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京都市/伝統構法×新月伐採の家 完成見学会を行います 3/13(土)-14(日)開催

N邸外観

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N邸内観

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  上の画像はクリックすると拡大表示されます

 

 

 

京都市で、昨秋から着手していた石場建て伝統構法型住宅が竣工しました。
建築主であるN様ご夫妻のご厚意により、完成見学会を開催させていただくことになりましたのでご案内します。

 

-自分たちがいなくなった後でも、後世に渡ってずっと誰かが引き継いで
 住み続けてもらえるような家にしてほしい-

 

このお宅は建築主であるN様のそんなご要望から、最低200年は使い続けられるように・・・
と考えて設計しています。
このようなN様のご意向を実現するために、石場建ての伝統構法(※1)という工法をご提案したのは、とても自然な流れでした。

 

(※1)
石場建てとは
石の上に直接柱が載っているだけで、基礎と建物とが金物などで緊結されていない工法のこと

 

伝統構法とは
現時点では正確な定義づけはまだされていないが、筋交いを用いずに、
貫と土壁と木組みだけを耐震要素とした柔らかい木構造のことを指すことが多い
在来工法と対比し、構造的に別の性質を持つ伝統的な構造体を指すために用いられている

 

 

 

だから、
○ 構造はわかりやすく
○ デザインは流行を追わずシンプルに、木の美しさが引き立つように控えめに。
○ 全ての木材の呼吸を妨げないように。
○ 壁は土と竹だけで、構造体には釘を一本も使わずに、
という考え方を建物の隅々まで貫いています。

 

 

 

この家に使用している構造材は、全て自社で伐採から行ったものを使用しています。

 

木を伐るのに一番良いとされる、晩秋の新月期(しんげつき※2)に全ての木材を伐採し、その後4ヶ月間葉枯らし乾燥させた後に1年自然乾燥させたものを使っています。

 

伐採の際には、建築主であるN様もわざわざ静岡の山まで見学に来て下さいました。
(※2)新月期とは下限の月~新月の前日までのおよそ一週間の期間のこと

 

 

 

このような木材の作り方は、木の特性・能力や生命体が本来持っている、宇宙のリズムに逆らわない、とても素直でやさしいやり方です。
現在の木材市場では、一般に伐採直後の材木を含水率が非常に高いままで乾燥庫に搬入し、重油を1-3週間焚きっぱなしにして人工乾燥させるというやり方が主流です。

 

そんな中で、今回のような取り組みは古臭いようにも思えるかもしれません。

 

ゆっくり乾かした自然乾燥材を使い、大工さんが手刻みで作った構造材を金物は使わずに栓だけで組み上げ、竹小舞を編んで作った建物は、工法としては何の目新しさも無く、昔から日本各地で当たり前に行われてきた建物の作り方だからです。

 

 

 

しかしそうやって作った建物が放つ存在感はどっしりとしていて、とても穏やかです。

 

ものすごく当たり前に作った家ですが、ぜひ現場で木と土の質感を味わってみて下さい。

 

 

 

今回の完成見学会には、建築業界関係者の方も参加していただいて構いません。

 

ただし専門家向けの時間帯は3/13(土)の午前中のみとさせて頂き、一般の方向けの見学時間とは別にさせて頂きます。
(業界関係者の方と一般の方とでは質問内容などが全く異なるためです。ご理解をお願いします)

 

<開催日時>
専門家(建築業界関係者)向け・・・3/13(土) 10:00-12:00
一般の方向け          ・・・3/13(土) 12:00-20:00 および
                     3/14(日) 10:00-20:00

 

<開催場所>
京都市左京区
※参加申込を頂いた方には、現場の住所や担当者の連絡先をお送りします

 

→ 参加お申込はこちらの問合せフォームからどうぞ

 

 

 

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京都市N邸 上棟しました

上棟1004_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。

雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。

結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。

 

上棟1004_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。

この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。

このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。

もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。

 

上棟1004_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。

家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。

これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。

細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。

部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。

材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。



遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。

設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。



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京都市N邸・伝統構法の刻み、進行中です

昨日、兵庫県三田市の西本製材所へ行ってきました。
2月から取り掛かっている京都市N邸の刻みの作業状況を見るためです。

大工の西田さんがいつもの調子で丁寧に刻んでくれていました。
コツコツ、コツコツと、本当に気長に1人で黙々と作業を続けてくれています。
(西田さん、いつもありがとうございます)


