建物をつくるためには設計図が必要です。
僕ら建築家の最も端的な(目に見える)仕事は設計図をつくることです。
ですから
「設計図があれば、それをもとにしてつくるのだから誰が作っても同じだろう」
と思われる方も多いと思うのですが、それがそうはいかないのです。
実際に現場で手を下す職人さんのセンスや判断力、提案力、質問力によって、建物の出来具合は大きく変わっていきます。
うちが手がけているような木造建築物の場合、やはり一番大きいのは大工さんのセンスですが、センスのいい大工さんというのは本当に少ないです。
例えば枠の取り付けにしても、ただ図面に書かれている寸法どおりにやっておけばいいというものではなく、木の目やクセを見て使い方を考え、実際に手を下す前に一言相談する。
その小さな積み重ねができる人とできない人とでは、最終的な建物の仕上がりが大きく違ってきます。
木の目やクセというのは、
○ 赤身白太の入り具合
○ 節の有無・大小や、生節/死節の違い
○ 目の詰まり具合、柾目/杢目の向きや勝手
○ 木の元末、木表/木裏、男/女をどのように使うか
などといったところが主な勘所ですが、このようなことを考えながら仕事をしていくと、設計図面どおりに納めない方がいい場合というのもしょっちゅう出てきます。
今、東風で施工中の京都市N邸という現場を手がけてくれている大工さんは、こういったセンスが抜群です。
僕がこれまで付き合ってきた大工さんの中でもトップクラスです。
(もちろん、刃物の切れや腕もピカイチです)
こういう大工さんに手がけてもらえると、木がとても喜びます。
これまで何度もブログでご報告してきたとおり、京都市N邸では木材に尋常ならざるいろんな人の思い(建築主・生産者・設計者etc)が入っていますので、それをきちんと汲んでくれる職人さんに出会えて良かったなぁ・・・としみじみ思います。
もちろんこういった話は大工さんに限らず、左官、屋根、建具、基礎、電気、水道など全ての職種において言えるのですが、建物が出来上がってしまった後ではなかなか目に見えない話で、とかく設計や材料ばかりが取りざたされがちです。
こんなことを書いても実感としてはなかなか伝わりにくいと思うのですが、それでもちょっとお伝えしておきたいな、と思ったので書いてみました。
Sさん、I さん、いつもありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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