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金剛山の原木伐採現場へ/旬切り、伐採、天然乾燥、伝統構法(工法)、石場建て

2015/05/16(土)の午前中。
雨が降る中、大阪府河内長野市にある金剛山(こんごうさん)へ行ってきました。

と言っても、もちろんのんびり登山ではありませんよ。
2014秋~2015冬にかけて伐採し、葉枯らししていた杉の原木と現場の状況確認のためです。

雨が降ろうとも、合羽を着て×ヘルメットをかぶり、林業用スパイク足袋を履いて、山に入ります。
雨天なので山ヒルにかまれませんように・・・と心配しながら。

今回の金剛山の伐採現場は、標高約750-800mと人工林としては結構標高が高いところにあり、しかも北東向きの斜面です。
この条件から考えても、かなり目の詰んだ杉であることは間違いない!

雨が降っていたって、上り坂だって、良い杉にめぐり会えると思ったら、苦しいどころかワクワクしてくるんですから、もうほんとに我ながらキチガイじみてるよなぁ・・・と思います。

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山に入るとまず注意するのは、その山ごとに異なる地質。

今回の金剛山は割肌の小石が転がっていて、砂にちょっと粘土が混じっているかな、という感じの地質。

奈良県吉野の山はもっと粘土質が強くて、こんな雨の日は足をとられて歩くのが大変なんですが、ここの現場はずいぶん違います。

静岡の伐採現場はもっと砂気が強いので、ほんと現場によって地質はいろいろです。

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途中通りかかった植林の様子。
杉の細い原木が冬の降雪で曲がってお辞儀してしまっています。

林業家の福本さんが教えてくださったのですが、この杉の林は磨き丸太を育てようとしていた場所だそうです。

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上の写真は、現場へ行く途中に通った、これまでに何度か間伐されている杉の人工林。

なんだか細く見えますが、これでも100年以上は経過しています。
近くに行けばかなり太い丸太です。

間伐しているおかげで下草が豊かに茂っていて、林の中も明るいですね。
この山はどこも下草が良く茂っていて、とても健康的な印象を受けました。

さて山道を15分ほど歩いて伐採現場へ到着。

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この山の木はどれもとてもまん丸です。
変形した楕円形の木が少ない。

そしてとても目が詰んでいます
(目が詰んでいる=年輪の間隔が狭いということ)
良い木が多いです。

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ほら、こんな具合です。
すごく良い目です。

この木も現在葉枯らし中。
木の色がくすんでいるのは、葉枯らしするために伐採してから時間が経っていることと、当日雨が降っていたからですが、年輪の中心に
「ピッ」
と小さく入っている割れがあることからも、この木がすごく素直で良い木であることがわかります。

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ちょっとわかりにくいんですが、上の写真の人差し指のすぐ上にチェーンソーの切れ込みが入っているの、見えますか?

これは林業家の福本さんが、昨年の春に1本あたり数か所ずつチェーンソーの刃を入れた跡です。

一番水を吸い上げる時期に何か所かチェーンソーを入れ、立ち木のままで水を抜き始めます。
そして秋から冬にかけて伐倒し、さらに葉枯らしさせるやり方です。
こうすると、水が早く抜けて乾燥が進むだけでなく、赤身の発色がぐっと良くなるのだそうです。

こういう原木を信頼の置ける方から買わせてもらえると言うのは、本当に本当にありがたいことです。
これから2年間寝かせて、大切に使わせてもらいますよ。

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上の写真は下山してきてから撮った写真ですが、同じ山で出材されたヒノキ。
昨年の秋に出材されたこの山のヒノキを、先週製材したんですが、すごくいい板が採れました。

その製材の様子は、また後日このブログでご報告しますのでお楽しみに。

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今年伐採×製材した葉枯らし材を、ストックヤードに搬入しました

昨日は朝から奈良県吉野町にある東風のストックヤード(土場)へ行って、今年伐採×製材を行った材料の受け入れをしてきました。

今年は柱材だけを挽きました。
梁・桁材はこれまでにストックした材料があるのですが、柱は毎年あっという間になくなっていくものですから、少し大目に挽いたのです。

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↑ 運送屋さんにお願いして、奈良県桜井市の製材所から東風の土場まで運んでもらました。

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↑ この山は今年挽いた木の中でも一番良いものだけを集めた材料です。
杉の赤身の部分だけをつかった柱材で、割れ止めを塗布しています。
来年の現場に使う予定で、これから自然乾燥させます。

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↑ これは4本だけ挽いた杉の通し柱。
全く節のない、とてもきれいな材料が採れました。

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これまでにストックしていた材料と合わせると、結構な量になってきました。
さぁ、これからこの子たちはどのお宅に嫁入りしていくのでしょうか。
楽しみです。

