様相(ようそう)建築と言われる建物があります。
1990年代前半に大阪に建てられた新梅田シティ。
関西圏の方にはおなじみのビルでしょう。
設計者は京都駅ビルと同じ、原廣司+アトリエφ
建物を視覚的な反射率の高いガラス張りによって構成し、その時の天候や周囲の景色を建物の外壁=ガラスに映りこませて、建物を周辺環境に同化・調和させて建物の存在感を消したり、建物の表情の変化を楽しむというのがその設計趣旨です。
下の写真は僕が学生のとき(かれこれもう16年前)に、その設計者のコンセプトを反映させた写真を撮ってみたい、と思って写したものです。
ガラスに青い空や白い雲が映りこんで建物を消し、空中庭園と呼ばれる、頭頂部の白いデッキが空に浮かんでいるように感じさせたい、という設計者の意図が絵になっているでしょうか?
この建物やこの種の設計コンセプトが良いかどうかは別にして、この【様相】というものについては、どうも女性の方が敏感な気がします。
上記のような現代建築ではなくても、日本の伝統的な建物は陰影を大切にしているので、季節や天候によって室内の佇まいが変化しますよね?
僕も建物を設計する際には陰影にものすごく気を使います。
それこそ、
「ちょっとおかしいんちゃう?」
といわれそうなくらいに(笑)。
でも、日本の木造建築の真髄は
【陰影・プロポーション・素材感・繰り返すリズム】
にあると思っているので、こればっかりはないがしろにできません。
まぁそんな僕のこだわりはどうでもいいんですが、うちのスタッフ(2人とも女性です)と建物の話をしたりしていると、同じ設計者なのに見ている観点がえらく違うなぁ・・・と感じることが多いのです。
そういう様相の変化に重きを置くのは、やはり感情の機微を掬い取ることに長けている女性ならではの優れた能力の一つなのでしょう。
(↑ 女性の皆さん、そうじゃなかったらごめんなさい)
設計者というのは、全てを頭の中でイメージしきってから建物を作っていると思われるかもしれませんが、決してそんなことも無いんですよ。
出来上がってから
「うわっ、ここから見るとこんな風に見えるんか!」
とビックリすることもあるくらいです。
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世界に、300年先も美しい風景を