現在、京都市内でN邸の建築確認申請を出す準備を進めています。
この物件の現場は左京区(銀閣や詩仙堂などがある区域)内にあるのですが、左京区の東の山の中腹には、あの有名な大文字があります。
毎年8/16に行われる五山の送り火を賀茂川べりから観る景観を守るために、賀茂川と大文字を結ぶエリア内の建築物を作る際には、その視線を遮らない高さであることを証明しなさいという申請手続きがあります。
(ちなみに、京都市内では同じような規制の対象となっている区域が他にもたくさんあります)
僕も今回はじめてその申請を行うのですが、
「なかなかやるなぁ~」
と感心したのでちょっとご紹介しますね。
まず、申請に必要なデータは下記の通りです。
〇 計画地(現場)の正確な位置(緯度・経度)
〇 計画地地盤の標高 (← 海抜××m)
〇 計画している建物の最高高さ
〇 大文字と賀茂川の緯度経度・標高
京都市役所の市街地景観課に行くとパソコンが置いてあって、そのパソコンのプログラムを使って計画地の正確な位置は割り出せるようになっています。
これで大文字までの水平距離、賀茂川までの水平距離もあっという間に算出してくれます。
当然のことながら、賀茂川べりの標高と大文字の標高もこのパソコンに入力されていますから、あとは現場の標高がわかれば、断面図を描いて大文字を邪魔しない高さかどうか?ということを証明する資料は作成できるわけです。
そこで
「じゃあ現場の正確な標高はどうやって測るの?
いちいち測量士さんに頼まないといけないの?」
という話になりますよね?
ここからがなかなかスゴイところなんですが、実は京都市内のそこら中の道路に下のような小さなピンが埋め込まれています。
ピンだけ拡大するとこんな感じ(↓)
直径は3cmくらいの小さなものです
で、このピンの位置・標高が全て記録されているのです。
ですからこのピンの高さと現場の地盤レベルとの差を測れば、それで正確な標高が割り出せる、というわけです。
技術的にはなんら大したことのないレベルですが、そこまで一生懸命になって景観を守ろう!としている姿勢がすごいと思います。
いやぁ~感心しました。
おそらく他の都市でも同じようなことは行われていると思いますが、人知れずひっそりと頑張っているいい取り組みだなぁと思ったのでご紹介しました。
ちなみに、上記のピンの画像を拡大してみていただければお分かりになると思いますが、このピンは国土交通省のものです。
ですから、もしかするとあなたの街にもあるかもしれませんよ。
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