月別アーカイブ: 2009年6月

根石が届きました

一昨日、石屋さんから
「注文の石ができたよ」
と電話がありました。

京都市・N邸の根石(柱を載せる石)です。

引き取りに行く約束だったのでとりあえず様子を見に行くことに。

根石

 

 

 


 

 




体積はたいしたことないんですが、重さが・・・。
うちの軽トラの積載荷重をはるかに超えてます。




これらの石は全て錆び御影石で作ってもらいました。

通常の白・黒の御影石ではなく、わずかに赤みのある錆び御影にしたのは、杉の柱の色になじむようにと考えてのことです。



【お知らせ-1】
2008年晩秋の新月期に伐採・葉枯らし乾燥させた静岡産の
杉・桧を使って下さる方を募集しています。詳しくはこちら

【お知らせ-2】
6/23(火)16:30より、なぐり加工の見学に行きます。
参加されたい方(限定3名)はこちらをご覧下さい

 

 

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早朝の公園にて

このところ、努めて超早朝の散歩へ行くようにしています。
今朝もいつも通り、20分くらいかけてゆっくり歩いてきました。

いろんな方のお話を聞くと、本当は起きてすぐの
「頭がぼ~っ」
とした状態で散歩に行くのが一番良いようです。

きっと、起きた直後の脳波の状態がいろんなものに同調しやすいからでしょうね。



僕も本当はそうしてもいいのですが、僕が起きる時刻はまだ暗い(※)ので、なんだか暗い時に散歩に行くのもあまり気分が良いものではないのです。
※ちなみに今朝はちょっと遅くてam3:30でした。

やはり散歩には日の出直後あたりが気持ちいいよなぁ、という何とも説得力のあるような無いような、単なる自分の気分だけの問題で、いつも5時前後に出かけています。



いつも散歩していると、なぜかわかりませんがいろんなことが頭の中にふっ、ふっ、と浮かんできます。
( ↑ 浮かんでくることはそんなたいしたことじゃないんですけどね。)

それを覚えておいて、帰ってきてからメモ→実行するようにしているのですが、だいたい散歩中に浮かんだ答えは間違いが無くて、いつもすごく助けられてます。
不思議ですね。



と、言いたいことから話がそれてしまいましたので話を戻します。

実は散歩の終わりがけにいつも公園を通るんですが、そこをおおきな竹箒で掃き掃除してくれているおばちゃんがいました。

目が合ったので
さとう   :「おはようございます」
おばちゃん:「おはようございます」←もちろん、知らない人です
と挨拶をして通り過ぎたのですが、よく足元を見ると、タバコの吸殻とか花火の燃えカスとかが散らかっています。

おばちゃんはそれを掃除してくれていたのでした。
頭が下がるなぁ、と思いました。



きっとおばちゃんが自分で花火をやったり、タバコを吸ったのではありません。
( ↑ もしそうだったら逆に面白いですが)

人知れず、こうやっていろんな方が善意で行動して下さっていることが重なって、社会は支えられているんだなぁ、などということをボケ~っとさせた頭で感じながら散歩から帰ってきました。

なぐり加工の見学をしたい方、いらっしゃいますか?

6/23(火)の夕方に、京都市内で杉の化粧ナグリ加工の実演見学を予定しています。

↑ ナグリ加工とはこのような仕上のことです。

京都市内の銘木屋さんのご協力のもと、京都市N邸に使う玄関式台用の杉板をなぐってもらいます。

チョウナという道具に丸刃をつけてなぐるのですが、今回は加工の工程をビデオで撮影し、久しぶりに動画としてYoutubeにアップする予定です。

あまりたくさんの方が来られると、銘木屋さんにもご迷惑がかかってしまうので3名程度に限らせていただきます。

【日時】 6/23(火)16:30開始、作業時間は30分程度の予定

見学ご希望の方は、東風/佐藤仁までご連絡下さい。

【お知らせ】
2008年晩秋の新月期に伐採・葉枯らし乾燥させた静岡産の
杉・桧を使って下さる方を募集しています。詳しくはこちら

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味?香り?

