月別アーカイブ: 2010年12月

夜景

昨日から見学会を開催している、明石市k様邸の内観夜景です。
間接照明で照らし出された柔らかな雰囲気が、来場者の皆様に大好評でした。

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あなたはどちらが好きですか?
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家
 

太陽の力

陽の光

上の写真は、今週末に完成見学会を開催する明石市K様邸リビングに射し込む太陽の光です。
K様邸現場では2階のリビングがとても暖かく、暖房など全く要らないのではないか?と感じるほどです。

東風で設計したお宅の多くでは、冬でも昼間は暖房が要らない、という声をクライアントのみなさまからよく聞きます。
床板に杉の厚板(35mm)を使っているせいもあると思うのですが、今年の春に竣工した京都のN様宅でも、以前お住まいだったお宅ではスリッパが手放せなかったという自称冷え性の奥様が、
「今は裸足で平気です」
という嬉しいメールを、つい先日も頂いたところです。

理由は一つではなく複合的な結果でそうなっているのですが、いずれにしても太陽の光をどう採り込むか?ということがとても重要だと思います。

吹き抜けは寒いからいやだと言われる方もいらっしゃいますが、天気の良い日には吹抜けを通じて家の奥まで差し込んでくる陽光が家の中を暖めてくれますので、一概に 【 吹き抜け=寒い 】 ということは、太平洋側の家では断定できません。
(吹き抜けだけで高窓が無い場合、寒いのは当然ですが)

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建具職人の気遣い

下の写真は、明石のK様邸玄関にある内装木製建具です。

この建具は玄関に入ると真正面に吊り込まれていて、2階のリビングへ上がる際に開けるメインの建具です。
僕が全幅の信頼を寄せている奈良市の塚本建具さんが製作してくれたもので、表面に使われている板は杉の赤身・しかも柾目だけを使った挽き板(厚み約6mm)です。

目

中央に細く入っているスリットには透明ガラスを入れてあるため、向こう側にある白壁が透けて見えています。
型ガラスを使わずに透明ガラスにした理由は、この建具を閉めている時に、スリット越しに杉のきれいな幅広無垢板で作った階段が透けて見えるようにするためです。

この細長いスリットがあるために、横張りにした杉板は長さ40cmくらいの短い板を何枚もはぎ合わせる必要があるのですが、ここで塚本さんはとても細やかな気遣いをしてくれています。

上の写真をよく観てもらえればお分かりだと思うのですが、左の板と右の板の木目がきちんと通っています。
これはもともと1枚の長い板であった材料をわざわざ半分に切断した上で、それを木目が通るように配慮して向きや順番を揃えて張ってくれているためです。

予算上の制約から、材料ももっとグレードの低いもので構いませんよとあらかじめ言っておいたのですが、どこに出しても恥ずかしくないような上品な材料を使ってくれている上に、塚本さんは僕が何も言わなくてもこういうとても細やかな気遣いをして下さいます。

東風の仕事の中でも、内装木製建具というのは最も神経を使うとても難しい仕事の一つです。
技術面ですぐれた職人さんはたくさんいらっしゃいますが、完成時のイメージを明確に頭の中に描いて仕事の先読みができる建具職人さんはとても少ないのが実情です。

塚本さんは、いつも東風の仕事を支えてくれている大切な職方です。

東風の建物は、写真では伝わらないこんな細やかな心遣いをとても大切にしています。
きっと写真では半分も伝わらないでしょう。

だからわかりにくいとよく言われるんですが(苦笑)、現場で観て頂くと
「(他社と比べて)どこが違うとははっきり言えないんだけれど、どこか違う」
というところを感じて頂けると思います。
作り手としては、そう感じて頂けるような建物を意図的に作っています。

いやらしさや派手さはないけれど、全体として心地よい華やかさがにじみ出る雰囲気。
それが東風の持ち味です。
今週末(12/11-12)のK様邸完成見学会では、写真では伝わらないそんなところを感じて頂ければ嬉しく思います。
完成見学会については、こちらをご覧下さい。

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紀伊半島へ

先週の土曜日、紀伊半島のど真ん中を巡ってきました。

奈良県の十津川村にある不動産物件を購入すべきかどうか迷っている方からのご相談で、現場を観に行ったのです。

往路は大阪から奈良県五條市を通って、国道168号線をひたすら南下。
事務所から待ち合せ場所の十津川村・ホテル昴まで片道4時間。

そこからさらに現場までは、国道425号線(←これがほとんど1車線のすごい道・・・)をくねくねクネクネと、ひたすら進むこと約1時間弱。
合計5時間ほどかけて、ようやく現場にたどり着きました。
ギリギリ奈良県内ですが、もうすぐ和歌山、という場所です。
現場の前にはアマゴが棲む清流が流れており、車も全く通らない、とても静かな場所でした。

 

相談者のTさんからお話を伺って、現場を観て問題点を話し合い、とりあえずこの日は別れました。
今後、役所にいろんなことを確認した上で、購入すべきかどうかを再び判断することになりそうです。
 
Tさんのご相談の内容(=Tさんが実現したいと思っている夢)は一般常識から考えるとかなり個性的なものでしたが、大変共感できる内容でぜひ応援したいなぁと感じました。

 

帰りは別の道を通って帰ろうと思い、和歌山県側へ。
龍神村から田辺市街へ抜けて海を見て、阪和道を通って帰ってきました。

走行距離は400kmほどでそんなにたいした距離ではないし、奈良県・和歌山県と言えばすぐそこなんですが、東風事務所から今回の現場へ行くのは、東京や札幌へ行くのよりもずっと時間がかかります。

