は大書院(おおしょいん)の屋根です。
材料は同じ杮葺きですが、屋根勾配も5.5寸~6寸(推定)と小書院よりも勾配をきつくして、大らかな感じを出すために少し強めのムクリをつけています。
大徳寺高桐院(京都市北区)の書院もこれと似たような屋根ですが、僕はこんなやわらかい感じの屋根が大好きです。
曼朱院門跡は、桂離宮の造営と同時期に、同じ人が同じ材料を用いて作ったと言われていて、桂離宮と似たところが多々あるそうです。
最近仕事の関係で京都に行く機会が多く、少し時間が空くとすぐにお寺を観に行ったりするのですが、久しぶりにいろいろと実測して回りたくなりました。
名建築の実測は何よりも一番勉強になります。
建物をつくった棟梁の考えたことが、実測すると手に取るようにわかりますからね。
少しずつ、少しずつですが、もっともっと研鑽を積んで、みなさんにより美しい建物をご提供できるように頑張ります。
昨日の晩、西宮市内で竣工した建物のクライアントと現場で少し話をしたのですが、今回できた建物をみて
「変わった家ですよね。
何だか、古いんか新しいんかようわからんような家ですね」
と評されました。
そう言われると、どの家もそうかもしれません。
この記事の前半を読んでいただいてもお分かりのように、僕は日本の伝統的な建物のつくり方を強く意識しています。
僕の設計する建物は、手法やセオリーが伝統的なものに基づいていて(もちろんアレンジを加えていますが)、使う材料は現代的なものなのできっとそう言われるのでしょう。
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世界に、300年先も美しい風景を