月別アーカイブ: 2010年9月

階段のデザイン

3日ほど前から、階段のデザインについて考えています。

明石市で施工中のK様のお宅で、当初は既製の階段材料を使う予定だったのですが、K様に最終確認をしたところ、

「やはり杉で作って下さい」

ということになったためです。



大工手間など追加で加工手間(=費用)がかかってくるのですが、それでも
「やってよかった」
とご満足頂けるような、歩くたびに嬉しくなる階段をつくろうと、いろいろ画策中です。



階段というのは、実は建築の中でも特に目立つところです。

人間の動作というのは、実は大半が水平移動なのですが、階段は垂直方向の移動を余儀なくされる空間です。

よって階段は、空間にある種の劇的性のようなものをもたらしやすい場所なのです。
最近はリビングに階段室を採り込んで、階段を見せてしまうデザインを良く見かけますが、そうすると空間に面白みが出てくるのは上記のような理由によるものです。



前置きが長くなってしまいましたが、昨日の朝、散歩に行って歩いている時に、ちょっといいアイデアを思いつきましたので、初めての試みですが試験加工をしてみた上でやってみようかと思っています。
材の美しさを引き立てるような加工を施し、すっきりとしたおとなしいデザインに仕上がると思います。



もうすでに、段板と側桁の材料は決定し、製材などの準備に取り掛かっています。
K様の意気に感じて、新月材のきれいな杉の厚板を用意しました。
(K様、どうぞお楽しみに)



あと熟考すべきは手摺のデザインです。
これはもう少し時間があるので、じっくり考えてみようと思っています。

3月に竣工した京都のN邸では、手摺にエクボのたくさんある磨き丸太を使って納めましたが、今回はまた違った雰囲気にしてみようと思います。

この階段も、来訪者の皆様からはとても好評でした。

階段 京都

けやきの日傘

先週末の土曜日(9/4)、民家再生協会の理事会に出席するために日帰りで東京へ行ってきました。

で、ボランティアだけのためにただ東京へ行くのはもったいない!と思い、早朝ののぞみに乗って、以前から行きたかった江戸東京たてもの園に行ってきました。

僕が見たかったのは、近代建築の巨匠・前川國男氏の自邸です。

けやきの日傘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真がその建物です。

とてもシンプルな真四角の平面形の上に、1枚の大屋根をガバっと架けたシンプルな構成ですが、内部は吹き抜けに面して大きな開口部を設けたリビングが中心に据えられ、なかなか味わい深い空間になっています。

で、そういう空間構成はあらかじめ図面などを見て知っていたのであまり感銘は受けませんでしたが、実際に現場に行ってみて
「いいなぁ~♪」
と思ったのが、庭に立っている大きなケヤキです。

写真の通り、このけやきが大きな日傘となって、建物をすっぽり影で覆っています。

僕は暑さに弱いので、こんなケヤキが庭に2本あって、夏の間は家ごとすっぽり木陰に隠してくれたらどんなにいいだろう~ ♪ なんてことを考えてしまいます。

ケヤキは落葉樹ですから、冬になれば全部葉を落して丸坊主になり、冬場は陽光をさんさんと通してくれますしね。

でも、落ち葉の時期は軒樋の掃除でちょっと大変かもしれませんね。

僕はもし自分の自宅なら
「そんなこと一向にお構いなし」
と割り切りますが、あなたはどう感じたでしょうか?

大谷石の土間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな前川邸で、もう一つ「いいなぁ~」と思ったのが、いろんなところに使われている大谷石です。

上の写真は玄関土間とポーチの仕上材として敷かれているものですが、素朴で落ち着いた質感がとってもいい感じでした。

土間仕上材以外にも、外部の塀などに同じ大谷石が使われています。

大谷石にはゼオライトという成分が含まれていて、これがいろんなものの劣化を遅らせる役割を果たす、と言われています。

北関東の方に行くと、大谷石の切石で造られた蔵をよく見かけますが、あれは米倉としてはとてもいい保存力を発揮するようです。

 木造建築 東風(こち)では、日本の伝統的な技術を活かした、控えめで美しい木造住宅を作り続けています。詳しくはこちらのホームページをご覧下さい。

構造見学会へのご来場ありがとうございました

9/5(日)、明石市のK様邸現場にて構造見学会を開催させて頂きました。
当日は猛暑の中、6組14名(終了後、さらに別で2組)の皆様にご来場頂きました。

遠路足を運んで下さった皆様、ならびに見学会の機会を与えて下さったK様、本当にありがとうございました。
心より御礼申し上げます。

見学会では、これまでの工事の経緯や、材料の選定に関する話のほか、ちょっと変わったシロアリ対策についてお話させて頂きました。

シロアリ対策については、東風でいつもシロアリ対策のアドバイスやサポートをして頂いている、阪神ターマイトラボさんに作成して頂いたレポートをみなさまに配布し、現場を見ていただきながら具体的な考え方について説明しました。

