前回に引き続き、日光東照宮のレポートです。
今回、日光東照宮を訪れた目的は、現在行われている漆の塗替え作業現場見学のためです。
普通、作業中の現場を見ることは個人ではまず無理なのですが、そこは日本民家再生協会で勉強会を主催して正式に申し入れをしたこともあって、現場の方にもご理解を頂くことができました。
現場の技師の方にご案内して頂いて現場を見学。
上の写真は廻り縁(えん)の床板に塗った漆が劣化し、ひび割れてはがれかかっている状況写真です。
漆の大敵は紫外線なのですが、こんな屋外にある日光東照宮では、塗って1年も経たないうちに漆の艶はなくなってしまうそうです。
そこまでして、どうして漆を塗ったりしたんだろう・・・と不思議で仕方ないのですが、江戸時代には20年毎に手を入れて漆の補修をしていたんだとか。
しかし今は財政面の問題もあって、60年に1度程度しかできないのだと担当の方が話して下さいました。
徳川政権おそるべし、ですね。
上の写真も補修前の漆の状態です。
拡大表示していただくとわかると思いますが、彩色がはげてしまったり、模様が切れてしまったりしています。
この写真は、補修が完全に仕上ったところです。
こんなにも鮮やかな色・艶になるのかと感嘆しました。
この状態にするまでには、恐ろしいほどの人の手間がかかっています。
漆を掻く職人さんの手間、建物をつくる大工さんの手間、漆を塗る職人さんの手間・・・。
なんという建築でしょうか!
好きか嫌いかはちょっと置いといて、これはもう建築ではなくて工芸品の域ですね。
陽明門の手前にあった下の写真の建物は、4年前に塗替えが終わったそうです。
妻面の象の下絵は、狩野探幽作だと言われているものだそうです。
正直、日光には圧倒されました。
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