奈良市内で数年後に建てるOさんのご自宅に使う木材の伐採がほぼ終わったと聞いて、奈良県の吉野に行ってきました。
吉野といえば、やはり何と言っても杉です。
わざと育ちにくいように杉を密植させて、木の成長を遅らせ、目の詰まった良材をつくるのが吉野独特の植林方法です。
ですから、木材が太くなるのには長い時間がかかりますが、出来上がった木材は肌理が細かく、とても美しいものになります。
そして吉野材は土壌のせいでしょうか、他の産地の杉では出ない、しっかりした強い赤色がもうひとつの特徴です。
数奇屋の世界では、この吉野杉の赤身の部分だけを使って採った材料を【赤杉】と呼んで大変好まれます。
ちょっと話がそれましたが、冒頭の写真はクライアントのOさんが樹齢120~130年の吉野杉にまたがっているものです。
ご夫婦でものすごくうれしそうな表情をされているいい写真が撮れたので、本当は拡大して見ていただけるようにしたかったのですが、やめておきます。
この木は大きくて、とても素直ないい木です。
製材したら、感動でうち震えるぐらいいい材料が採れるでしょう。
今から木目が脳裏に浮かびます。
林業家であるお父様が木材を提供してくださるおかげで、とても豊かな家ができそうです。
僕も静岡で林業家と一緒にいろんな取り組みをしていますが、吉野はまた少しやり方が違っています。
伐採時期、葉枯らし期間、出材方法、土壌と樹芯の発色など、いろんな事情から様々な違いがあり、実際に手を下している林業家のお父様からいろんな詳しいことをお聞きできて大変勉強になりました。
同行したうちの事務所のスタッフもいろんなことを学んだようです。
やはり木は原木の状態で見ないと、もう1つ深い理解ができませんね。
人間も育った地域や環境によって人格が形成されるように、木も全く同じです。
またほんの少しだけ木に近づけたような気がしますが、まだまだ奥が深いです。
(というか、深すぎます)
そこに木造のおもしろさがあるんですけどね。
(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を