月別アーカイブ: 2010年8月

原木を買う醍醐味

お盆休み、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今日も高速道路は大変な渋滞のようですね。



先日、神戸市内で新築住宅を計画中の i さんと打合せをしていた時のこと。

ひょんな話から、床板を採るために原木の伐採からやってみますか?と軽くご提案してみたところ、奥様が大変気乗りされて、とんとん拍子で
「やりましょう!」
ということになりました。

通常、新築住宅のご依頼を頂くケースでは、住宅ローンの関係上、1年以内に竣工させなければならないというケースがほとんどです。

その期間内で
伐採→製材→自然乾燥→製品化
という過程を工期の中でやりくりするのは難しいことが多いのですが、たまたま i さんのお宅は竣工までの工期があと1年半あることから、
「構造材の自然乾燥は無理ですが、フローリングなどの板材であれば、伐採から立ち会って自然乾燥させても間に合いますよ」
ということになったのです。

できれば、乾燥に時間のかかる杉よりも、もともと含水率の低い(=乾燥の早い)桧の方が良いかもしれませんね、とお伝えして、今後板のサンプルを見ていただきながら樹種を決定し、原木を買って伐採から製品化までやってみることになりそうです。



原木を買うとどういうメリットがあるか?ということを一言でお伝えするのは難しいのですが、単純に安くなる、ということではありません。

むしろ払う金額は同じでも、商品にムラがあるので、普通は買えない様な良いものも入ってくるが、その反面あまり良くないものも混在してくるという感じでしょうか。



他の話に例えて言うなら、こんな感じです(↓)

20人でパーティーをやる際に、¥20,000-の予算で魚を買ってくるとします。

スーパーや魚屋さんに行って、「20人分の魚を切り身で下さい」 と言えば、適当にみつくろっていろんなものをバランスよく取り揃えてくれるでしょう。
これが材木屋さんなどで、製品化されたフローリングを必要な数量だけ買うイメージです。



一方、原木を買う方は、漁師さんに頼んで
「¥18,000-で尾頭付きの魚を採ってきて譲ってもらえませんか?
 そのあと¥2000-で採れた魚を調理してほしいのです」
というようなものです。

尾頭付きにすると、頭で兜焼きができたり、背骨やアラなどで汁を作ったりすることもできます。

また、
「本当はこういう魚は傷物でセリに出すと値が落ちるんだけど、直接買ってもらうんだったら絶対味は良いから持って行ってよ」
といって、普通はスーパーで見かけないような大きなヒラメを売ってもらうこともできるかもしれません。

その反面、要らない部位なども出てきたり、「もっといろんな種類の刺身も食べたかったなぁ」などという声も上がるかもしれません。

でも、スーパーでは決して得られなかった迫力や、話しのネタになる(=思い出に残る)ような食材・経験を得ることができるのです。
そして、きっと量も食べきれないようなものになるのではないでしょうか。



ここで木の話に戻します。
原木を買うと、根元の一番太い部分からは、節の少ない、幅広の板が採れます。
一方、末の方では節が多くて巾の狭い板しか採れません。

 i さんには、
「その幅広のいい板の部分をリビングなどに使って、末の細くてあまり良くない部分は2階や廊下に使っていけば、同じ値段で作っても、ずっと面白いものができますよ」
とお伝えしました。



どちらが良いか?という話ではありません。
それは各個人の考え方・価値観によって異なると思いますが、スリリングで印象深いのは間違いなく後者だと思います。

今日は、「そんなこともできるのか」という話を参考までにお伝えしたいと思い、記事にしてみました。

あなたはどう思いますか?

地震からちょうど1年 駿府城の石垣

世間はお盆休み真っ最中だと思いますが、東風は営業中です。
当方は各自好きな時に休みを取る、というスタイルでやっていますので。
ご連絡・お問合せなど遠慮なくどうぞ。

このブログの閲覧者数も、平常と変わりなく推移しています。
みなさま、どうもありがとうございます。
いつも見に来て下さるみなさまのために、毎日更新すべく頑張っております。
お盆休み中の方は、ぜひビールを飲んで涼みながら覗きに来てやって下さい。



いつも静岡へ行くたびにチラチラとみているのですが、なかなか進まないのが駿府城の石垣の復旧です。

2009年の8/11、静岡で震度6弱の大きな地震がありましたが、その際に駿府城の石垣が数ヶ所で崩れました。
下の写真は駿府城外堀西側の石垣の7月末の状況です。


駿府城の石垣


 


 


 


 


 


ブルーシートで覆われた部分が崩落した箇所ですが、もともとは赤点線のような形で石垣が残っていました。



この石垣の復旧はとんでもなく大変なんですよね。

石垣の積み直しは、本来こんな風(↓)に周到に準備をしておいてから進めます。

野面石積み


 


 


 


 







崩れる前に各石にガムテープを張って、全ての石に番号を付けておき、向きや形など写真を撮って全て記録しておきます。
(画像をクリックして拡大表示していただければ、番号などが確認して頂けると思いますが、各所に補助的な墨などが書き込まれています)

その上で、ていねいに一つ一つ手で取り外していって、広い場所に置き並べ、下地の補修・築造をした後でまた記録を頼りに積み直すのです。

ちなみに上の写真は滋賀県大津市比叡山坂本周辺の穴太衆(あのうしゅう)積みの石垣です。



こういった準備をしていても時間がかかるのに、それがなくある日突然に地震で揺らされてガラガラと崩れしまったのですから、復旧が大変困難な作業であることは容易に想像がつきます。

