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通し柱効果とは?京都大学での振動実験(2011.08.08)を見学

昨日(2011/8/8)、京都大学で行われた振動実験に行ってきました。

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上のような2階建ての木造フレームを大きな振動台に載せ、実際にフレーム全体を地震波で揺らし、その挙動(傾きや破損状況など)を観察するという実験が行われました。

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普段、木造建築を手がけている全国各地の設計士や工務店さんが見学のために集まっており、みなさんの関心の高さも伺えました。

昨日の実験の目的は

「通し柱の太い/細いによって、地震時の建物の挙動にどのくらい変化が見られるのか」

という、【通し柱効果】を確かめることです。

現在、もっとも一般的な木構造として使われている在来工法の場合は、どちらかと言うとこの通し柱効果は少ないと思います。

しかし、昔からの伝統的な古民家などで用いられている伝統構法の場合は、この通し柱効果がかなり効いていることが昨日の実験でよくわかりました。

昨日の実験を詳しく解説すると、とても難しい話になってしまうのでここでは割愛しますが、イメージとして理解して頂くために図を描いてみました。
もしよろしければご覧になってみてください。

通し柱効果とは?

→ tooshibashirakouka0808

木造建築 東風(こち)の伝統構法石場建ての家づくりサイトはこちら
→ http://www.mokuzo-architect.jp/

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世界に、300年先も美しい風景を

京都市N様邸竣工写真-2/伝統構法石場建て住宅

昨日に引き続き、京都市N邸内観の竣工写真をご紹介します。

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↑ 玄関です。
ものすごくシンプルな玄関ですが、いろいろ苦労が詰まっています。

(話し始めると長~くなるので割愛しますが、過去のブログで
そのうちのいくつかはご紹介済みです)
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↑ リビングの吹き抜けと薪ストーブです。

完成見学会の時には建具が入っていなかったのですが、無事土壁も乾いて建具が入りました。

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↑ ダイニングカウンター越しにリビングの反対方向を見たところです。
このダイニングカウンターに使っている木は、クライアントのN様ご夫妻が2年前の伐採に立ち会われた、思い出深い木です。

ついでに言うと、テレビが載っているカウンターの1枚板や、玄関の式台に使われている1枚板も全て同じ1本の木から採りました。

原木で木を買うとこういうことができるんですよね。

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↑ 最後はキッチンです。
このキッチンは大阪のステンレスキッチンメーカー/ルプさんの製作によるものです。

最近、このようにカウンターの下には引き出しなどを何も設けない、すっとんとんのキッチンを所望される方が増えています。

実はこれらの写真以外にも、もっといろいろとご紹介したい写真を山ほど撮っている(笑)のですが、このくらいにしておきます。

 

このお宅の家づくりの全容は木造建築 東風(こち)の以下のページでご覧になって頂けます
→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html

 

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京都市N邸 裏返しを行いました

京都市N邸(新築伝統構法)の現場では、12/7(月)・8(火)の2日間にわたって土壁の裏返し塗りを行いました。

【裏返し】というのは、竹小舞下地の片面に塗りつけた壁土(荒壁)の裏側から壁土を塗りつけることです。

下の写真のような状態の面に壁土を塗りつけていく工程を言います。

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下の写真は、塗りつける前の土の水分調整をするために、寝かしていた壁土に藁スサを混ぜて練り返しているところです。

土壁1208_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



4月の末から現場で寝かしていた土はこれで全て使いきりました。

 

当初から予想していた通り、全部使っても少し足りなかったので、足りない分は左官屋さんが持っていた土を足して、混ぜ合わせたものを使っています。

今回の左官工事を担当してくださっているのは、京都市左京区下鴨にある山本左官工業という会社です。

 

土壁1208_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は違いがよく判る場所だったので比較のために写してみました。 

手前の壁は今回塗りつけた壁。
奥に写っているのは前回塗りつけた壁です。

奥の乾いた壁の裏側は、今回裏返しをしているので同じように壁土が塗られています。
 
 

