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かやぶき屋根 葺替え現場に行ってきました

久しぶりの更新です。

ようやく身辺が落ち着いてきたので、今日からはまた平常どおりのペースでブログを更新していこうと思っております。

みなさま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



9/17(木)に、宝塚市内で行われているかやぶき屋根の葺替え現場へ見学に行ってきました。

 

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これはうちの設計物件ではありませんが、日本民家再生協会(以下、JMRA)の仲間である、京都府美山町の屋根晴(やねはる)さんが手がけておられる物件です。

「今週一杯で完成します」
と聞いていたので、急いで見に行かないと!と思い、スタッフを連れて事務所総出で見学させてもらいに行ってきました。

 

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のどかな風景の広がる土地で、青空の下で仕事をするのは気持ちいい、と
屋根晴の20代の若い職人さんは嬉しそうな顔をして話してくれました。

 

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関西地方の典型的なかやぶき屋根は入母屋型です。
その妻面に、杉の青葉を積んだ納め方をされていました。

僕はこのような納め方を見たのは初めてだったのですが、鮮やかな緑がとても美しかったです。



現場で、かやぶき職人独特の道具をいくつか見せてくださったので、写真に納めてきました。
以下にご紹介します。

かやぶき0918-5












これは、太い藁縄(直径1cm程度)を使ってかやをくくる時に使う道具です。
針のおばけのような形ですね。



かやぶき0918-4





 

 

 

 

 

 

 

先ほどの藁縄よりももっと細い縄(直径5mm程度)を通す際には、こちらの道具を使うそうです。


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軒先の萱の先端のツラを揃えたり、角度をつけたりするときには、
このような道具を使って萱の木口を叩きます。



休憩時間に、屋根晴の代表・西尾さんから、かやぶき屋根に関するいろんなお話を伺いました。

西尾さんは僕と同い年(=同学年)です。

社会に出てからかやぶき屋根の施工にずっと携わってこられたようですが、かやぶき屋根に関する、彼独自の見解を聞かせてもらって、

「なるほどなぁ~。
 そういう見方もあるんだ。」

と、西尾さんに視野を広げてもらった気がします。

西尾さん、職人のみなさん、お忙しい中時間を割いてくださってどうもありがとうございました。



以前もこのブログで宣言しましたように、少しずつではありますが今後は東風でコンスタントにかやぶき屋根の建物を作っていくことに決めましたので、また近いうちに西尾さんと一緒に仕事をさせてもらう日が来ることでしょう。

どんな建物になるのか、今から楽しみです。



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棟換気

昨日、屋根を葺く板金屋さんが現場に来て、棟換気部材を取り付けてくれました。
棟換気部材というのは、太陽光で温められた(というか、熱くなった)屋根の下の熱気を棟(屋根の一番てっぺん)で排気して熱気を抜くための部材です。

上昇気流と金属板で作られた弁のようなもので、動力などはありません。

棟換気

 ↑ 断面形状はこんな感じ。
 これを屋根の一番てっぺん(棟)にかぶせます

棟換気1

この部材は2層構造になっています。
上の写真は上下の層をずらして写真を撮ったもの。

グレーの部分が雨をよけるための屋根の役割をして、
その下の深緑色の部分がベンチレーション(換気)のための部材です。

取り付けが完了するとこんな感じ(↓)になります

棟換気5

ガルバリウム鋼板や銅板などの金属製材料で屋根を葺くときによくこの部材が使われるのですが、
「なんで雨が漏らないんだろう・・・」
と、どうも不思議でなりませんでした。

そこで!
昨日、現場で本当に漏水しないか実験してみました。

もちろん、取り付ける前に、ですよ(笑)。

下の写真がその実験のときの様子です。

棟換気2

まず、棟換気部材の下に、漏水確認のための乾いた板を置きます。

棟換気3

そして板の上に棟換気部材をかぶせて、ありえないくらいの勢いで上からホースで水をかけまくります。

棟換気4

水をさんざんかけ終わった後、棟換気部材を移動させてみました。
ご覧のように、全然問題なかったです。
(一部に水滴がついているのは、移動した際に部材から垂れ落ちてしまった水です。漏水は一切していませんでした)

この後、真上からかけてもまったく問題ない様子だったのでさらに過酷な状況で!と思い、斜め下から吹き上げるように水をかけてみました。

それでもまったく問題ありませんでした。
ということで、安心してこの部材を使うことができます。
(って、実はすでに別の現場で使ってますけどね)

