月別アーカイブ: 2008年9月

景観を守るために その2

現在、京都市内でN邸の建築確認申請を出す準備を進めています。

この物件の現場は左京区(銀閣や詩仙堂などがある区域)内にあるのですが、左京区の東の山の中腹には、あの有名な大文字があります。

毎年8/16に行われる五山の送り火を賀茂川べりから観る景観を守るために、賀茂川と大文字を結ぶエリア内の建築物を作る際には、その視線を遮らない高さであることを証明しなさいという申請手続きがあります。
(ちなみに、京都市内では同じような規制の対象となっている区域が他にもたくさんあります)

僕も今回はじめてその申請を行うのですが、
「なかなかやるなぁ~」
と感心したのでちょっとご紹介しますね。



まず、申請に必要なデータは下記の通りです。

〇 計画地(現場)の正確な位置(緯度・経度)
〇 計画地地盤の標高 (← 海抜××m)
〇 計画している建物の最高高さ
〇 大文字と賀茂川の緯度経度・標高

京都市役所の市街地景観課に行くとパソコンが置いてあって、そのパソコンのプログラムを使って計画地の正確な位置は割り出せるようになっています。
これで大文字までの水平距離、賀茂川までの水平距離もあっという間に算出してくれます。

当然のことながら、賀茂川べりの標高と大文字の標高もこのパソコンに入力されていますから、あとは現場の標高がわかれば、断面図を描いて大文字を邪魔しない高さかどうか?ということを証明する資料は作成できるわけです。

そこで
「じゃあ現場の正確な標高はどうやって測るの?
 いちいち測量士さんに頼まないといけないの?」
という話になりますよね?

ここからがなかなかスゴイところなんですが、実は京都市内のそこら中の道路に下のような小さなピンが埋め込まれています。

景観1


 


 


 


 


 


 


 


 


ピンだけ拡大するとこんな感じ(↓)
直径は3cmくらいの小さなものです

景観2


 


 


 



で、このピンの位置・標高が全て記録されているのです。

ですからこのピンの高さと現場の地盤レベルとの差を測れば、それで正確な標高が割り出せる、というわけです。



技術的にはなんら大したことのないレベルですが、そこまで一生懸命になって景観を守ろう!としている姿勢がすごいと思います。
いやぁ~感心しました。

おそらく他の都市でも同じようなことは行われていると思いますが、人知れずひっそりと頑張っているいい取り組みだなぁと思ったのでご紹介しました。



ちなみに、上記のピンの画像を拡大してみていただければお分かりになると思いますが、このピンは国土交通省のものです。

ですから、もしかするとあなたの街にもあるかもしれませんよ。

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今朝の毎日新聞朝刊に掲載されました

木曽のみんながつくってくれた大阪の家


 


 


 


 


今朝(9/22・月)の毎日新聞朝刊・全国版で、当方が設計・施工管理を行い2007年3月に竣工した伝統構法の家、木曽のみんながつくってくれた大阪の家が紹介されました。

取材にご協力いただいた建築主のTさんをはじめ、毎日新聞の記者の方ほか関係各位に深く感謝いたします。



なお、記事の中で一部誤りがありましたので書き記しておきます。
記事の中で、
「親類が営む山下建築が用意したひのきや杉、けやきなど・・・」
という記述がありますが、
建築ではなく山建築(やまいち建築)が正しい名称です。

山一建築さんはこの現場の木工事を担当してくださったのですが、根気よく丁寧に作ってくださったおかげでとってもいい具合に仕上がっています。
社長の笹川さんがこれまでに集めてこられた約20種類の木材を提供してくださり、Tさんのお宅にはいろんな珍しい木が使われています。

(有)山一建築
TEL 0264-36-3195
長野県木曽郡木祖村小木曽5340

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新しいサイト公開しました

昨日の夕方、予定より3日早く新しいサイトを公開し始めました。

先週末から昨日にかけて僕は東京出張だったのですが、あっという間にサイト製作会社のスタッフの方が入れ替え作業を済ませてくれました。



今回のサイトは更新や変更がとっても楽~♪です。
( ↑ 運営者としては何よりありがたい)