少し前から、事務所のスタッフと意見が分かれていることがあります。



それは、

「シソに味がある!」
「いや、味はない!あるのは香りだ」

というものです。



東風内では、

味がある 派          ・・・女性スタッフ2名とも
味はない。あるのは香りだ 派・・・僕1人のみ

という勢力図です。(負けてる・・・)



あなたはどう思われますか?

もし良かったらコメントをお寄せ下さい。

 

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2008 秋の新月伐採材を使ってくださる方を募集します

静岡で、ここ1-2ヶ月の間に原木の製材を行う予定です。

そしてタイトルにも書いたとおり、この新月伐採材を使ってくださるエンドユーザーの方を募集します。
(誠に申訳ありませんが、同業者の方による買い付けには応じることはできません。
その理由は以下の説明を読んでいただければご理解いただけると思います)

今回製材しようとしている原木は、2008年晩秋の新月期に伐採した樹齢120-130年の杉・桧で、一般的な住宅約2棟分の量があります。

しかし、これらの杉・桧はすぐには使えません。

これから約2年間かけてゆっくり自然乾燥させ、2011年に着工する現場で使うようになります。

これらの木材は、
2008年に、伐り旬である晩秋(11月下旬)の新月期を選んで伐採

4ヶ月間、山の斜面で葉枯らし乾燥を行って、この春に山で造材

ようやく麓に降りてきた木材です。

これは建材に用いる木材としては一番いい状態で仕上がる、極めて自然で無理のないやり方です。
それはなぜかというと、木が本来持っている性質・能力を最大限引き出すことを大切にしているからです。

東風で依頼している木材は、生産者である林業家を限定して、市場に出回る前に山で買い付け、指定した長さに玉切りしてもらって作っています。

ですから、一般にはほとんど出回らないような長い1本ものの材料(7~9m)をふんだんに使うことが可能です。

上記のように、今回の木は木材を贅沢にしかも理想的な状況で生産してもらっている上質な材料ですが、
【作り手=林業家にとっても幸せで、お客様にとっても幸せ】
となるような関係を実現することも、この取り組みの大きな目的の一つです。

そのために中間業者を一切入れずに東風で取引を一元管理し、山~製材~材料の保管・管理・運搬までを全て東風が責任を持って行っています。

<林業家の幸せを実現するために・・・>

作り手である林業家には、永続的な林業経営を続けていくのに必要な適正利潤が得られる価格をつけてもらって購入します。

そしてエンドユーザーと林業家とを製材の現場で引き合わせ、顔が見える関係を築きます。

意外と知られていないんですが、林業家にとって、自分の作ってきた素材=木材を実際に使ってもらえる方(エンドユーザー)の方に会うことができるケースというのは、本当に本当に稀な(というか今まではありえなかった)ことなんです。

だから、エンドユーザーが誰なのかがわかるというだけでも、林業家にとっては嬉しいことなんです。

<エンドユーザーの幸せを実現するために・・・>

このように生産過程にこだわって作っている木材は、現在一般の市場には出回りません。
なおかつ生産者の顔が見え、産地偽装などもない安心できる材料を入手するのは通常のルートを通じて行うと価格が大変高くつくばかりでなく、現実的にはほぼ実現不可能です。

そして原木の状態から美しい建材になる瞬間の製材工程に立ち会うことは、とても感動的でスリリングです。

これだけクオリティが高く、付加価値も高い材料を、東風では通常よりもかなり安い(しかし妥当な)価格で販売します。

購入を前向きに検討して下さる方(2組限定)のご都合に合わせて製材のスケジュールを調整し、静岡市内で製材立会い見学を実施したいと思います。

下記に掲載した写真は、昨年の6月に行った製材の時の写真です。

写っている人の大きさと木の大きさを比べて見て頂けると、木の太さ・長さがよくわかると思います。

ぜひ画像をクリックして拡大してご覧下さい。

↑ これは長さ9m、桁用の杉材です。

↑ 太さがよくわかるでしょう?