 

土壁1208_4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この写真は1階の外壁面です。
この裏面には壁土を塗りつけて裏返しをしています。

裏面の新しい土の水分を、乾いた部分が吸い取って染みてきている様子がよくわかります。
 
以前ブログでもご紹介しましたので覚えていらっしゃる方もおられると思いますが、この壁の中には下の写真のように竹小舞下地を編んでいますから、竹の部分は水分が染みとおらずに間の空隙に入り込んだ土を伝って、水分が出てきています。

 

 

 

土壁1208_5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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京都市N邸 現場での準備作業に取り掛かりました

京都


 


 


 


 


 


 






昨日から京都市内で、今年末竣工予定の伝統構法物件・N邸の着工準備に取り掛かりました。

現在のところは敷地内へ至る工事専用通路の整備や近隣との間の仮囲い・仮設水道・トイレや電気などの設置にとどまっています。

近隣住民のみなさま、ご協力いただいている各方面のみなさま、工事中大変ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。



先日、当方で発行しているメールマガジンやニュースレターで、伝統構法物件の建築確認申請手続きの実態について採り上げ、読者の皆様にご報告しましたが、協議中のこの確認申請手続きももうじき山場を越えるところです。

今日は午前中に話題のアメリカカンザイシロアリに関する情報収集へ行って、その後、午後からこの現場の通し柱の木出しをしに行きます。

アメリカカンザイシロアリはみなさん関心が高そうなので、次回のメルマガ・ニュースレターで独自のホットな情報をお届けしたいと思っています。
どうぞお楽しみに。

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京都で数奇屋建築の改修工事-1

数奇屋-ハツリ

今、京都市内で、あるゲストハウスの改修工事に携わっています。
元々は昭和初期に建てられた数奇屋の建物でしたが、今回大規模に手を入れて改修されることになりました。

昨日現場へ行くと、応接間の地棟(じむね)になる梁(松の丸太)が据えられていました(←左の写真)。
小屋組みの構造材として使われる松の丸太は、関西では一般に黒松が多く使われます。
黒松は別名:男松とも言われることがあり、名前の通り荒々しく曲がっていたりしていますが、その分大変粘り強く、横からの曲げ応力に強いです。

実は、黒松の反対に赤松というのもあります。
これは木の肌のきめが細かく、床柱(←皮付きで使われることもある)や床框、床板など、建物の繊細な部分に使われます。

最初の写真は、松の梁に化粧なぐりを施したものです。
チョウナという刃物を振り下ろして、表面をザクッ、ザクッと一刃ずつ削って仕上げるやり方です。

なぐり作業

チョウナを使って、なぐり加工を施しているところ

ちょうな

チョウナとは、こんな道具です。
平刃(写真左)と丸刃(写真右)があります。
これらは仕上げる目によって使い分けます。

はつり

あまり知られていませんが、実は化粧なぐり仕上げには、チョウナ以外にもヨキ(斧)を使うことがあります。
ただ、ヨキを使った場合には、正確には『なぐり』ではなく『ハツリ』と言いますが、栗の床柱などを作るときに、たまにやることがあります。
ちょうなで仕上げるなぐり目よりも、より鋭さというか、勢いのようなものがあって、僕はハツリ目の方が好きなのですが・・・。

※写真は、(株)和風建築社が発行された雑誌、『和風建築』7号の
 特集記事から引用させていただきました。
 ちなみに『和風建築』は1980年代前半に発行された木造建築を学ぶ
 良書シリーズ(全24巻)なのですが、残念ながら絶版となっており、
 入手は大変難しいと思います。
 僕の事務所には全巻揃っていますので、見たいという方には事務所まで
 来ていただければ見せて差し上げることはできます。
 ただ、大変貴重な本なので、貸し出しはしておりません。
 ご了承ください。

 

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