先週の初めごろ、滋賀県大津市の坂本というまちに行ってきました。
坂本は比叡山延暦寺の門前町として、また穴太衆積み(あのうしゅうづみ)という石積みで知られた街です。
伝統的建造物群保存地区に指定されています。
坂本は琵琶湖の西岸に位置していて、琵琶湖に向かって街全体がゆるやかに下っている傾斜地です。
各住戸はこのような少し低めの石積み擁壁に囲まれていて、その石積みの上には、ほとんどの家で刈込みの生垣が巡らされています。
穴太衆積みの特徴は、切石ではない(掘り起こしたそのままの形の)自然石だけを使って石垣をつくり、目地を詰めない空積みであるということです。
生垣以外でたまに見かけるのが、こんな大和張りの板塀を組み合わせたもの(↓)。
穴太衆積み擁壁の上に、土塀を組み合わせたところもありました(↓)。
今回坂本へ行ったのは、穴太衆積みの伝承者として施工を手がけられている粟田建設さんに、工事の段取りや価格、材料のバリエーションなどについてお話を伺うためでした。
来年に工事を予定している大阪府堺市のお宅で、穴太衆積みによる擁壁と長屋門を築造する計画を進めているのですが、その見積もりと打合せ、そして実例を見るために坂本へ行ってきたのです。
粟田建設の社長様には、穴太衆積みにまつわるいろんなお話も、少しだけ聞かせて頂きました。
施工者として現場に立ち会っている方だからこそ話せる、現場での実体験に基づくお話は、大変貴重で、示唆に富むものでした。
200年、300年という長きにわたって使われ続けている石垣擁壁は、東風の家作りのコンセプトとも非常に近いところが多いと感じました。
考えてみれば当たり前の話ですね。
これからの家づくりに積極的に活かしていきたい技術が、また一つ増えました。
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世界に、300年先も美しい風景を