9月の末のことですが、日本民家再生協会の主催で日本建築研鑽会/京都奈良講座2011を行いました。
企画は僕が担当し、京都の北山杉(磨き丸太)と奈良の吉野杉(樹齢100~300年の大径木)の両方の林産地を訪ね、双方のつくり方を1泊2日で観て廻るというものです。
まず1日目は北山杉を観に、京都市の中川という場所へ行きました。
案内して下さったのは、中儀銘木店の中川さんです。
京都・北山杉編では3ヶ所の山と中儀銘木店様の倉庫・店舗を見学しました。
上の写真は樹齢700年と言われている台杉の株です。
台杉というのは、上に真っ直ぐ生えている部分だけを伐って商品として出荷するもので、茶席の垂木や小径丸太などとして使うための磨き丸太を育てる木です。
この木は昭和天皇も見学に来られたことがあるそうです。
次に、主に磨き丸太の柱を作っている山へ行きました。
1坪(畳2帖分の広さ)に3本の苗木を植えて密植し、若いうちから頻繁に枝打ちを施して木が太らないような環境を作って、細く長く育てます。
磨き丸太は末落ちが小さい(=根元と末の太さの差が少ない)ものが喜ばれるので、このような育て方になります。
この後、中儀銘木店様の倉庫と店舗を見学させて頂き、素晴らしい材料の数々を拝見して京都から奈良へ向かいました。
翌日、奈良県吉野では福本林業の福本様にご案内をお願いし、樹齢60年、120年、270年の吉野杉を見せていただきました。
下の写真は270年生と言われる吉野杉の木です。
デカイ!
参加者のKさんが写真を撮っていらっしゃるところを後ろから撮らせて頂きました。
(Kさんごめんなさい)
胴回りは約4.5M、ということで直径は約1.5Mあるようです。
最後にこのような250-300年生の超大径木だけをふんだんに使って作った、川上村森林組合のお座敷を拝見。
ここにはもんのすごい材料が贅沢に使われていました。
圧巻はやはり天井板でしたが、柱も赤杉の四方柾4寸角柱だらけで、しかも全ての木の色を合わせるために同じ山の木だけを集めて作ったという、森林組合のみなさんの意気込みがビシビシ伝わる座敷でした。
各所に細やかな配慮が行き届いた丁寧な職人の仕事が見られ、デザインも大変控え目で品のある美しい作りになっています。
よその木材関係者がこの座敷を見学に来たときに、あまりにも材料が美しいものですから
「なあ~んだ、この部屋は集成材で作った部屋ですか」
と言ったそうです(笑)。
確かにそんな風にも見えるかもしれませんが、使われているものはもちろん全て無垢材。
たったの2部屋で数千万円かかったというのもうなずけます。
2日間にわたって京都・奈良の全く性格の違う林産地を廻ったのには訳があります。
実は京都の数奇屋建築では、この両者を一つの部屋に取り合わせて使うことが多いのです。
それをみなさんにご理解いただきたくて企画しました。
来年の2012年講座は、今年の内容を踏まえて建物を拝観させて頂くプランを計画しようと思っています。
どこへ行こうかな ♪