刻み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は管柱の長ホゾを刻んで、最後にのみで仕上げているところです。
このホゾはメチャメチャ長くて、7寸の足固めを貫通した後、床束に4寸刺さるので、ホゾだけで1尺1寸あります。
(1尺1寸=約33cm)

 

だから普通ののみでは仕上げられなくて、特注の首長のみでないとうまく仕上げられません。



大工さんの道具を見ていると、同じのみにもいろんな種類があるんですが、
「これ、どんなときに使うの?」
って疑問に思うような道具ばかりです。

一度全部集めて詳しく話を聞いてみたいのですが、そんなことをしていたら半日くらいはゆうにかかりそうです。

でも、こういうことの積み重ねがこういう結果(↓)につながるんですよね。

 

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センスのいい大工さん

世の中はGW真っ只中ですが、西宮市内で現在進行中の現場(M邸)では、GW期間中も毎日現場で大工さんが仕事をして下さっています。
(↑毎日毎日お疲れさまです。
  そして近隣の皆様、あらかじめお断りしたとは言え、
  連日お騒がせして申訳ありません。ご理解ご協力深く感謝申し上げます)

この現場の木工事をお願いしているのは明石市の大工さんで、西田さん(西田建築工房)という方です。
仕事をお願いするのは今回で2回目です。
前回は神戸市内でのリフォーム、今回は住宅新築工事の大工手間請けをお願いしました。

僕が独立した後にこれまで関わりを持った大工さんはおよそ20名くらいだと思います(それ以前に勤めていた工務店の時を含めると合計50名くらいかな?)が、西田さんはその中でもトップクラスのいい職人さんです。
いい大工さんと知り合ったなぁ、と内心とても喜んでいます。

どこがいいのか?
一言で言うと、【センス(または勘)がいい】のです。

僕が大工さんに期待する能力は以下の3つです。

1. ムクの木材を見る目・使うセンスを持っていること
  ※この場合の【センス】とは洋服のセンスなどとはほぼ無関係です
    木材のどの部分を選んで使うか、どの面をどう見せるか、
    どういう方向に向けて使うか、というような勘所がわかる
    ということです
2. 材料を無駄に扱わないこと
  (小さな材料も簡単に捨ててしまわずに、大切に使う)
3. 現場内をきれいに維持して仕事をしてくれること
  (廃材をごみ袋に入れる時、分別してくれることも含む)

この3つを同時に兼ね備えている大工さんは滅多にいないのですが、西田さんはその滅多にいない大工さんの一人です。

最近の大工さんで一番多いのが1.の能力が無い職人さんですが、そういう大工さんは仕事を見なくても話をしただけですぐにわかるので、よほどの事情が無い限り今後も僕から仕事をお願いすることは無いと思います。
(だからあまり僕の知っている大工さんの中にはこういう人はいません)

なかなかできないのが2と3です。

職人さんはプライドを持って仕事をする人たちなので、とにかく横から口を挟まれることを一番嫌がります。
自分の思うように仕事をしたいわけです。

で、そのような環境を整えてあげる(=口を挟まない)と、大工さんは気分良く仕事をしてくれるわけですが、放っておくと現場が一向に片付かなかったり、ゴミだらけになったりします。
どこまでこちらがサポートするか、どこまで口を挟むか(そしてどう伝えるか)、というさじ加減が現場監督としてはとても難しいところなのですが、やはり現場が雑然としていると、いい建物には仕上がりません。

僕のこれまでの経験で言うと、大工としての腕がいい(仕事がていねい)、という人はかなりたくさんいます。
こういう人を探すのはさほど難しくありません。

でも、一流の職人というのは腕がいいだけではありません。
センスが違います。
(前の会社の僕の上司も、いつも同じことを言っていました。)
センスがある大工か、そうでないか。

「センスって何やねん。
 そんな説明ではわからんぞ」

と言われそうですが(笑)、一流の職人を知っている人にはわかると思います。
無理やり説明しようとすると、上記の1~3が全てできる人、と言うしかありませんが。
(実はもっともっと深いところがありますが、それはここで表現しきれません)

これは何も大工だけに限った話ではないので、自分にとっても耳の痛い話です(笑)。

【他人の振り見て我が振り直せ】

ですね。

念のために書き添えておきますが、今回僕があなたにお伝えしたかったのは、
「昨今、センスの無い大工が多い」
という批判ではありません。
(そんなことは、わざわざ口に出して言う必要の無いことですよね?)