感想・ご意見などありましたらどしどしお寄せ下さい。



今回のサイト公開に際して、クライアントのTさん・Uさんが家づくりの感想・コメントを寄せて下さいました。
あまりに褒めちぎられすぎているのでちょっと恥ずかしいのですが、本当にうれしい限りです。

これまでのサイトにはなかったページとして、Q&Aページを追加し、設計報酬木材へのこだわりなぜ建築家が必要なのか?なども独立したページに構成し直しました。

これまでのサイトに比べると、より情報を探しやすくなっていて、幅広くみなさまのお役に立てるような形になっていると思います。
どうぞご利用下さい。

今後ともよろしくお願いいたします。




あなたはどちらが好きですか? 
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家、と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2208年に言ってもらえる家

新しいサイトを近日公開します

今年の春ぐらいからたまに話していましたが、うちの新しいサイトがほぼ完成しました。
公開は9/19(金)の予定です。

今までのサイトはアメリカ在住の日本人の方に2005年に作っていただいたのですが、更新して情報を追加していくうちにゴチャゴチャしてきて、だんだんわかりにくくなってきてしまっていたので

「もっとわかりやすく、サクサク見て頂けるようにしよう。
 多くの皆さんの役に立つような情報がたくさんあるようなサイトにしよう」

というコンセプトで、実は今年の2月から作り始めていました。



途中、現場にかかりきりになってしまったため作業を中断していて、なんと着手からもう半年以上経ってしまったわけですが、新しいサイトはこれまでのサイトとは少し違う雰囲気になっています。

みなさんどんな風に感じるだろうか?と考えるとワクワクしたり、ちょっと不安に思ったりしています。
どうぞお楽しみに。

スイスでいよいよ実験が始まりました

ついにスイスとフランスの国境地帯で注目の物理実験が始まりました。

日本にもスーパーカミオカンデというこれとよく似た実験施設がありますが、今回の実験施設は規模などが違うようですね。

僕はもともと物理とか宇宙に関することが大好きなので、ビッグバンとかブラックホールがどうとか聞くと、専門的には良く判らなくても(笑)ワクワクしてしまいます。



僕が今回の実験に期待しているのは、どうやらこの実験が成功すると、新しい物理理論が確立される(というか証明される)ので、これによって新月伐採の効果・理論的な裏付けがなされるだろう、と言われているためです。

結論が出るのはまだ2-3年先になりそうですが、今から楽しみで仕方ありません。
世の中がどんな風に変わっていくんでしょうね。

この実験ではすごく小さなブラックホールが生成されるかもしれないと懸念されていますが、いやはやとんでもない実験をやっているものです。

毎日新聞の取材を受けました

9/7(日)に、毎日新聞社の取材を受けました。

伝統構法(※)型住宅と、2007年6月に改正された建築基準法の影響についての特集記事をまとめたいということで、国土交通省の担当官のほか、伝統構法型住宅の建築主と設計実務者に話を聞きたいと申し入れがあり、うちで設計・施工管理をやらせていただいて昨年竣工したT邸に行ってきました。

※ 伝統構法というのは、筋交いやコンパネなどを使わずに、土壁と木組みだけで柔らかくしなやかな構造体をつくる木造の構造形式の一つです。
 古民家や社寺建築などがこの伝統構法でつくられています。
 同じ木造でも現在主流の在来工法や2×4工法などとは構造的に対極にあるものです



9/22(月)の朝刊の 『くらしナビ 住まいLiving』 というコーナー(←全国版だそうです)に記事が掲載されるそうなので、詳しくはそちらをご参照いただくとして、今日は毎日新聞社の記者が建築主のTさんにいろいろとインタビューをしていく中で印象に残ったオフレコの部分をお伝えしたいと思います。



このTさんのお宅は、奥様のご出身地である長野県木曽の木(主に木曽檜)を使って建てたい!というのが当初からのコンセプトでした。

Tさんがこの家を建てたことでとても良かった事として挙げてくれたのが、木工事を担当してくれた長野県の(有)山一建築をはじめ、奥様のご親戚・ご近所のみなさんなどがいろんな形でこの家の建築工事に関わってくださったことで、木曽と自分(←ご主人)との精神的な距離がとても近くなった、ということでした。

ご家族で奥様の里に帰れば、
「おう、帰ってきたか!」
と、とても親しくご親戚のみなさんが迎えてくださり、家のことにまつわる話が尽きないそうです。

自分にとって配偶者の親戚というのは、直接血のつながりがなくてまだ付き合いも浅い人たちですから、どうしても少し心理的な距離が遠くなってしまいますよね?