木造建築東風の木材への取組や考え方については
以下のページで詳しく紹介しています
→ http://www.mokuzo-architect.jp/timber.html

 
東風の伝統構法サイト   →  http://www.mokuzo-architect.jp/
東風の古民家再生サイト →  http://mokuzo-renovation.com/
 

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葉枯らし中の吉野杉、もうすぐ山から搬出します

雨の降る中、7/4(金)に奈良県吉野の山へ行ってきました。

今年の1月に伐採し、今まで約半年間葉枯らししている吉野杉を今月中旬に山から搬出するのですが、その選木作業についての打合せを林業家の福本さんとするためです。

今回搬出するのは、60年生くらいのわりと細い木と、120年生の大径木です。
細い木は3.5寸~4寸角の芯持ち柱用材としてつかうもの。
120年生の大径木は、芯去りの柱用材として使うものです。

以下の3枚は、若い方の木が生えている山。
実際に2本ほど玉切りしてもらって、赤身の大きさや末口、年輪の様子などを確認していきます。

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下の2枚の写真は、120年生の杉を伐採した場所です。
上の60年生の斜面とは別の場所です。

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当日は雨が降っていたので木口の写真が不明瞭なのですが、吉野の中でもこのあたりの木は非常によく手入れがなされていることで地元では有名な地域で、すばらしい目合いの杉です。

この木は今月出材して、7寸巾の少しどっしりとした赤身の門柱として使うのですが、もう今から製材するのが楽しみで楽しみで仕方ありません♪

製材の様子は、またこのブログで報告させて頂きます。

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6年間天然乾燥させた杉の大黒柱

年末から取り掛かっている、石場建て伝統構法の新築住宅・I 様邸。

昨日、大黒柱を取りに和歌山へ行き、その足で摺り直し製材(修正挽き)をするために奈良県桜井市へ行ってきました。

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これは2006年晩秋に静岡で伐った樹齢110年の杉の木ですが、2007年から和歌山の友人・東さんが預ってくれていたものです。

約6年かけて充分天然乾燥され、とても軽くなっていました。
和歌山から桜井の製材所へ持ち込み、ねじれや歪みを直すために修正挽きを行いました。

修正挽きを行う前は、日焼けしたりホコリを被ったりしていて色も悪く、目もよく見えないのですが、修正挽きを終えると下の写真のように、きれいなピンク色になります。
この色が、天然乾燥でないと出せないんですよね。

(暗い工場の中でストロボを焚いて撮っているので、現物とは若干色が違いますが・・・)

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この後、表面をモルダーで一旦仕上げて、週明けに大工さんの倉庫へ搬入します。
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古民家/石場建て伝統構法 を 高気密・高断熱で暮らしやすく
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京都市N様邸竣工写真-1/伝統構法石場建て住宅

京都市N邸では土壁もほとんど乾き、木製建具も入ってようやく建物は完成の姿になりました。

土日の2日間で作業の合間に竣工写真を撮ってきましたので、そのうちの何枚かをご紹介します。
※全ての画像はクリックすると拡大表示できます。

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外観はこんな感じです。

外構がまだ一部仕上っていないので、足元をカットしているアングルで撮りました。

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上の写真は玄関まわりです。玄関の建具は京都らしいシンプルな格子戸にしています。

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この写真(↑)は南側の外観を横から撮ったカットです。

屋根には樋をつけていないので、造園を担当して下さった宮川庭園の宮川さんが古瓦を使って雨落ちを作ってくれました。

砂利が敷き詰められているところは、巾 60 cm × 深さ 30 cm ほどの排水溝になっていて、屋根からここに落ちた雨水は砂利の間を縫って公共下水に排水されるようになっています。

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上の写真はリビング南面の窓を通じて、照明で照らされた内部の木組みを外から撮ったカットです。

昼間は外の方が明るいので、外からはガラスに反射して室内の木組みは全く見えませんが、夜になって室内の方が明るくなると、吹き抜けの木組みが外から丸見えになって、建物の表情が一変します。

設計した本人が言うのも何ですが、毎日この景色を見ながら家に帰ってくることができるのは、とっても羨ましいなぁ・・・と思います。

明日は内観の写真をご紹介しますのでお楽しみに。

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夜景/天然乾燥・葉枯らし材でつくる伝統構法の家@京都市

一昨日の夜、京都市N邸でNさんご夫妻と外構の打合せをしている時に、夜の建物をまじまじと見る機会がありました。

奥様から
「さとうさん、階段めっちゃきれいですね」
と言われてふと思いつきました。

見学会の時に夜景を見てもらうのも良いのでは? と。

 

実は東風でつくる建物の多くは、夜に外から見ると建物の中の木組みが間接照明に照らし出されて、昼間とは表情が全く逆転してなかなかいい感じになるのです。

今回のNさん宅の夜景写真はまだ撮っていないのですが、東風のホームページでは神戸のSさん宅の夜景写真を掲載しています。

参考までにご紹介しますと、昼間はこんな感じですが、夜になるとこうなります
ねっ?表情が一変するでしょう?

