月別アーカイブ: 2009年12月

むくり天井が張れました

むくり天井2

 

 

 

 

 

 

 

 

 


京都市N邸玄関の天井板が張れました。

 

杉の白太(しらた)小幅板を使い、板と板との間には極細の底目地(そこめじ)をとって仕上げています。
節のない板だけを使っているので、木目がおとなしく、すっとした感じに仕上がりました。
先日ご紹介したように、ゆる~くむくりをつけた天井です。

 

当初は照明器具として小さなダウンライトをつけようかと考えていましたが、この木目をきれいに見せるには、壁面にブラケット型照明器具を設けるのが一番だということになり、クライアントのNさんご夫妻とも相談して、この写真のような位置に照明器具を設置することになりました。
(写真撮影時は工事用の仮設電球を点けています)

 

これから造りつけ家具(下足箱)が設置され、壁が仕上げられていきます。
出来上がりが楽しみです。



さて。

みなさま、本年も大変お世話になりました。
いつもこのブログを覗きに来て下さって、どうもありがとうございます。

 

あなたが読んで下さっているからこそ、僕もこのブログを書き続けていられます。
心より感謝しております。
どうぞよいお年をお迎えください。



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木取り

先週末、京都市N邸で各所カウンター用材の木取りをしました。

木取りとは、板などを見て
○ どこからどこまでを使うのか(長さや巾など)
○ どの向きで使うのか(木表/木裏、反り/むくり勝手)
などを決めて、墨付けをすることです。

 

リビングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は長さ3m、巾約50cmの杉の一枚板です。

この板は、リビングにテレビを置く棚の天板や底板として使うことになりました。



ダイニングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、対面式キッチンに取り付ける、ダイニングカウンター用の板です。

椅子を置いているような向きで使うのですが、仕上ると椅子の反対側に I 型キッチンが設置されます。

この板も杉の木の1枚板で、巾は50cmありますが、写真で言うと右側の白太の部分を落として、巾約45cmにしてから使うことになりました。

下足箱カウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の板は下足箱の天板を兼ねた玄関飾り棚の地板として使うことになりました。
この木も巾は50cmほどあるのですが、両側の白太の部分を切り落として赤身の部分だけを使います。



勘の鋭い方はもうお気づきでしょうが、実はこれらの木、全て1本の木から製材した共木(ともぎ)です。

この木を伐採する時には、建築主のN様ご夫妻がわざわさ静岡まで見に来てくださり、N様の目の前で伐採しました。

今から2年前、2007/11/06のことです。



この木はこの年に伐採した木の中では一番大きな木で、伐採を開始してから24番目に伐った木です。

この家の各所の主な幅広板はほとんどこの木から採ったものですが、市場で木を買うとなかなかこういったつくり方はできません。

原木を山で買って行う家づくりの特権です。



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主役は建物ではない

今週でいよいよ2009年も終わりですね。
うちの現場は29日まで仕事をしておしまいです。



先週後半から、京都市N邸の現場では玄関の造作工事に取り掛かっています。

この玄関は微妙なバランスを決定するのにいろいろとかなり悩んだのですが、ようやくデザインが決まりました。



当初、この家の玄関はゆるい直線勾配(2寸勾配)をつけた板張りの天井にする予定でした。

しかしこの現場を担当している東風スタッフが、
「玄関の天井を起(むく)らせてみたらおもしろいんじゃないか?」
と言い出して、それならぜひやってみようということになり、原寸型板を作ったり、現場で実際に木を曲げてみたりして、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら現場のみんなで決めました。

型板を基に、大工のI さんが起こしてくれた天井下地が下の写真です。

 

r天井

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真で見ると、本当に微妙なのでよくわからないかもしれませんが、白い矢印の方向に少しだけ起らせています。
(拡大表示すると、なんとなくわかります)

現場で見ても、パッと見ただけでは気付かないかもしれないような、やさしいムクリです

ここには、おとなしい木目の杉の白太小幅板を長手に張って仕上げます。



建築雑誌などを賑わせている建物の写真では、こういうところでいろんな樹種の材料を使ったり、変化に富むようなデザインを施して建築が目立ってしまうような事例をよく見かけるのですが、東風で作るときには極力建物が目立たないように目立たないように、ということを心がけてつくります。

でも、よ~く見ると、細やかな気配りがしてあって落ち着きがある。
なぜそう感じるのかわからないけれど、これといって何と言うことは無い建物なのに、凛とした品がある。

そういう建物に仕上るように、ということを考えてつくってあります。



それはなぜかというと、建物というのは主役であってはいけない。
あくまでもそこに住む人や家人が飾るものなどが主役となるように、それを後ろからじんわりと引き立てる役目を担うのが建物の役目である、と考えるからです。