↑ とてもおとなしくて上品な木目が出ました。
こんなに長くて美しい木は、普通、市場では入手できません。

↑ 赤身の大きく張った、節の大変少ない8m材(!)です。

当初は東風スタッフだけが立ち会って製材をしてしまおうかと思っていました。

しかし昨日色々とスタッフと相談しているうちに、
「やはり使っていただく方に製材の感動をぜひ味わっていただきたい!」
と思うようになり、告知してみることにしました。

この記事を読んで興味を抱いた方は、お気軽に東風/佐藤仁までご連絡下さい。

ただし、本当に使っていただける方にぜひ見ていただきたいと考えているので、
「購入するつもりはないが、見学だけしたい」
という方は、大変申訳ありませんが連絡しないで下さい。

スケジュールの調整後、購入予定者の方の同意が得られたら、製材の見学会も開催したいと考えていますので、そうなったら改めてみなさまにご連絡します。

実際に使って頂ける方にぜひ見ていただきたいので、具体的なスケジュールはまだ決めていませんが、7月か8月には実施したいと考えています

お申し出頂いた方と調整を行って、その方のご希望を最優先させて製材の日程を決める予定です。

どんな方と出会えるか、今からとても楽しみです。
ご連絡は東風/佐藤仁までメールにてお願いします。

 

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世田谷リフォーム 解体工事

またまた東京に行っておりました。
このところ、月に2回ずつ位のペースで上京しているような・・・。

今回の上京の目的は、

1. 来月初旬から着工予定の世田谷区でのリフォーム物件の見積りに際して
各工務店さんに詳しい事情をご説明するための現場説明会の開催
2. 現場の1階天井解体工事の立会い

です。

昨日、前所有者から今回のクライアントへの物件引渡しが行われ、その後現場の構造材の状況を確認するために、1階の天井を解体しました。

今回解体工事をして下さったのは、NPO法人・民家再生協会の仲間で、東京・新木場で古材や古建具の販売をされている、株式会社ひでしな商店さん。

床面をブルーシートで養生し、大工さんが天井をばらしては解体材を整理してトラックに積んでいきました。

そして・・・↓

解体完了後の写真。
これで2階の床を支えている梁の調査ができるようになりました。

作業が完了して片づけが終わった後、僕は1人で現場に残り、構造材を見上げながら1時間以上頭の中で構造補強のための梁の組み方を考えていました。

この建物は建築当初の構造面での設計があまりよくなかったため、屋根の荷重をきちんと支えられていないところがあります。

具体的には、それが2階の床のたわみとして出てきているのですが、それを解消するために、今回のリフォームに際して古材を数本使って構造体を補強します。

木造の場合、
どこに柱・梁を入れて上部荷重を受けるか?
どんな形の材料・樹種をどのように見せるか?
という両方のバランスを取りながら、うまく空間構成を考えていくことがとても重要です。

来週末には再度東京へ行って、工務店さんの見積り提出を受けると共に、古材の選定を行います。

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次の目標は糠漬け

月曜日に、久しぶりにメールマガジンを配信しました。
( ↑ 読者の皆さん、不定期発行になってしまっていて、すみません)

その中でおにぎりの話をしたら、複数の方からコメントメールを頂きました。
(メールを送って下さったみなさん、どうもありがとうございました)

ビックリするほどいろんな知恵を教えてくださった方もいて(←中将さん、ありがとうございました)、大変ありがたかったのですが、そんな中で僕が『土鍋でご飯炊き→おにぎりづくり』 の次にチャレンジしようとしていることがあります。

