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フィードバック/京都市・石場建て伝統構法の家

2010/06/04(金)の晩のことです。

3月末に竣工した、京都市N邸で建築主のN様が宴会の席を設けて下さり、工事関係者と林業家、それから東風スタッフでおじゃましました。

当日は、N邸の木を出して下さった静岡の林業家4名、大工の棟梁1名、左官の職長1名、東風3名のほか、N様のご友人・ご親戚の方など、総勢20名以上のみなさまが一同に会し、夜遅くまでいろんな話に花が咲きました。

3年前、N様のお宅を設計に着手した際には、設計の一番最初の段階から

「リビングでは20-30名が集まって、座卓を囲んで食事をしたりできるように」

というご要望がありました。
その実際の風景に居合わせることができて、20名ぐらいでちょうどいい空間だなぁ、と実感しました。

宴会の最中には、N様(ご主人)が工事中に撮り溜めた写真を自らプロジェクターを使って映写・解説して下さり、それを傍で見せてもらっている僕ら東風スタッフとしては、もううれしいやらこそばゆいやら、何とも初めての経験でした。

でも、N様がとても喜んで下さって、この家をとても気に入って下さっていることが痛いほどよくわかり、何よりもそれがとても嬉しかったです。

それともうひとつ。

今回は、木を出してくれた林業家である、静岡の鈴木林業のスタッフの皆さんが現場であるN様のお宅に来てくれて、自分たちが出した木でつくられた建物を観てもらうことができたことが良かったです。
(本当は、他にも木を出して下さったり製材をして下さった静岡の皆様にも来て頂きたかったのですが)

林業家は、毎日木に接しているにもかかわらず、実際に自分たちが出荷した木を使って作られた家を見たり、使って下さったお客様とも話をしたりお礼を言ってもらえたり、といった機会に立ち会えることはほとんどありません。

東風だけでなく、木の家をつくる際に一番大切な素材=木材を提供して下さっている方々なのですが、考えてみればおかしなことですね。

今後は東風でも、もっともっとこういう機会を増やしていって、林業関係者のみなさまに自負と誇りを感じて頂けるように努力したいと思っています。

そういう意味でも、家を建てる際に

「どの山から出てきた木なのか?」

ということをきちんと記録しておき、ちゃんとお互いをつないであげるというのも、僕たちの大切な仕事なんだなぁと、今さらながら再認識しました。

このお宅の家づくりの全容はこちらのページでご覧になって頂けます

 

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世界に、300年先も美しい風景を

セルフビルドとコストダウンについて~その3

前回・前々回に引き続き、現在お住まいの家・または中古物件のリフォームにおけるセルフビルドとコストダウンの方法について書いてみます。

(※注:前回、および前々回の記事をまだ読んでいらっしゃらない方は、【セルフビルドとコストダウンについて~その1】【同~その2】を先にお読みください。その方がよりよく理解していただけると思います。)

今回はセルフビルドの目的について書いてみたいと思います。

セルフビルドの目的は3つに分類されます。
それは、


A) コストダウンしたい!

B) 作業を楽しみたい!

C) 建物に自分の思い入れを入れたい!

です。


A) コストダウンしたい! という方へのアドバイス
コストダウンの目的でセルフビルドを行う場合は、プロに頼む仕事(=出費)をできるだけ減らしたい、というのがホンネですよね?
ですから、自分でできる工事量をできるだけ増やせばよいのです。
多くのケースでは、プロがやろうとしている仕事の中で、自分でもできそうな工事(例えば塗装、左官の薄塗り壁仕上げ工法など)のみを建築主がやられているようですが、これだけでははっきり言ってコストダウンできる金額は数万円です。
もっと大きくコストダウンしたい!と思ったらどうすればよいか?
そこから一歩も二歩も踏み込んで、プロがやろうとしている仕事を、素人でもできるような工法・デザインで設計しなおして(←ココが大事)、自分でやってしまえばよいのです。
あなたに時間とやる気があって、指導してくれる人がいれば、たいていのことは自分でできます。
でも、防水・給排水・電気に関する部分は、専門知識や経験がない場合にはやめておかれた方がいいと思います。

B) 作業を楽しみたい! という方へのアドバイス
「木工が好きなんです!」という方に多いのですが、自分で何かを作るのを楽しみたいので家づくりに参加したいという方。
これはもう特に難しいアドバイスなどはありません。
まずリフォームを担当してくれる設計者や施工者の方、そして現場の職人さんと仲良くなって下さい。
そしてわからないことをドンドン素直に質問して、なんでも教えてもらうのです。
材料のこと、やり方のこと、自分がこんなことをやりたいと思っていることなど、何でも遠慮せずに聞いて、情報を仕入れてください。
でもちょっと工夫が必要です。
それは

「すみません、ちょっとわからないので教えていただきたいんですが・・・」


とまず前置きしてから聞くことです。

これは相手にこう(↓)言っているのとほぼ同じです。

「私は素人でどうしたらいいのかわからないので、プロであるあなたに助けてもらいたいんですが・・・」

お客さんからこう言われて、うれしくない職人はまずいないでしょう。
きっと懇切丁寧にいろんなことを教えてくれると思います。

C) 建物に自分の思い入れを入れたい! という方へのアドバイス

これを意識して実行されている方は、まだ少ないかもしれませんね。
ここでちょっと、僕が実際にクライアント(建築主)と一緒になって作った六甲山麓の家で実際にあったことをご紹介します。

六甲山麓の家では、内装工事(木工事から仕上げ工事までの一切)を全て素人(建築主・彼の弟・友達など)だけでやりました。
毎週末(土日)はもちろん、朝から晩まで現場で大工作業です。

幸い、工事中の仮住まいを現場のすぐ近くでしていたので、クライアントの子供(小学生の男の子と保育園に通う女の子)2人や近所の子供達もほぼ毎日、現場へ遊びに来ていました。
つまり彼らは、お父さんが最初から最後まで家を作っているところを実際に何度も目の当たりにしているのです。
こうなると、家に対する家族の思い入れは全く違ったものになってきます。
表現が適当かどうかわかりませんが、入居する前からすでに「家がもう一人の家族」みたいな感じになってきます。

こうなると、その家はきっと後世まで大切に使われつづけることでしょう。

以上、大変長くなってしまいましたが、セルフビルドの目的について書いてみました。
最後まで読んでくださって、どうもありがとうございました。

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