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建築家に設計を依頼するメリットとは?

うちが設計を行った現場での、ここ数ヶ月の間に起こった実際の話。

うちの事務所で作成した詳細な図面に基づいて見積を依頼したところ、

【ある住宅の新築現場】
A社の見積・・・3000万円
B社の見積・・・2500万円
うちの設計報酬・・・325万円

【ある施設の家具工事現場】
C社の見積・・・1000万円
D社の見積・・・800万円
うちの設計報酬・・・15万円

ということがありました。



建築家に設計を依頼することの大きなメリットの1つに、
『同じ条件での価格比較ができる』
というものがあります。

家を建てる前に
「どの工務店(または大工さん)に頼もうか・・・」
と迷って数軒の会社に相談を持ちかけると、各社それぞれに簡単な図面(平面図)を描いて、それに基づいた概算見積を作ってくれます。



でもこの見積で比較はできません。

なぜならこの図面は3社に依頼したとしたら
「3社3様の図面に基づいて作成した」
見積書であって、しかも
「完全にあなたの希望を反映したものではない」
からです。



通常、建築に取り掛かる前の設計作業というのは、最低でも約3ヶ月(うちでは標準的に6ヶ月)くらいはかかります。

実はこの数ヶ月という期間は【非ッ常~に重要】なんですが、わりと軽視される傾向が強いです。

でもこの設計期間にきちんと手間と時間をかけておくと、隅々まで非常に満足度の高い建物を構築することができ、着工後の追加・変更工事見積に悩まされるリスクも極端に少なくなります。



そして最も大きなメリットが、
【(隅々まであなたの要望に沿って完成した設計図に基づいて)全く同じ条件で価格の比較ができる】
というものです。

実際、2~3千万円の住宅工事であっても、工事の見積に数百万円くらいの価格差が発生することはよくあります。
そうすると、建築家の設計費用くらい元が取れてしまう、ということも実際あるのです。



ここで勘違いされることがよくあるのですが、僕は過剰な価格競争を促しているのではありません。

ちょっと考えてみていただきたいのですが、完全に1社だけからしか見積書が出てこないとすると、
「もしかして、他の工務店に頼んでいたらもっと安くできたのでは・・・?」
とか
「この価格は適正な価格なんだろうか・・・」
という疑問が沸いてくるのは当然だと思います。

でも、そう思ったって比較はできませんよね?
ここで得られるあなたのメリットは、
「価格への納得度・安心感」
です。



「もしA社ではなくB社に頼んでいたら、おそらくあと20%くらい高かっただろう」
とか
「もしC社に頼んでいたら、もっと安かったかもしれないけれど、仕事がきれいに仕上がらなかったかもしれないなぁ」
などというように、自分が支払った費用に対する対価に納得できるかどうか?というのはとても重要だと思いませんか?



僕は必ずしも工事費用が安いことがいいことだと思っているわけではありません。

たとえば世の中には、ほぼ同じ機能・容量のかばんでも、
〇 1,000円のもの
〇 10,000円のもの
〇 100,000円のもの
などいろんなものがあって、その中からみなさん取捨選択しているわけですよね?

100,000円のかばんが必ずしもボッタクリなわけではなく、きちんとした価値があるから納得してそのかばんを買ったりするわけです。

あるいはまた
「あの店で買えば、革のなめし方に間違いが無くて、工場周囲の環境汚染や材料の仕入れ方などにもきちんと配慮してくれている安全な商品が手に入るから、多少高くてもあそこで買おう」
といった理由で買う場合もあるでしょう。

一番重要なのは、「安さ」ではなく「価格に対する納得」や「商品・サービスへの安心感」だと思うのです。

そういった意味でも比較は重要です。
その際に活きてくるのが、建築の場合には【半年かけてじっくり作り上げる設計図】なんです。

今日からお盆休みも明けて、また通常の生活に戻られる方が多いと思います。
まだまだ暑いですから、体調管理には充分ご注意くださいね。



 

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