それはヌカヅケ。



実は僕、漬物大好きなんです。
僕は、飲みに行くと最初のオーダーの中の一品として
「漬物盛り合わせ ♪ 」
を毎回頼んで、まわりのみんなから白い目で見られます。

いつもたいがい

「おいおい、 最初から〆の一品たのむんか?」

と突っ込まれるのですが、誰もそんなん〆ようと思って頼んでいるわけではなくて、ただアテの一つとして常にツケモンがあって欲しいと思っているだけなのですが・・・、と話がそれてしまいましたが、とにかくまぁ僕はツケモン大好きなのです。

ヌカヅケだけに限らないのですが、アサヅケ、シバヅケ、マツマエヅケ、ビールヅケなど、ツケモンは一般に大体どれも大好きです。
(ただ、一般に売っている奈良漬だけは苦手。
奈良漬も売ってるやつじゃなくて作るとすごく美味しいんですけどね。 )



小さいころから好きだったのですが、やはり京都に住んでツケモン好きに拍車がかかりましたね。
伊丹に引っ越してきてからは美味しいツケモンの入手ルートが発見できず、悶々としています。



実は2年くらい前に
「よし、美味しいツケモンが売ってなければ自分で作ろう!」
と決めて、糠床用のホーロー容器を買ってきたのですが、なんだか億劫になり、 買ってきたままの空容器で埃をかぶっていました。



そんな折、先述のメルマガにコメントを送ってくださった中将さんが

「ホーローの容器にぬか床を入れて、冷蔵庫に入れておけば、
ゆっくり熟成するので、1、 2週間は放っていても、すぐ復活します。
乳酸菌は嫌気性なので、毎日混ぜなければいけないということはありません。」

ということを教えてくださって、ズボラな僕でもそれならできそう ♪ ということになり、早速ヌカドコを用意しようと一気にヒートアップ!

そこへ中将さんからさらに詳しい情報を送って頂いたので、転載の許可を頂き、以下にご紹介します。



「乳酸菌が嫌気性だという話、実はNHKのためしてガッテンの知識なんです。
あれをみて、ぬか漬けの科学がよく分かりました。
経験的にやっていたことが正しかったり、逆に無意味だったり。
ここに、ざっと書いています。
http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20080618

以下は、私の経験則。
なので、真偽は? です。。。

まず、冷蔵庫に入れておけば、菌の増殖が遅いので、2日ぐらい触らないでも大丈夫です。
そのかわり、当たり前ですが漬かるのも遅いです。

それと、何週間も休止させるときは、塩をざっとまいて、冷蔵庫に入れておきます。
表面から何センチかはだめになっていますが、
下ではきれいなぬか床が生きています。
乳酸菌は死ぬことはないようです。

それと、2,3日放っていると、表面に白いアワのような膜ができます。
私はあんまり気にせず、ちょっとぐらいだったらそのまま混ぜ込んでいました。
上のガッテンによると、結果的には、それは正解だったようです。
白いアワというのは、産膜酵母という好気性の酵母菌らしいです。
臭いですが、空気を絶つと、アルコールなどいい成分を出すとのこと。

いずれにせよ、
少々ほったらかしになっても、絶滅することはないので、気軽に実践あるのみだと思います。」



実はこの中将さんから送って頂いたお知恵は、みなさんにもぜひご紹介したいものがたくさんあるので、何回かに分けてブログに書いていきます。

どうぞお楽しみに。



これからだんだん事務所の食べ物が増えていきそうです。

そのうち、事務所の冷蔵庫が大型冷蔵庫になったり、飽き足らずストッカーを置くことになったりするかも(笑)。

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建具の設計

少し前に、木製建具のデザインに取り組んでいる、という記事を書きましたが、その時に読者の方から

「家に対して、どのように建具のデザインを作り出していくのかの、建築士の思考の過程を垣間見れると、嬉しいです」

というコメントを頂いたので、今日はそれにお答えして少し障子のデザインを考える際の過程についてお話してみたいと思います。

1. まず最初に、大まかなデザインの方針を決定します。
木造であっても、室内全体が民家風の骨太な感じでまとめるのか
数奇屋のような繊細で華やかな感じでまとめるのか
または現代っぽく、さらりとした感じでまとめるのか。
これは建具で調整するというよりも、建物に合わせて方針を採択する
という感じですね。