料理で言うと、お皿みたいな役目ですね。



またそういう控えめな雰囲気をもつ佇まいの建物でないと、自己主張が強すぎて、鼻について飽きられてしまいます。

つくられた当初は良かったけれど、後年になるにつれて建物の格も落ちるし、家人の趣味も疑われるようになるような建物では残念ですよね。



だから、むくりも微妙でいいんです。
材料もおとなしい、控えめなものがいいんです。



人が住み始めて、家の中でいろんなものを飾り始めて、ようやく建物も活き活きとしてくる。

東風ではそんな建物をつくっています。




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外壁下塗り

外壁1223

 

 

 

 

 

 

 

 

 


京都市N邸では、外壁の下塗りを行いました。

外部を仕上げてくると、なんだか一気に建物の表情が変わります。



1階の外壁には、杉の赤身部分だけを使った羽目板張りで仕上げています。

杉の赤身は色も揃ってきれいなんですが、そういった美的要因だけでわざわざ赤身にするのではなく、水に強く腐りにくいという理由で、赤身部分だけを使っています。

よく、木製のお弁当箱(曲げわっぱ)が秋田杉の赤身で作ってあったり、水を汲むひしゃくの丸い部分を杉の赤身の薄い板で作りますし、茶室の水屋の腰板などにも杉の赤身の幅広板を使います。

杉の赤身が水に強い(腐りにくい)というのは、一般の方にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、事実です。



 

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1年検査

大津

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日に、竣工後の1年検査で大津市のTさん宅へおじゃましました。

今日も寒いですが、土曜日も寒くて、早速上の写真のように薪ストーブが活躍していました。



1年検査の時には、たいてい建具に狂いなどが生じていることが多く、微調整が必要になります。

反ったり、傾いたり、きしんだり。
狂うといってもほんのちょっとだけなんですが、やはり木は生き物なので、四季を通じて動くんです。

木ではない昨今の建材メーカー製建具では、こういった狂いもほとんど生じないのですが、でもやっぱり建具は木で作りたいですよね。

汚れも付きやすいし、掃除もしにくいし、利便性においては決して優れているとは言えないんですが、木製建具にはそれを超える魅力があるんでしょうね。



Tさん宅の設計をしている時に生まれた女の子が、もうすぐ2歳になろうとしています。
すっかり大きくなって、よくしゃべるようになっていました。

Tさんが設計の時に仰っていましたが、家の年齢と子供の年齢が同じというのは、何か感慨深いものがあります。

設計者としては、末永く愛される家であって欲しいものです。



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竣工間近

西宮市内で進行中の2世帯住宅 Y+K邸が竣工間近です。
昨日現場へ行って撮ってきた写真をご紹介します。

 

西宮1219_クロス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



クロス屋さん。
1階天井のクロス貼り作業中

 

西宮1219_2f

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2階リビングはクロスも貼り上がり、照明器具が取り付けられていました。

 


 

 

西宮1219_とんぼ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


これは1階の玄関土間の写真です。

建築主のKさんが、施工中に石とビー球を埋め込んで模様を作られました。
下のとんぼ、かわいいですね。



今週木曜日には完了検査を受けて、週末には入居の予定です。
あともう少しで完成です。

現場の皆さん、よろしくお願いします。


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やっぱり来た

実は2日前からやたら気になっていたことがあったのですが、見事に的中してしまいました。

それは・・・地震です。



昨日と一昨日、2日間とも京都市内でちょっとおかしな筋状の雲が1本、すう~っとやたら長く&はっきりと、しかも長い時間出ていたのを見て、

「もしかして・・・地震雲?」

と思ってスタッフにちょっと話したら

「いや、佐藤さん、やっぱりあれ飛行機雲やで。ほら」

と、空を飛ぶ飛行機を指差して、相手にしてくれません。



しかし、今朝起きてニュースを見たら、やっぱり結構大きな地震が北関東&静岡で起きてるっ!

関東方面で起きる地震の予兆が、京都でも地震雲となって出てくるものなんでしょうか?