僕も今回のTさんの家づくりに関わってきて、ご主人のその気持ちが良く判るのですが、家づくりを通じて、物理的に距離の離れている身近なみなさんとの心理的な距離がグッと縮まった、というのは設計者としてもとてもうれしいことだなぁと感じました。



住宅の建築というのはとても手間がかかる割には利益が少なく1物件あたりの売上げも上がりにくいので、建築業界の中ではビジネス的に魅力の薄い世界として捉えられることもあるのですが、僕はこういう人間と人間の濃い~係わり合いが得られるので住宅の仕事が大好きです。

今回のTさんのインタビューに同席して、Tさんのお宅の建築に関わらせてもらえてよかったなぁ~としみじみ幸せに感じました。

 

 

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こんなところにもQRコード

QRコード


 


 


 


 


 


 


 



昨日はNPO法人・日本民家再生リサイクル協会(以下JMRA)のボランティア活動で奈良県宇陀市に行ってきました。
11/1、2の両日宇陀市で行う民家フォーラムの準備会議・下見のためです。

昨日の打ち合わせには、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した映画・もがりの森に主演されたうだしげきさんも来て下さいました。

奈良県でフォーラムを開催するにあたり、地元・奈良を舞台として撮影されたもがりの森に出演され、ご自身も奈良町(ならまち)にある町家で古書喫茶を営業されるなど民家との関係も深いことから、うださんにはフォーラム当日、シンポジウムの中で基調講演をお願いしています。

午前中、まちづくりセンターで市の担当者、地元のまちおこし会の会長さん、上述のうださんにフォーラム実行委員も含めて準備会議を行い、昼食をとった後に少し松山地区という古い町並みが残る通りを歩きました。



松山地区内には古い町家がたくさん残っているのですが、その中の数件には冒頭の写真のような手の平大の小さなパネルが張られてあり、その中にQRコードがありました。

市の担当者・森本さんによると、まちなみ散策をされた方がこのQRコードを自分の携帯で読み取ると、市が運営する携帯サイトにアクセスできて、まちなみや家の情報を携帯で確認することができるんだそうです。

っていうか、自称・携帯音痴の僕はQRコードの存在は知っていましたが、読み取り方すら知らず、隣にいた20代の友人に
「これ、どうやって使うん?
 おしえて、おしえて!」
と教えてもらい、早速試してみました。
(↑かなりおっさん入ってる・・・)

実際にやってみてビックリ!
QRコードってかなり便利ですね。
そしてこんなところに、こんな目的で使われていることにも驚きました。
宇陀市、なかなかやるやん。

T 邸上棟式

上棟4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日は、大津市 T 邸の上棟式でした。
神主さんにも来て頂いて、久しぶりになかなか本格的な上棟式を行いました。

金曜日には骨組みがほとんど組みあがったのですが、わざわざ上棟式に合わせて大工さんに作業を止めてもらっていました。

上棟式というのは、棟を上げる儀式です。
ですから、式典の最中に建て方作業の最後に納める構造材=棟木(むなぎ)を納めます。
(棟木以外は全て組みあがっていました)

 

上棟3

 

 

 

 

 

 

 


上棟の儀の最中、大工さんは棟木の上に登り、大きな掛け声と共に上からかけや(大きな木槌)で棟木を叩いて納めていきます。

昨日の天気予報では、大津市は一日曇りという予報でしたが、現場付近はカンカン照りで真夏のように暑かった!
みんな汗だくになってしまいました。

でも好天のおかげで、とてもすがすがしい式典となりました。
T さん、おめでとうございます。

 

上棟2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上棟式に先立って、大黒柱と地棟の部分の納まりを撮ってきました。
構造材は全て奈良県吉野産の杉ですが、大黒柱は性の良い素直な美しい木でした。

 

上棟

 

 

 

 

 

 

 

上の写真が全景です。
これから本格的な工事が始まり、11月末の完成・引渡しに向けて、急ピッチで工事が進められていきます。

 

 

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