関係者のみなさま、大変だと思いますが応援しておりますのでがんばって下さい。
静岡へ行くたびごとに気をつけて見守っていきたいと思います。

長材の製材@静岡

7月下旬に、静岡で長材の製材をしました。

一般の木材市場で規格品として常時販売されている構造材は、長いものでも6mの通し柱なのですが、東風では7~9mという材料も使います。

こういった材料は
東風:「3ヵ月後に欲しい」
と言うと、
材木屋さん:「じゃあ人工乾燥炉に入れて乾燥させておきます」
という話になってしまいます。

東風:「天然乾燥材は無いの?」
と言うと、
材木屋さん:「長材は今から伐って乾燥させるのに最低3年はかかるぞ」
と言われるのがオチです。

つまり東風でも、2年後・3年後に使うための木材を今から用意しているのです。

製材201007-1


 


 


 


 


 


上の写真は製材する前の丸太。
杉の原木です。

製材する前には一番外側の荒皮をあらかじめ剥いておきます。

上の画像をクリックして拡大表示していただけると、写真右上の方に製材機に原木を固定する作業をしているオジサンが見えますので、そのおじさんの大きさと木の長さを比べてみて頂ければ、大きさが実感できると思います。


製材201007-2


 


 


 


 


 


冒頭の写真のうちの1本を製材したところです。

この木は非常に素直な木で、節が全く無く、とても美しい木目が出ました。
きれいでしょう?

製材はこういう木目に出会えるので、とってもワクワクします。
今から使うときのことを考えると楽しみです。

3年後=2013年かな?
それまでじっくり乾燥させます。

どこのお宅に嫁入りするんでしょうね?

明石市 K様邸 無事上棟しました

8/6-7の2日間かけて、明石市内で工事中のK様邸が無事上棟しました。

大工さんがいの一番に立てたのは、【い】通り【?】番の通し柱ではなく、中央に
「どしっ」
と立つ大黒柱でした。

この大黒柱のみ、以前ご報告したとおり静岡県産の新月材です。
大黒柱以外の構造材は高知県梼原町産材です。


構造材はプレカットによる機械刻みなのですが、この大黒柱は大きすぎて機械に乗らないので、全て手刻みに。

折角なので「金物を使わずに組んでほしい」と頼み、下の写真のような納まりにしてもらいました。

大黒柱建方-1


 


 


 


 


 


大黒柱建方-2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



大黒柱の下端に十字のやといホゾを入れ、それを土台に差し込んで込栓で緊結する、というやり方です。

大黒柱は杉、やといホゾと土台は桧、込栓は樫を使っています。


大黒柱建方-3


 


 


 


 


 


 


大黒柱建方-4


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 




最初にすっくと一本だけ自立した大黒柱。
長さは約7m、太さは7.5寸(235mm)角です。


上棟


 


 


 


 


 


 



上の写真はほぼ建て方が完了して建物の全容が見えてきたところです。



当日はスカッと晴れ渡った酷暑×炎天下。

こんな天候の下での作業は大変で、通行車両の交通整理をしていただけの僕も立っていられなくなるほどでした。
大工さんはよほどキツかっただろうと思います。

しかし無事上棟を済ませて一安心しました。

建築主のK様ご夫妻からは大変喜んで下さっているお言葉を頂き、東風および職人一同、大変嬉しく感じています。

と思っていたら、早速台風が・・・。
なかなか気は抜けませんね。

欅とかやぶきの古民家

i邸


 


 


 


 


 


7/31-8/1の2日間にわたり、神奈川県内の i さん宅において、民家再生協会の会議を行いました。

i さんのお宅は現役のかやぶき民家で、主な材料として欅を使っているにもかかわらず、堅くならずにとても上品なつくり方をされているすばらしいお宅でした。 

会議自体は、裏庭(中庭?)に面して経っている改装された蔵で行われ、会議の後はバーベキューと生ビールで懇親会。

とても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
i 様、場所を提供して下さり、どうもありがとうございました。



i さんのお宅の裏庭には、市から保存樹としての指定を受けている、大きな3本の欅の木も生えています。
まさに欅の家です。

このような建物・敷地を維持していくのは大変なことだと思います。
各地に残る素晴らしい古民家、大事にしていきたいですね。

静岡の風景

このところ、更新が滞っておりました。
いつも見に来て下さるみなさま、申訳ありません。

先々週あたりからめまぐるしい日々が続いて、そこへ酷暑が重なったのでかなりバテ気味です。
体調もあまり芳しくありませんが、頑張ります!

昨日から西明石でK様邸の建て方作業が始まっており、今日は上棟です。
この話はまた後日。



7/31から8/3にかけて、静岡に滞在しておりました。

7月は1ヶ月の間に合計3回も静岡へ行ったことになります。
過去にも、こんな頻度で出かけたことは無かったような・・・。

また追々ご報告しますが、下の写真は僕の先祖の故郷、静岡市梅ヶ島の風景です。


梅ヶ島の風景


 


 


 


 




靄が立ち込めて緑も美しく、幻想的な感じでした。


 


静岡の花


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


庭先には花が一杯咲いていました。
なんていう花かはよく知りませんが・・・(恥)。