先週の水曜日、大阪府北部のお寺の庫裏(くり)の調査を行いました。
庫裏とは住職のお住まいのことです。
年末に相談のご連絡を頂いていたのですが、築後100年以上と思われる庫裏が寒くて仕方がない、断熱を施すなどして何とかしたいというご要望でした。
調査当日は午後から雨の予報だったこともあり、現場に到着したらまず屋根に登りました。
さすがお寺の庫裏だけあって、屋根には反り(てり)がついており、棟付近まで上るにしたがって勾配がきつくなってきます。
おそらく棟では6~7寸くらいの勾配だったのでは?と思いますが、5寸勾配を超えると足場なしで上るのはかなり危険です。
同行したうちのスタッフにも付いてこないように言い含め、一人で棟まで登って瓦の状態を確かめました。
瓦は変色したりしていましたが割れもほとんど見当たらず、材料自身の耐久性としては、まだあと10年くらい大丈夫かな?という感じでした。
しかし、葺いてから50年程度経過しているのではないかと思われる瓦はところどころズレが生じていて、雨漏りしているのではないかと思われる箇所が数ヶ所あります。
材料はあと10年くらい使えそうですが、現在の材料を使って葺き直しても近い将来再度新しい材料で葺き替えなくてはならず、
1.外部足場架設のための費用
2.瓦撤去・復旧のための職人手間
が2度かかってしまうことになり、得策とは言えません。
ということで、改修に際してはまず屋根の葺き替えが大前提となるとお伝えしました。
せっかく中をきれいに改修しても、屋根の葺き替えの際に上から雨と泥が落ちてきてドロドロにしてしまったのでは全く無駄になってしまいますからね。
その後、
○ 内部の構造材の確認
○ 建物の傾き
○ 床下の土の状態
○ 柱の根石の高さと付近地盤面との関係
などを確認して辞しました。
あらかじめ図面を頂いていたので、調査は大変スムーズに進み、こちらも助かりました。
今後は調査結果を基にして、改修方針や予算、材料のことなどについてお話をして進めていくことになりそうです。
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