2週間前に、神戸市北区で来月から着工を予定しているS邸の見積提出・プレゼンテーションがありました。
今回は2社が見積もりに参加していただき、最終的に大阪の輝建設さんに工事をお願いすることが決定しました。
今回の見積に際しては、両社ともに全く同じ条件で見積をお願いしました。
こちらで作成した詳細な設計図書を渡し、同じ期間内で見積を作成してもらうという条件です。
そして両社には、
「施工者決定においては、価格が最も重要な要素ではありますが、
競争入札ではないので価格だけで決めることは絶対にしません。
ですから、各社それぞれに自社の理念や活動内容、
過去の実績などが伝わる資料を持参して、自由にアピールして下さい。
表現方法や資料の形式等に関しては全く自由です。」
とあらかじめ伝えておき、各社1時間半のプレゼンテーションに臨んで頂きました。
持ち時間である1時間半の間に、企業としてのアピール、見積書の提出・説明を行っていただき、その場で僕が見積書を精査していろんな質問や確認を各社に対して行って回答を得て終了です。
両社の間には企業としての姿勢や活動の指針となる理念に大きな違いがあり、クライアントであるSさんもそれを強く実感したようです。
その時見ていて感じたことをお話しします。
これからお話することを文章だけでお伝えするのは非常に難しいのですが、施工者を決定する際に重要なのは、価格ではありません。
「同じ図面を基にして施工してもらうんだから、
出来上がるものは同じなんだろう?
だったらちょっとでも安いほうがいいじゃないか。
相見積もりはそのために取るんだろう?」
と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その考え方は間違っています。
深く満足・納得できる家づくりを行う際には、
「誰(施工者)に作ってもらうのか=誰と家づくりを一緒に進めていくのか?」
ということが、設計者選びと同様にとても重要です。
企業としての魅力には、様々なものがあります。
○ 資本力(安定性)
○ 価格競争力
○ 技術力
○ 企画力
○ コミュニケーション力
○ 環境に配慮する考え方
など多岐に渡りますが、そのどれを重視するかは人によって様々ですから、どんな会社を選ぶべきかということは、設計者から押し付けたりすることは僕はしません。
もちろん、各クライアント個別のいろんな状況を考えた上で、
「あなたにとっては、今回はこの会社がいいんじゃないでしょうか」
という推選ぐらいは、求められればします。
会社にはそれぞれ社風や気質というものが存在します。
社風には経営者の考え方や理念がかなり大きな影響を及ぼすのは当然ですが、担当したスタッフ自身の考え方・仕事に対する姿勢というものがクライアントに高く評価されて
「この人(←担当者)がいる会社なら、お願いしてみることにしよう」
ということで最終決定に至ることもあります。
クライアントには上手く伝えにくいのですが、今回2社の見積書を拝見して設計者としての立場から施工者にいろいろ質問を重ねていくと、見積書作成にあたっての各社の姿勢・担当者の性格・企業体質というものが、僕には見えてきます。
そんなもの(←見積書)だけでホンマにわかるんか?と言われるかもしれませんが、それはもう如実に現れますよ。
見積書は文字と数字の羅列ですが、そこにきちんと浮かび上がってきます。
僕が感じ取るその各社間の違いや特徴が、同席して質疑回答を横で聞いているクライアントにもおぼろげながら感じ取っていただければいいなぁと思いながら、僕はいろんな質問や確認をしていきます。
これもうちの企業としての大きなサービスの一つだと、自分自身は考えています。
とまぁ、うちのことはさておき、あなたがこれから取り組もうとしている家づくりにおいては、
「誰と一緒に作っていくのか?」
ということを、ぜひよく考えていただきたいと考えています。
なぜなら、それが本当に満足のいく家が出来上がるかどうかという点において、後になってと~っても大きな意味を持ってくるからです。
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