そうではなくて、
「今お願いしているのが、とてもいい大工さんなんですよ!」
ということを敬意を表してお伝えしたかったんです。
だから、記事の題名は 【センスのいい大工さん】。

その点だけはお取り違えないようにお願いします。
(まぁセンスのいい人には、↑こんな説明自体不要でしょうが)

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京都の名数奇屋建築・四君子苑が公開中ですよ

京都市上京区にある、四君子苑(しくんしあん)という建物が今週公開されています。

 

毎年、春と秋だけ公開しているのですが、この建物は、もう筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。

 

 

 

 

 

入場料¥1500、入館は10:00~15:00(?)までと、これだけ聞くと、

 

『なんて高飛車なヤツ!』

 

って感じですが、そんな感情も行ったら吹っ飛びます。

 

現在、京都で見られる建物の中では最高にハイレベルな建物の一つと言っていいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

と言うのも。

 

京都にはほかにもいい建物がた~くさんあるんですが、もったいぶって見せないのですよ。

 

ちょっと口が悪いですが、これはただのケチだと僕は思っています。

 

桂離宮だって見学できると言っても中には入らせないし、国宝の茶室・密庵(みったん)だって、絶対に公開しないし・・・。

 

年に一回くらい見せろ!と声を大にして言いたいです。僕は。

 

(ちょっと怒りモード?そろそろ抑えます。笑)

 

でも、貴重な文化遺産はぜひ公開して欲しいものです。

 

超一流のホンモノに触れる(体感する)機会がないと、絶対に文化は継承できませんから。

 

 

 

 

 

 

 

話を四君子苑に戻しましょう。

 

この建物をつくった大工は、北村捨次郎(きたむらすてじろう)という、昭和の名工です。

 

その卓越したセンスにはただただ脱帽するのみで、あとから増築した部分を手がけた、ある著名建築家設計の別棟建物がおもちゃに感じられます。

 

この建物を見るたびに、やはり木造を極めるためには一生かかるんだなぁ、と感じます。

 

材料の選び方、取り合わせかた、各所の寸法、襖の引き手や床材の納め方に至るまで、すごい”気”が込められています。

 

興味がある方はぜひ一度ご覧下さい。

 

 

 

場所はココです。

 

最寄のバス停は、河原町今出川。←京都市営バス

 

最寄の電車の駅は、京阪出町柳(でまちやなぎ)駅下車。徒歩約5分

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北海道から大工さんが来ました(その2)~かやぶきの里・美山町


<前回の記事の続きです>
北海道から研修旅行にやってきた若手大工さん3人を、かやぶきの里として全国的に有名な、京都府の美山町に案内しました。
美山町でも北地区という、特に景観が優れているところです。
(なぜか僕は何度美山に行っても、毎回雨なのですが・・・)

彼らは口々に
「いいなぁ、ココ。北海道へ帰りたくなくなってきましたよ。」
と言っていました。

北地区の中では、電信柱が立っていません。
昔ながらのまちなみが残る集落や町としての指定を受けた、伝統的建造物群保存地区というものが全国各地に存在します
そしてこれらの多くでは、景観を乱す要素であるとして、送電線は地中に埋設され、電柱がありません。
こういう風に町の中に電柱が無い所へ行っても、言われるまでは電柱が無いことにあまり気付かないのですが、このような地区の中にいると空が広くなったように感じられ、なんとなくすっきり視界が開けるような印象を受けます。
本当は、日本全国から送電線が無くなると、もっと美しい国になるのですが、コストの関係でなかなかそれは難しいでしょう。

美山町・北地区の中で、かやぶきの葺き替え作業中の現場がありました。
(上の写真がそれです)
現代の建築現場では、一般に外部足場の材料には鉄の管で構成された銀色の足場材を用いるのですが、美山の伝建地区内での工事だから景観に配慮したのでしょうか?
足場には、昔ながらの足場丸太(←木の丸太)が使われていました。

以前、日本民家再生リサイクル協会・近畿地区主催で、美山町のかやぶき職人さんをお招きしてかやぶき屋根についての講座を行った時に教えていただいたのですが、かやぶき屋根は実は一つの屋根に、3種類の材料を使い分けて(=3層にして)葺かれているそうです。
美しい屋根の中にも、長い伝統の中で培われた職人さんの叡智が込められていることをその時に学びました。

なお、現在上記日本民家再生リサイクル協会・近畿地区では、民家について1年かけて学ぶ連続講座、きんき民家塾 第4期生を募集中です。
興味のある方はホームページをのぞいてみてください。

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