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京都市N邸 裏返しを行いました

京都市N邸(新築伝統構法)の現場では、12/7(月)・8(火)の2日間にわたって土壁の裏返し塗りを行いました。

【裏返し】というのは、竹小舞下地の片面に塗りつけた壁土(荒壁)の裏側から壁土を塗りつけることです。

下の写真のような状態の面に壁土を塗りつけていく工程を言います。

土壁1208_0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



下の写真は、塗りつける前の土の水分調整をするために、寝かしていた壁土に藁スサを混ぜて練り返しているところです。

土壁1208_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



4月の末から現場で寝かしていた土はこれで全て使いきりました。

 

当初から予想していた通り、全部使っても少し足りなかったので、足りない分は左官屋さんが持っていた土を足して、混ぜ合わせたものを使っています。

今回の左官工事を担当してくださっているのは、京都市左京区下鴨にある山本左官工業という会社です。

 

土壁1208_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は違いがよく判る場所だったので比較のために写してみました。 

手前の壁は今回塗りつけた壁。
奥に写っているのは前回塗りつけた壁です。

奥の乾いた壁の裏側は、今回裏返しをしているので同じように壁土が塗られています。
 
 

 

土壁1208_4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この写真は1階の外壁面です。
この裏面には壁土を塗りつけて裏返しをしています。

裏面の新しい土の水分を、乾いた部分が吸い取って染みてきている様子がよくわかります。
 
以前ブログでもご紹介しましたので覚えていらっしゃる方もおられると思いますが、この壁の中には下の写真のように竹小舞下地を編んでいますから、竹の部分は水分が染みとおらずに間の空隙に入り込んだ土を伝って、水分が出てきています。

 

 

 

土壁1208_5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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京都市N邸 上棟しました

上棟1004_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。

雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。

結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。

 

上棟1004_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。

この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。

このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。

もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。

 

上棟1004_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。

家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。

これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。

細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。

部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。

材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。



遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。

設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。



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京都市内で新築伝統構法物件の建築確認 降りました

小舞下地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



昨年の秋から準備に取り掛かっていた、京都市内の伝統構法新築物件の建築確認申請が先週末にようやく降りました。

これでやっと工事に取り掛かれます。
(上の写真は、3年前に当方で設計・施工管理を行った、
 大阪府の伝統構法物件の施工中の写真です。)



ここで詳しくご説明することは控えておきますが、今回は常識的には考えられないようなとんでもないことが一杯ありました。
(ほんとうに、いろいろありすぎです!)

この物件の構造計算には、昨年末以来長きに渡って心底苦しめられましたが、振り返ってみれば自分の血肉となり、とてもありがたい経験をさせてもらえました。
あまりにも手間がかかりすぎたので採算は全く度外視ですが、それは端から覚悟の上です。



しかし何よりも、建築主であるN様には精神的に大きな負担をかけてしまいました。
ここまでたどり着けたのは、私たちのことを信じて辛抱強く待って頂いたN様ご夫妻のおかげです。

N様、本当にお待たせしました。
辛抱強く待って下さり、本当にありがとうごさいます。

担当スタッフともども、心より感謝しております。<(_ _)>

この連休中も工事の準備に明け暮れていますが、これだけ長い間お待たせしたのと引き換えになるほどの建物が出来上がることに関しては、絶対の自信を持っています。

どうぞ竣工を楽しみにお待ち下さい。





石場立ての伝統構法型建物を新築で建てることは、マンション構造偽装問題が起こった後に改正された現行の建築基準法の下では、率直に言ってとても難しいことです。

今回、自分で実際にやってみて、そのことがよくわかりました。

しかし、不可能ではありません。
道はきちんとあります。



確かに、木造2階建て伝統構法物件の建築確認申請手続きにここまで時間と労力を要する状況になってしまっていることは、今後改めて行かなくてはならない問題であると僕は思っています。

一昨年より、そのことを訴える様々な会議やシンポジウムなども各地で開催されてきていて、機運は高まっています。

各地で
「もっと伝統構法型の木造建築物をもっと建てやすくしてほしい」
という作り手の声も、日を追うごとに大きくなってきています。



そういう作り手のみなさんのお気持ちはよくわかります。
僕も確かにそう思います。同じ気持ちです。

しかしその一方で、設計者・施工者を含め建物の作り手側が、もっともっと真剣に構造に関する問題に取り組まなければならない、と僕は思います。

声高に叫び制度改革を要求する前に、自分で実際に問題に取り組んでぶつかってみるということを、もっと多くの実務者の方にやってみて頂きたいと僕は感じています。



とまぁ、少し愚痴もこぼしてしまいましたが、とにかく今回はたくさんのみなさまの後押し、協力を得られてここまでたどり着けたこと、深く感謝しております。

梓工務店社長様、S様
○ JSCA関西メンバーのみなさま
○ C&CのO様、H様
○ アールイージャパン様
○ 日本建築総合試験所のU様
○ 東風スタッフのOさん、Uさん
○ そして何よりも、今回の機会を与えて下さり、じっと待ってくださった
  建築主であるN様ご夫妻