まぁ、地球規模で考えたら、関東と関西なんてお隣みたいなもんですしね。

数学の教授から

一昨日の朝、京都市の現場へある大学の数学教授が立ち寄られて、少しお話をしました。

(註:この現場、とにかくお客さんが多いんです。
   最近でこそちょっと来客数が減って落ち着きましたが、竹小舞下地を編んでいる時や
   土壁を塗っている時は、ふらふらと立ち寄る方や見学に見える方がホントに多かった)



富山からお仕事の都合でお見えになったというその教授は、魔方陣(まほうじん)のことを教えて下さり、理系出身だと言うのにそれまで魔方陣なるものを知らなかった僕に、魔方陣の作り方まで説明してくださいました。



で、帰りがけに


「僕は名刺の寸法にこだわっているんですよ。」

と言われるので、何のこっちゃ?とお話を伺うと、教授の名刺は横幅を通常の名刺サイズより2ミリ小さくしているとおっしゃいました。



そこまで聞いてさらに訳が解らなくなったのですが(笑)、さらにお話を伺うと、通常55mm×91mmという名刺のサイズを、横幅のみ2mm縮めて55mm×89mmにすると、名刺の紙の縦横比率が黄金比になるんだそうです。

さすが数学の教授!と感心し、お知恵を拝借してうちの名刺も今後は早速黄金比にしようと決めました。

(東風では、手漉き和紙に印刷した名刺を1枚ずつ自分たちで切って使っています)



せっかくだから、みなさんにもお教えしようと思って書きました。

A教授、ありがとうございました。

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階段の側桁に

側桁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、うちで2007年晩秋の新月期に静岡で伐採した杉の木からとった板です。

長さ4.5m、巾250mm、厚み40mm と少し巾の広い板ですが、これを京都市N邸の階段の側桁に使うべく、現在現場では、若いけれども抜群に腕のいい大工さんが刻んでくれています。



見ての通り、赤身が張ったなかなかいい木目の木ですが、これは構造材の梁を採るべく製材した時の切り落とし材です。

きっとピリッとした階段に仕上ると思うのですが、今から出来上がりが楽しみで仕方ありません ♪



このお宅では階段がリビングから見えない位置にあるので、当初はもっと節がポコポコあるような普通の並材を階段用の材料として使う予定だったのですが、たまたまこんな木が出てきて使うことになり、階段の踏み板も(これまたたまたまですが)ほとんど節の無い1枚板ばかりで全部揃ったので、一気に階段の格が上がってしまいました(笑)。

毎回2階に上がるのが楽しみで嬉しくなるような階段になってくれるといいなぁ、なんて親心のような気持ちを抱いています。



仕上に向けて工事が順調に進んでいますが、だんだん嫁入り前の娘の父親のような気持ち(?)になってきました。



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植栽

土曜日、兵庫県明石市内に住宅の新築を計画されているKさんご夫妻と打ち合わせをさせていただいた時のことです。

いろんなお話をしていく中で、建物を道路からどれだけ離すか?という話になりました。



Kさんの敷地は道路の南側に位置しているので、北側に寄せるほど南側の庭が大きくとれるようになり、南隣家が落とす影を避けて日差しも家の中に入りやすくなります。

前面道路の幅も10mと広いので、あまりセットバックせずとも良いかな?と思って、僕は建物と道路の距離を軒の深さである90cmだけとった案をご提案しました。

僕が作ったプランを見てKさんご夫妻は、家の前にはちょっとだけでも木を植えたいね、そういえばあの道沿いの家はどこも道路沿いに植え木がをしてきれいにしている家が少なくて、あまり景観が良くないね、というようなことを話して下さいました。

自分の家を良くすることだけ考えるのではなくて、地域全体の景観を良くすることに自分たちも貢献しよう、というKさんの意識が感じられて、とても素晴らしいなぁと感じました。

今回ご提案したプランは合計3案でしたが、こちらの提案をとても気に入ってくださったようで、
「どれにしよう。こっちもいいけどこれも捨てがたいし・・・。」
と迷われていました。

いい提案ができて、一安心です。



打合せも無事終わり、次の日の朝。
以前2度ほど読んだことのある本を何気なく手にして読んでいると、ちょうどいいことが書いてあったので、一部を抜粋してご紹介します。

 

 

 

「心の時代、といわれている。
しかし、人間の心とはそれほどきれいなものではない。

人間の心は宇宙、自然と似ていると、言えなくもない。
雑草は放っておいてもまたたく間に繁茂する。
しかし、美しい花は、水を与え、肥料をやり、虫を除け、丹精込めて育てなければ花開かない。

人間の心も、それと同じである。放っておくと雑草が生える。」

 

出典:『小さな人生論』藤尾秀昭著/致知出版社

 

 

 

僕も心に雑草が生えないように気をつけます。
頑張ろうっと。



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