明日は、
「じゃあ、この部材がどのくらい有効なのか?
 ほんまに効くんか?」

というところをお話します。
どうぞお楽しみに。

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屋根面の断熱と通気

先日書いたように、小屋裏を全て化粧材とするデザインの場合、屋根面の断熱をどうするか?という工夫が必要になってきます。

うちでは垂木を2重にして、野地板の上に断熱材を敷き詰め、さらにその上を空気が通り抜ける仕組みにして熱気が階下へ降りてくるのをできるだけ防ぐようにしています。
(それでも真夏の日射は防ぎきれるものではありませんが・・・)


断熱


 


 


 


 ↑ 上の写真は、化粧野地板の上に断熱材を敷き詰めた様子


通気


 


 


 


軒先の野地板に細いスリットを切って、そこから空気が断熱材の上を流れていくように通気層をとっています。

断熱のことだけを考えると、もっといい方法はいろいろとありますが、デザイン的にも美しく、性能面でもある一定のラインを確保しようとするバランスを考えると、現在のところはこのような納まりを標準としています。

参考まで。

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古い?新しい?

2週間ほど前のことですが、仕事の打ち合わせが終わった後、京都市左京区にある曼朱院門跡へ行きました。
このあたり(北白川・修学院近辺)には詩仙堂や修学院離宮、白沙村荘などもあり、美しい建物がゴロゴロしています。

曼朱院門跡へ行ったのはすごく久しぶりだったので、どんな建物だったかすっかり忘れていましたが、やはり美しかった・・・。
今回は特に屋根を詳しく見てきました。

上の写真は小書院(こしょいん)の外観です。
杮(こけら)葺きの屋根で、華奢で繊細な雰囲気を出すために、勾配は3寸とゆるめでした。
起り(ムクリ)はついていません。
軒がちょうどいい感じに低く抑えられていて、とても繊細でした。

一方、下の写真は大書院(おおしょいん)の屋根です。
材料は同じ杮葺きですが、屋根勾配も5.5寸~6寸(推定)と小書院よりも勾配をきつくして、大らかな感じを出すために少し強めのムクリをつけています。

大徳寺高桐院(京都市北区)の書院もこれと似たような屋根ですが、僕はこんなやわらかい感じの屋根が大好きです。

曼朱院門跡は、桂離宮の造営と同時期に、同じ人が同じ材料を用いて作ったと言われていて、桂離宮と似たところが多々あるそうです。

最近仕事の関係で京都に行く機会が多く、少し時間が空くとすぐにお寺を観に行ったりするのですが、久しぶりにいろいろと実測して回りたくなりました。

名建築の実測は何よりも一番勉強になります。
建物をつくった棟梁の考えたことが、実測すると手に取るようにわかりますからね。
少しずつ、少しずつですが、もっともっと研鑽を積んで、みなさんにより美しい建物をご提供できるように頑張ります。

昨日の晩、西宮市内で竣工した建物のクライアントと現場で少し話をしたのですが、今回できた建物をみて

「変わった家ですよね。
何だか、古いんか新しいんかようわからんような家ですね」

と評されました。
そう言われると、どの家もそうかもしれません。

この記事の前半を読んでいただいてもお分かりのように、僕は日本の伝統的な建物のつくり方を強く意識しています。
僕の設計する建物は、手法やセオリーが伝統的なものに基づいていて(もちろんアレンジを加えていますが)、使う材料は現代的なものなのできっとそう言われるのでしょう。

【お知らせ】
総2階平屋建てみたいな家、構造見学会を開催します(7/7・土)
詳しくはこちらをご覧下さい

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かやぶき屋根の古民家が残るまち、在原をご存知ですか?

あなたは、かやぶきの里・在原(ありはら)をご存知ですか?
びわ湖の湖北にある、滋賀県マキノ町在原というところには、今もなおかやぶき屋根の古民家がたくさん残っている、とても静かなところです。NPO法人・日本民家再生リサイクル協会・近畿地区では、6/19(日)にこの在原を訪ねるイベントを開催します。

今回は、在原の景観に惚れ込んでこの地へ移り住むことを決意された方のお宅におじゃまして、セルフビルドにて古民家を改修しているその経緯や、実際の体験談などについてのお話をうかがいます。
古民家の中で参加者のみなさんでしし鍋を囲みながらのんびりと談笑したり、在原の集落の中をゆっくり散歩してスケッチをしたりして過ごす時間は、きっとあなたの心をちょっと豊かにしてくれると思いますよ。

上記のイベントは、現在下記ホームページにて参加申込みを受付中です。
実際の個人のお宅におじゃましてお話を聞かせていただける機会はなかなかないので、この機会にぜひご参加ください。
定員は15名なのですが、現在7名の方がすでに申し込まれており、お早めに申し込まれることをおすすめします。

NPO法人・日本民家再生リサイクル協会近畿地区
ホームページはこちら!

↓   ↓   ↓   ↓   ↓

http://kinki.minka.gr.jp/

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