工事 解体」タグアーカイブ

碍子

明石市K邸の現場で行っていた解体工事が先週いっぱいで無事完了しました。

近隣のみなさまには騒音やほこりなどでご迷惑をおかけしたと思いますが、何とか予定よりも短い期間で工事を完了させることができました。

ご理解を頂き、誠にありがとうございました。



そのK邸の既存建物から出てきた碍子を集めて洗いました。

壊れてしまった分などもあると思うのですが、これだけ残りました。


碍子


 


 


 


これは特にどうやって使おうかと決めているわけではないのですが、一つ一つ手作りなので形も大きさも微妙に違うし、歪んでいたりしてなかなか愛らしいですよね。

これからKさんとゆっくり考えてみたいと思っています。



【見学会のお知らせ】

下の写真は京都市N邸に使った大黒柱を伐採した、静岡の山から撮った景色です。

ここは標高が高く、とても霧が深いところで、いい杉が育ちます。
樹齢110年の木を、22cm角のほぼ赤身だけで仕上げた目の詰んだ大黒柱はなかなか見応えがありますよ。

梅ヶ島






3/13(土)-3/14(日)の2日間にわたり、京都市左京区N邸で
新月伐採材を使った石場建て伝統構法住宅の完成見学会を行います。
詳しくはこちらをご覧下さい。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

世田谷リフォーム 解体工事

またまた東京に行っておりました。
このところ、月に2回ずつ位のペースで上京しているような・・・。

今回の上京の目的は、

1. 来月初旬から着工予定の世田谷区でのリフォーム物件の見積りに際して
各工務店さんに詳しい事情をご説明するための現場説明会の開催
2. 現場の1階天井解体工事の立会い

です。

昨日、前所有者から今回のクライアントへの物件引渡しが行われ、その後現場の構造材の状況を確認するために、1階の天井を解体しました。

今回解体工事をして下さったのは、NPO法人・民家再生協会の仲間で、東京・新木場で古材や古建具の販売をされている、株式会社ひでしな商店さん。

床面をブルーシートで養生し、大工さんが天井をばらしては解体材を整理してトラックに積んでいきました。

そして・・・↓

解体完了後の写真。
これで2階の床を支えている梁の調査ができるようになりました。

作業が完了して片づけが終わった後、僕は1人で現場に残り、構造材を見上げながら1時間以上頭の中で構造補強のための梁の組み方を考えていました。

この建物は建築当初の構造面での設計があまりよくなかったため、屋根の荷重をきちんと支えられていないところがあります。

具体的には、それが2階の床のたわみとして出てきているのですが、それを解消するために、今回のリフォームに際して古材を数本使って構造体を補強します。

木造の場合、
どこに柱・梁を入れて上部荷重を受けるか?
どんな形の材料・樹種をどのように見せるか?
という両方のバランスを取りながら、うまく空間構成を考えていくことがとても重要です。

来週末には再度東京へ行って、工務店さんの見積り提出を受けると共に、古材の選定を行います。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

兵庫県で古民家再生工事が始まりました

兵庫県龍野(たつの)市で、築約100年の古民家再生のための工事が始まり、昨日現場へ様子を見に行ってきました。
台風が来て大荒れの天気になるのでは?と、朝のうちは気をもみながら車を走らせて行ったのですが、昼過ぎに現場へ着いたころには、もう雨も止んで、晴れ間がのぞいていました。

昨日は、別棟の蔵を解体・撤去したり、不必要な天井・床組み部分を解体・撤去する工事が行われているところでした。

自分の仕事(←ボランティアを除く)として携わる現場としては、久々の古民家ですが、やはりなかなかおもしろいものです。
特に解体作業中は、これまでの家の工事の歴史が一挙に見られるので、大変興味深いです。
一般の方(←建築業関係者以外)は、なかなかこういった現場に立ち会う機会がないと思うので、少し写真を交えてご紹介したいと思います。

(ちなみに、それぞれの写真は小さく表示されていますが、写真をクリックすると別ウィンドウで大きく表示されます。
詳しく見てみたい時にはお試しください。)

最初に、全ての建具を外して、部屋をがらんどうの状態にします。
畳ももちろん上げて、保管場所に移しておきます。
そして壁の上塗り部分をこそげ落としたり、ベニヤ張りの壁・天井なども撤去して、木軸の骨組(←柱・梁など)と土塗り壁だけの状態にします。

次に床をめくっていきます。

古民家ではよくあることですが、床組材である根太(ねだ)とか大引(おおびき)、床束(ゆかづか)など、床下の構造材は人目に触れないため、解体された古材が使われていることが多いです。
上の写真の中でグニャリと曲がっている太い材料(←大引)も、以前は別の場所で使われていた痕跡がありました。

なぜかというと、昔は木材が非常に高価だったため、新しい木材を買ってくるとお金がかかって仕方なかったからです。
近所で家の解体などがあったりすると、材料をもらってきて保管しておき、それを自分の家の建て直しの際に使ったりしていたようです。
人目に触れる柱や梁などには、きれいな新材を使っても、見えない部分の木材には見栄えはよくないが耐久性に問題のない古材を使うというのが一般的でした。

今回のお宅でもご多分に漏れず、床組材はほとんどが解体材を転用したものでした。
解体工事に立ち会っていると、こういう当時の社会情勢や家の歴史を目の当たりにすることができて、とてもおもしろいのです。

この柱は、床下の部分で柱を継いでいたことがわかりました。
これを

【 根継ぎ (ねつぎ) 】

と言います。
この家が建てられたあと、何度か近くを流れる揖保川(いぼがわ)の水害による床下浸水があったようです。
そのせいかどうかはわかりませんが、何らかの事情により、この柱の根元が腐ってしまったので、当時の大工さんが苦労して根継ぎしたのでしょう。

ここにもまた歴史を垣間見ることができます。

解体した木材や廃材を、大工さんが前庭で一枚一枚ていねいに整理してくれていました。
こういう心遣いはとってもうれしいものですね。
今は産業廃棄物処理の際にきちんと分別をしないといけないので、分別はどこでもやっていることなのですが、廃材をきれいに部材別に分けて整理していることは珍しいです。

  『 気は心 』

と言いますが、本当にそうだと思います。
もちろん、僕からも大工さんにきちんとお礼を言って、うれしく感じたこともちゃんと伝えておきました。
僕はこういう小さなコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。

今回の現場では敷地が広いためにこういった整理作業もやりやすかったのですが、なかなかここまできれいにやってくださる工務店は少ないと思います。
本当に感心しました。

大工さん、これからもどうぞよろしくお願いします。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を