2. 次に色と樹種を決めます。
色を塗るのか塗らないのか、
木目がはっきり出る樹種が良いのか、あまり出ない樹種が良いのか、
コストは?重さは?
というようなことから、建物に使われている材料との相性・バランスも考えて
樹種と色を決定します。

3. そしてようやく大まかな建具の形を決めます。
1の方針に沿って、ある程度のイメージを固めたら、障子の場合は
腰板を設けるのか
→ 腰板を設けるのなら、どんな材料で、どの方向に木目を向けるのか
→ 腰板は1枚板か、数枚をはぎ合わせるのか
→ 腰板の高さはどのくらいにするのか(写真:b)
それとも上から下まで格子のみでいくのか
という大枠を決めます。

4. そこからようやく、格子の割付です。
縦横、それぞれ何マスで割り付けるのか(下写真a)
マスは縦長にするのか、横長にするのか、それとも正方形にするのか

ここまではおよそ想像がつくと思うのですが、難しいのはここから先です。

5. 次に各部材の木割りを考えます。この木割りというのは出来上がってしまうとわからないように思われがちですが、プロポーションを考える4の工程以上に空間全体の雰囲気を大きく左右してしまう、デリケートな作業です。

建具の設計においては、ここが一番の勘所と言えるでしょう。

1の方針に沿って、縦框(写真c)の寸法を決めます。

同様に、1の方針に沿って上桟(写真d)・下桟(写真d)の寸法を決め、それに合わせて中桟(写真e)の寸法を決めます。

縦框・上下中桟の寸法が決まったら、その雰囲気を壊さないように組子の太さ(写真f)を決めます。

この木割りの過程では僕は何度も原寸図を描いて、実際のプロポーションを実物大で確認しながら、何度も調整を行います。

6. 全体の木割ができたら最後に引き手の大きさを選んで決めます。

とまぁ、だいたいこんな感じで一つ一つ決めていくのですが、順番に一つずつデザインを考えていくうちに
「やっぱりあそこはこんな感じのほうがいいなぁ」
などと考えを改めることはしょっちゅうなので、そのたびに描き直し・・・なんて具合で3歩進んで2歩下がる、とゆっくり進みます。

建具は実はとっても難しいんですよね。

 

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瓦の色ムラ

下の写真は、兵庫県南西部にある瀬戸内沿岸の坂越(さこし)という町の家並を
丘の上の公園から見たときに撮った写真の一部です。

よく見ていただくと、手前の家の瓦には瓦一枚一枚に色ムラがありますが、
煙突の向こうの屋根には色ムラが無いのがよくわかると思います。

これは手前の建物の瓦が古く、奥の建物の瓦の方が新しいのですが、新しい瓦もあと数十年経って古くなったらこんな色ムラが出てきて味わい深くなるのか?と思われるかもしれませんが、そういうことにはなりません。

この原因は瓦を焼くときの焼成温度の温度ムラによって発生するものだからです。

最近の瓦はガス窯で焼いているので、温度管理を非常にしっかりやっています。
そのおかげで、瓦の品質(割れ・耐候性など)も安定してきていて色ムラも無くなっています。

すると奥の建物のような、均一な色の「シャキッ」とした色の屋根ができるわけです。
がしかし、見た目にはちょっと味わいが足りないなぁ・・・という感じがしないでもありません。

確かに手前の家の方が、何というか味わいがありますよね?