紀伊半島は山深いですね~。

最近、なぜかちょくちょく和歌山へ行く機会が増えてきました。

和歌山の海はとってもきれいで、行くたびに
「将来は和歌山へ住みたいなぁ~」
と思うようになっています。

どなたか、和歌山で海辺のいい古民家の不動産情報があったらおしえてください(笑)。

先週から東風ホームページの申込フォームが正常に動かなかったのですが、ようやく治りました。
今週末(12/11-12)の明石での見学会、こちらの問合せフォームで申込を受付けています。

↓ 下の写真は明石のお宅で使った大黒柱を、2007年6月に静岡で製材したときの写真です。

プレカット

昨日、三重県の松阪市で構造材プレカットの打合せをしてきました。

東風で設計する物件では、今のところ
○ プレカット(構造材の機械加工)の物件
○ 手刻み(大工による墨付け・刻みを行う)の物件
の両方があります。

ほとんどのクライアントのみなさんが
「大工さんの手刻みで建てたい!」
と思われるのですが、やはり価格の問題でプレカットにするケースが多いのが現状です。

後継者育成・技術伝承などの問題で、プレカットの是非はあるのですが、今日はその問題ではなく、プレカット工場にもいろいろある、ということをお伝えしたいと思い、記事を書いています。

東風でプレカット加工をお願いする場合には、いろいろと特殊な注文をつけます。

やはりどうしても機械だけでは対応しきれず、どの現場でも若干大工さんによる手加工を必要とする部分が必ず出てきてしまうのですが、プレカット工場と一口に言っても、工場によっていろんな加工機械の違いがあり、加工できることとできないことがあるのが実情です。

そんなために、色々と検討した挙句に
「やはりA社ではなくB社でお願いしよう」
というケースもあります。

プレカットはどこも同じ、と一般的には思われるでしょうが、実はそうではないんです。

○ ホゾの長さや大きさ・深さ
○ 仕口の蟻の背高さ
○ 込栓の可/不可
○ 丸太加工の可/不可
○ 柱の太さ(断面寸法)による制限

などなど、いろいろと難しい課題があります。

正直なところ、やはり手刻みとプレカットとでは価格が違う分、いろんなところに制限がかかってしまい、実現できないことがたくさんあります。

プレカットで行う場合には、プレカットのできる範囲内で最善のものを・・・と配慮して毎回発注するのですが、悩ましいところですね。

【お知らせ】
12/11-12の2日間、明石市で完成見学会を行います。
詳しくはこちらをご覧下さい。

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樹齢

ここ数日、ようやく早朝の散歩ができる余裕がでてきて、できる限り散歩に出かけるようにしています。

毎朝散歩に出かけて目に止まるのは、僕の散歩コースになっている公園の中の桜の木の変化です。

すでに葉を全て落として枝だけになっている木がほとんどですが、まだ半分くらい葉を残している木もあり、木もそれぞれ個性があるなぁ・・・というようなことを感じつつ、テクテクゆっくりと歩きます。

僕が歩いている瑞ヶ池公園の中には老齢の桜の木はないのですが、樹齢20年前後と思われる木々と、50年前後と思われる木々が目に付きました。

散歩をしていると脳が活性化するのでしょうか、以前観たモノ・コトの記憶がフラッシュバックしてくることがしょっちゅうあるのですが、昨日も桜の木を見ていて若い木と古い木(年数のいった木)ということについて感じたことを思い出しました。

建築資材として使う針葉樹は、若い木であれば樹齢40年前後から出荷されます。
産地や生育条件によっても異なりますが、一般に樹齢40年くらいの木ではまだ若すぎて、柱くらいにしか使えません。
このくらいでは若すぎて、まだ(出荷用材としては)伐りたくないな、というのが本音です。
まだまだ木ができていない、という感じです。

樹齢60年くらいになってくると、同じ柱用材としても少し格が上がってくるとでも言いましょうか、赤身も張ってようやく少し落ち着きが出てきます。
人間で60歳と言えば、もうそろそろ第1線からは退くような年代になりますが、木としてはまだまだこれからが本番という感じです。
4寸角程度の柱として使うのには、ちょうどこのくらいの樹齢が使い易いですね。

そして樹齢80年-100年くらになるとようやく伐りごろという感じになり、表情も頼もしい感じになります。
人間で言うと50歳前後の感じかな。

そこから先は120年、150年、200年、300年とだんだん風格が出てくるのですが、このあたりの感覚はなかなかお伝えするのが難しいですね。
写真をお見せしてもきっと伝わらなくて、やはり実物を目の前にしないとわからないと思い、今回のお話ではあえて木の写真を使いませんでした。

普段から林業家とよく話をしたり、一緒に山に入ったりしていると、やはり彼らの想いが言葉の端々や行動・姿勢などからにじみ出てきます。

100年生以上の古い木を日常的によく扱う林業家と接していると、やはり東風としてはこういう人たちの想いを活かしてあげられるような家づくりをし続けていかなければいけない、と強く思います。

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なんだかすごく伝わりにくいことを書いてしまって恐縮なのですが、でも日本の林業のためにはこういうことを1人でも多くの皆様にご理解頂きたいと常々想っています。

来年からは、こういうことをみなさまに実感して頂けるような機会をもっと積極的に提供していくつもりです。

まずは来年2月ごろに行う予定の製材の見学会がそれに当たるかなと思いますが、その前に12/11(土)-12(日)明石市K様邸の完成見学会でも、樹齢110年の大黒柱を見ることができます。

ぜひご参考になさってみて下さい。

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