みなさま本当にありがとうございました。
心より深く御礼申し上げます。<(_ _)>




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京都市N邸 地鎮祭を行いました

なんと、今日からもう4月ですね。
今年も1/4が終わってしまいました・・・早すぎる。

3/28(日)に京都市N邸の現場で地鎮祭を行いました。

当日はとてもいいお天気の大安で、現場の前では桜が開きかけていました。
木によってまちまちですが、この桜は4~5分咲きといったところ。
いやぁ~春ですねぇ♪

京都の桜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 

 


今回の地鎮祭には、建築主ご夫妻のほかに、ご両親や知人の方などが参列してくださったおかげで、総勢13名+神主さんでにぎやかに行いました。

個人のお宅の地鎮祭でこれだけたくさんの方が参列してくださったケースは初めてです。
おめでたいことなので、たくさんの方に祝ってもらえてとっても良かったと思います。

 

地鎮祭2

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

当日は東西方向の風がきつくて、紅白幕がバッタバッタ舞っていました。

 

地鎮祭1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今回の地鎮祭は、左京区の吉田神社さんにお願いしました。

吉田神社さんは京都ではとても有名な神社さんなので、お礼の方もお高いかも・・・と密かに心配していたんですが、供物も込みで¥35,000-。
普通の神社さんと同じ金額で、ホッとしました。

神官の装束で祝詞をあげてもらうと、やはり何というかとってもありがたみがありますね。
いい地鎮祭でした。



現在この現場の構造材を三田市内で墨付けしているところです。

石場建ての伝統構法型住宅なので、構造計算や確認申請に四苦八苦していますが、春の土用が明けた5月の中旬には着工する予定です。



昨日の日経新聞に、このような伝統構法型新築住宅の建築確認申請の準備や審査に大変時間と手間とお金がかかっている、という記事がありました。

例のマンション構造偽装事件に端を発した問題の余波が木造業界にも及んでいるわけですが、今後の改善と伝統構法の普及のためにも、120ページにも及ぶ構造計算書類を全て自社の手計算で行って作成しました。

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京都で数奇屋建築の改修工事-1

数奇屋-ハツリ

今、京都市内で、あるゲストハウスの改修工事に携わっています。
元々は昭和初期に建てられた数奇屋の建物でしたが、今回大規模に手を入れて改修されることになりました。

昨日現場へ行くと、応接間の地棟(じむね)になる梁(松の丸太)が据えられていました(←左の写真)。
小屋組みの構造材として使われる松の丸太は、関西では一般に黒松が多く使われます。
黒松は別名:男松とも言われることがあり、名前の通り荒々しく曲がっていたりしていますが、その分大変粘り強く、横からの曲げ応力に強いです。

実は、黒松の反対に赤松というのもあります。
これは木の肌のきめが細かく、床柱(←皮付きで使われることもある)や床框、床板など、建物の繊細な部分に使われます。

最初の写真は、松の梁に化粧なぐりを施したものです。
チョウナという刃物を振り下ろして、表面をザクッ、ザクッと一刃ずつ削って仕上げるやり方です。

なぐり作業

チョウナを使って、なぐり加工を施しているところ

ちょうな

チョウナとは、こんな道具です。
平刃(写真左)と丸刃(写真右)があります。
これらは仕上げる目によって使い分けます。

はつり

あまり知られていませんが、実は化粧なぐり仕上げには、チョウナ以外にもヨキ(斧)を使うことがあります。
ただ、ヨキを使った場合には、正確には『なぐり』ではなく『ハツリ』と言いますが、栗の床柱などを作るときに、たまにやることがあります。
ちょうなで仕上げるなぐり目よりも、より鋭さというか、勢いのようなものがあって、僕はハツリ目の方が好きなのですが・・・。

※写真は、(株)和風建築社が発行された雑誌、『和風建築』7号の
 特集記事から引用させていただきました。
 ちなみに『和風建築』は1980年代前半に発行された木造建築を学ぶ
 良書シリーズ(全24巻)なのですが、残念ながら絶版となっており、
 入手は大変難しいと思います。
 僕の事務所には全巻揃っていますので、見たいという方には事務所まで
 来ていただければ見せて差し上げることはできます。
 ただ、大変貴重な本なので、貸し出しはしておりません。
 ご了承ください。

 

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