こういう昔の瓦は登り窯のようなところで薪や炭などを燃やして焼いていましたから、当然火の近くに置いた瓦と火から離れたところに置いた瓦とでは焼成温度が違ったのです。

すると焼成温度が低い瓦は耐久性が低いということになってしまって、割れが入る年数も浅くなる、ということになってしまうわけですが・・・。

僕も、どちらかというと手前の家のような色ムラがある瓦の方が見た目には好きです。
で、一度瓦屋さんに相談したことがあります。

「あんな風に葺けないもんですかねぇ~」
と。

そしたら返ってきた答えが

「あんなんしよう思ったら、焼きの甘い不良品をわざわざ探してきて混ぜて葺かなあかんねんで!
手間はかかるわ、性能は落ちるわで何もエエことあらへんのに何でそんなことせなあかんねん!」

と怒られました(ショボン・・・)。

でも同じようなことを言う方は結構いるみたいです。

で、古い瓦を集めて探してきて葺くというやり方もあるのですが、文化財ならまだしも、一般住宅でそれをやってしまうと保証問題をどうするのか?という議論になるため、現在は難しい状況です。

でも、瓦メーカーさんが4-5種類の粘土を作って色を替え、
『ほぼ』同じような性能
(または一番耐久性の低い瓦がかろうじて最低基準をクリアしている)
で色がまだらになるような瓦を作ってくれたら、屋根の表情もちょっと豊かになるような気がしますが、実際は難しいのかなぁ・・・?

これを読んでくださっているあなたはどう思いますか?
あなたならどっちの屋根が欲しいですか?

もし良かったら、あなたのご意見をコメント欄に書いてみてください。
たくさん意見が集まったら、それを【民意】として瓦メーカーに持って行ってみようと思います。

コメントの投稿はこちらから。

ご協力、よろしくお願いいたします。

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様相について思うこと

様相(ようそう)建築と言われる建物があります。

1990年代前半に大阪に建てられた新梅田シティ。
関西圏の方にはおなじみのビルでしょう。
設計者は京都駅ビルと同じ、原廣司+アトリエφ

建物を視覚的な反射率の高いガラス張りによって構成し、その時の天候や周囲の景色を建物の外壁=ガラスに映りこませて、建物を周辺環境に同化・調和させて建物の存在感を消したり、建物の表情の変化を楽しむというのがその設計趣旨です。

下の写真は僕が学生のとき(かれこれもう16年前)に、その設計者のコンセプトを反映させた写真を撮ってみたい、と思って写したものです。

ガラスに青い空や白い雲が映りこんで建物を消し、空中庭園と呼ばれる、頭頂部の白いデッキが空に浮かんでいるように感じさせたい、という設計者の意図が絵になっているでしょうか?

この建物やこの種の設計コンセプトが良いかどうかは別にして、この【様相】というものについては、どうも女性の方が敏感な気がします。

上記のような現代建築ではなくても、日本の伝統的な建物は陰影を大切にしているので、季節や天候によって室内の佇まいが変化しますよね?

僕も建物を設計する際には陰影にものすごく気を使います。

それこそ、
「ちょっとおかしいんちゃう?」
といわれそうなくらいに(笑)。

でも、日本の木造建築の真髄は
【陰影・プロポーション・素材感・繰り返すリズム】
にあると思っているので、こればっかりはないがしろにできません。

まぁそんな僕のこだわりはどうでもいいんですが、うちのスタッフ(2人とも女性です)と建物の話をしたりしていると、同じ設計者なのに見ている観点がえらく違うなぁ・・・と感じることが多いのです。

そういう様相の変化に重きを置くのは、やはり感情の機微を掬い取ることに長けている女性ならではの優れた能力の一つなのでしょう。

(↑ 女性の皆さん、そうじゃなかったらごめんなさい)

設計者というのは、全てを頭の中でイメージしきってから建物を作っていると思われるかもしれませんが、決してそんなことも無いんですよ。

出来上がってから
「うわっ、ここから見るとこんな風に見えるんか!」
とビックリすることもあるくらいです。

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