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塗装の塗り見本

塗り見本 左の写真は、世田谷区で行っているY邸リフォーム現場の床板の塗装見本です。

板は栗(無垢材)のフローリングですが、塗装で色をつけたいというクライアントの希望により、工務店さんに塗装見本を作って欲しい、とお願いしてできたものです。
(羽田野工務店さん、および塗装屋さん、
 どうもありがとうございました)

これは、板を2枚並べて撮った写真ですが、実は左の塗り見本と右の塗り見本はそれぞれ全く同じ塗料を使って、同じ回数だけ塗り重ねたものです。
(左と右は同じ塗料ですが、上と下とでは塗料の配合が違います)

しかし、左と右とで微妙に色が違うのがお分かりでしょうか?
(下の黒い見本は違いがよくわかりますね)



両者の違いは拭き取りの差です。

左のサンプルは、刷毛で塗ったあと、ウエス(布)で余分な塗料を拭き取って仕上げたもの。

右のサンプルは刷毛で塗った後はそのまま放置して乾かしたものです。



拭き取り仕上にすると色は薄くなりますが、刷毛ムラが残りにくく、木目がしっかりと浮き出てきて、メリハリの利いた仕上がりになります。

一方、塗り放しにすると、塗料がしっかり載っている分、木目が出にくくなり、材料自身のメリハリは出にくくなりますが、ボリューム感が出ます。

このように、同じ塗料を使っても、仕上げ方が違うと雰囲気も変わってきます。



実はここからさらにこだわっていくと、拭き取り仕上の場合に、塗料を塗りつけてから何分後に拭き取るか?(塗ってからすぐに拭き取るか、塗ってから5分後、または10分後に拭き取るか)などによって、さらに微妙な変化があります。

もうそのあたりまでいくと、実際の施工時にそこまできちんと管理できるのか?
といった、別の側面の問題も発生してくるのですが、塗装と一口に言っても、実はとても奥が深いものです。



今回は採り上げませんが、下地処理として目止めを施すか否かによっても色ムラや木地の吸い込みが変わってくるし、サンディングと言って塗った後に研磨を施すと、もっと光沢や平滑さを出すこともできます。



あんまりこだわりすぎると、どんどんコストがかさんでいくので、最近はあまり突っ込んだことはお薦めしませんが、漆の世界などに入るともう大変です。

建築の世界でも、襖の縁とか引き手、床框や床の地板などを漆で仕上げることがありますが、それはそれは奥が深いものです。

そのあたりは100%国産漆だけにこだわって四国で作品づくりを続けていらっしゃる、和うるし工房あいさんが詳しいと思うので、ブログを覗いてみてください。
( ↑ 僕も毎日楽しみに拝見しています)。



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