 

ご多分に漏れず、Nさんのお宅も夜景がとっても魅力的です。

ということで、見学会の開催時間を下記の通り少し延長しました。
【終了時刻両日共に 18:00→20:00に延長】

もちろん、昼も来て、夜も来る、というのも大歓迎です(笑)。

 

本日は階段の夜景写真のみご紹介します。
(三脚・ストロボを使わずに撮ったので、若干ブレてますがご容赦下さい)

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このお宅の家づくりの全容は木造建築 東風(こち)の以下のページでご覧になって頂けます
→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html

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屋根のスカイライン/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

昨日はとても暖かい日でしたね。

どうやら花粉がたくさん飛んでいたようで、くしゃみや鼻水がひどくなりました。
これからしばらくは悩まされそうです。

青空には瓦と漆喰の組合せが映えます。

軒先に雨樋が無いので、屋根の一文字瓦のラインがすっきりきれいに見えました。

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京都市N邸にて

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玄関の格子戸/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

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昨日、京都市N邸の木製建具吊込み作業を行いました。
上の写真は夕方に撮った、玄関の片引き格子戸の写真です。
靴脱ぎ石も座り、養生されて見えなかった式台も姿を現わし、土間も仕上げてきたので、一気に玄関らしくなってきました。
(↑ このあたりの写真はまた後日)

と思いきや、現場はまだ土壁が乾いていないので、木製建具がすぐ狂ってしまう状況です。
よって、全ての建具は一旦建具屋さんが持ち帰って預かってくれています。
(当然、この写真の建具も持ち帰りです)

この家ももう少しで完成です。

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古い石を使いましょう/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

古材の再利用、と言えば古民家の黒く煤けた梁や柱などを思い浮かべると思うのですが、石も忘れてはいけないものです。

石は木に比べると、目に見えて古びたような感じは出にくいものですが、それでもやはり新しく切り出してきた石と使い古された石とを比べると、表情が全く違います。

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上の写真は京都市N邸の玄関に据える予定の靴脱石で、以前Nさんのお宅の敷地内に建っていた家で使われていた古い白御影石で、表面は叩いて仕上げられています。
写真ではよくわからないと思うのですが、長年のうちに角張ったところが無くなって丸みを帯び、色もこなれてとても柔らかい雰囲気になっています。

きっとこれが玄関土間に座ったら、いい感じになると思いますよ。

錆御影や鉄平石など、鉄分を含有しているために錆が出てくる種類の石などは、古びているととてもいい表情になってきます。

大きな石はとても重いので、運ぶ時にワイヤーを使ったりすることで傷がついて、表情を損ねてしまうことがあるのですが、古い石が座るとドシッとして落ち着いた雰囲気になりますね。

あなたのお宅にも、庭に埋もれた古い石があったら、積極的に使ってみられてはいかがですか?

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階段の手摺/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

京都市N邸では階段の手摺が取付きました。

実は先週のNさんご夫妻との打合せを行うまでは、玄関につける手摺を丸太で作ろうかと考えていたのですが、実際に丸太を現場に持ってきてやってみたら室内の雰囲気に合わなかったので、玄関の手摺は中止に・・・。

そこで階段の手摺を北山杉の小丸太にすることにしました。

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北山杉の磨き丸太は自然の木の皮をむいて磨いたものなので、根元の方(1階の上り口)ではちょっと太目ですが、末口(2階の上がりきりの部分)では細くなっています。
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上の写真は中間付近での手摺の拡大写真です。
ご覧のようにこの木は小さな入節が多いのですが、わざとこういう木を選びました。

和室の床柱などでもそうですが、つるっとした節の無い木は表情に乏しいので、象徴的な存在になる木の場合には、わざと小さな入節や筋(絞り)が入っているものを用います。

このような小さな入節はエクボと呼ばれて、床柱などでも割と好まれます。
人間と一緒で、床柱にエクボがあると微笑みかけているかのような愛嬌があってなかなかいいものです。

この材料は、いつも大変お世話になっている京都市上京区の中儀銘木店さんで買ってきました。

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上の写真は、手摺の北山杉小丸太を受ける腕木(うでぎ)です。

ホゾの部分は柱に飲み込ませて鉛直方向の荷重を支えるように設計しています。

当初の設計では、手摺も杉の角材でつくり、手摺を支える腕木も既成の金物を使う予定でしたが、丸太が入って腕木も木製にすると雰囲気がかなり変わりました。

この腕木は赤松の柾目の古材から採ったものです。

とてもとても重い木だったので、きっと大工さんの刃物が刃こぼれしてしまったのではないかと思うのですが、とても丁寧に造り出してくれました。

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