(水谷さん、詳細なレポートありがとうございました。
 皆様に水谷さんのことおすすめしておきましたよ。)

東風の見学会には、なぜかいつも過去のクライアントさん(=東風で家をつくらせてもらった方)が1組以上顔を出して下さるのですが、東風のスタッフが他の方への対応中の場合、過去のクライアントさんがスタッフに代わって来場者のみなさまへの対応(というか営業?笑)をして下さる場面がちょくちょくあります。

いつも大変ありがたく感じているのですが、今回も建築主のK様をはじめ、3年前に家を建てさせてもらったT様も丁寧に説明をして下さったようで、感謝×感謝です。

初対面の方からすると、僕が話すことを聞いても、
「きっといいことしか言わないんだろう・・・」
とにわかに信じがたいこともあるかもしれません(←自嘲)が、ユーザーさんから直接いろんなことを聞けると、これから家づくりに臨もうとされている方にとっては非常にありがたい情報として、良いことも悪いこともす~っと受け容れられるでしょうね。

と、書きながら今ふと思いついたのですが、設計者・工務店とも不在=ユーザー主催の見学会とか実施したら面白いかもしれませんね。

本音だらけで、ユーザーのみなさまにとっては大好評かも。
一度やってみようかな?

とにかく、みなさまどうもありがとうございました。

最後に。

K様がご自身で作られた構造フレームの模型をご紹介します。
以前にもVer.2をご紹介したことがありますが、今回のものは最終モデルでVer.3 なのだそうです。

僕自身も大学の夏休みの宿題以来、こんな構造模型は作ったことがありませんが、すごい完成度です。

k邸モデル1

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ 模型全景。
  筋交いも差鴨居も図面通りきっちり作られています。

k邸モデル2

 

 

 

 

 

 

 

小屋組みの丸太梁には驚きました!
脱帽です。

今日で10年。みなさま、いつもありがとうございます

今日はちょっと特別な日です。
僕が事務所を立ち上げてから、今日で満10年を迎えました。

2000年9月3日に独立して営業を始めてから、ちょうど10年です。
何とかここまでやってこられたのは、まわりの皆様のおかげだと感謝しております。
本当に、本当にありがとうございます。
今、僕の心の中にはいろんな方々の顔が次々に浮かんでいます。
心より御礼申し上げます。



創立日をなぜ9月3日にしたのか?というと、それは僕が大好きなドラえもんの誕生日だからです。
(ドラえもんの誕生日は2112年9月3日)

ではなくて、僕の父の誕生日だからです。

父は建築とは無縁の仕事をしていたサラリーマンだったので、特に深い意味はないのですが、営業開始が9月初旬になりそうだということで、どうせなら忘れにくい日を選ぼうと思い、父の誕生日=創立の日とした、というわけです。
( ↑ これはホンマの話)



10年間って、あっという間ですね。

僕は何分不肖者ですから、いろいろと大変なことが次から次へと起こってくるのも当然だと思っていますが(恥)、大変なことが起こるだけ喜びも大きかったように思います。

いつも東風を支えて下さっている皆様のためにも、これからも努力・前進を続けていきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



【お知らせ】

9/5(日)に兵庫県明石市内で構造見学会を開催させて頂くことになりました。
見学の機会を与えて下さるK様に感謝。
当日は構造見学会ならではの企画として、他社とはちょっと違う白蟻対策などについてもお話ししたいと思っています。
詳しくはこちらをご確認の上、お申込み下さい。

飛騨の民家

今日は、先日行ってきた飛騨で撮ってきた写真を2点ご紹介します。

まず1点目は世界遺産・白川郷の近くで撮った合掌造りの民家


白川郷


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


この写真を撮ったのは8月21日だったのですが、ご覧のようにすでに穂が垂れていました。
朝晩は20度前後まで気温が下がり、大変涼しかったですよ。




次は高山市内の吉島家。

土間上部の吹抜けです。


吉島家


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


大きな丸太の梁は赤松、柱は桧でした。

日本の民家では、こういった空間に太い丸太をたくさん組み合わせて重ね、力強さを感じさせる建物が多いのですが、この吉島家は意図的に丸太を減らして、多くが角材によって構成されています。

使われている丸太も曲がりの少ない、端正なものばかりが選ばれていて、空間に緊張感があって柔らかく、女性的な建築だと言われるのももっともです。

吉島家は、座敷も材料の選定や構成など、全てが細部にわたって非常に端正で
繊細なつくり方がなされています。



棟梁は名工と言われた西田伊三郎氏。

飛騨市古川町にある八ツ三館という旅館もこの西田棟梁によるものだそうですが、10月には古川町へ行く予定があり、この八ツ三館にもおじゃまできそうです。

どんな建物だろうかと考えると、今から楽しみです。

近いうちに図書館へ行って、西田伊三郎棟梁のことについて書かれている本を探してみたいと思っています。