11月21(火)に静岡市の梅ヶ島(うめがしま)というところで、木材(杉と桧)の伐採に立ち会ってきました。
上の写真は、伐採現場から見える風景の写真です。
今年は紅葉が遅く、見頃までもう一歩というところでした。
ここは標高約1000mの地点で、正面に見える山の向こう側は山梨県です。
順を追って伐採の様子をご紹介します。
木は山側に倒します。
竹竿の先端にフックのついた道具で、山側へ引っ張るためのロープを木に引っ掛けます(赤丸印部分)。
矢印の方向(山側)に向けてこれから木を倒します。
(以下の写真中、矢印の方向は木を倒す方向を表します。以下省略)
この写真を見ると木の高さ(=長さ)のスケールがわかると思いますが、現場でみていると
{ホンマにこれが倒れるんかいな?」
というくらい、樹高が高いです。
木を倒す方向の根元に切り込みを入れます。
上から下に向けてチェーンソーを入れ、その後水平方向にも刃を入れます。
切り込みができました。
今度は谷側からチェーンソーを入れます。
谷側から入れたチェーンソーの刃がある程度入ったら、そこで樹脂製のクサビ(黄色いもの)を打ち込み、さらにチェ-ンソーの刃を進めます。
充分にチェーンソーで切り進めたら、先ほど打ち込んでおいたクサビを叩いて、深く打ち込んでいきます。
クサビが深く入っていけば入っていくほど、谷側の切り込みが少しずつ開いていき、木が少しずつ山側に倒れていきます。
それと同時に、最初にかけておいたロープを引っ張ることで、山側へ木を倒します。
伐採が完了しました。これは樹齢約100年の杉です。この山は北斜面なので、日中ほとんど陽が当りません。
ですから長い年月を経ているにも関わらず、木がなかなか太くならないのですが、その反面植林の木材にしてはかなり年輪が詰んで(=細かい)いて、材の力としては粘り強いものになりそうです。
これとは反対に、南斜面に育った木だと太陽の光をさんさんと浴びて、ドンドン木が太っていきますが、年輪の巾も広くなり、粘り強さで劣る材になります。
(画像をクリックすると拡大表示できます)
今回伐採した木材は、来年の3月まで山で葉枯らし乾燥をした後、6mまたは9mに玉切りして製材します。
8寸(24cm)角の通し柱や、9mの一本物の桁(けた)として使うように製材する予定です。
静岡は僕の生まれ故郷です。
(中学2年まで、僕は静岡で育ちました)
今回伐採を行った梅ヶ島は僕の母親の里で、現在は僕のいとこが林業を営んでいます。
100年くらい前(西暦1900年ごろ)から、僕の祖先がここで林業経営をしているのですが、僕は静岡に住んでいた頃、しょっちゅう梅ヶ島へ遊びに行っていました。
(梅ヶ島という名前なのに、なぜかここは島ではなくメチャメチャ山奥です)
僕が建築の道に進み、そして木造専門の建築家になると覚悟を決めたのは20歳の時(今から16年前)でしたが、やはりその背景にはこの場所がとても大きな影響を及ぼしているのだろうと思います。
今年は半ば実験なので、自分で購入して伐採したのは10本程度の木材ですが、3年後には、うちで設計する建物の全ての材料を、
○ 【 新月伐採×葉枯らし乾燥 】による木材
○ 生産者(林業家)の顔が見える木材
によって建てていく態勢を整えます。
建築主(←家を建てる方)にもぜひこの伐採現場に足を運んで頂いて、
伐採現場の雰囲気や空気を味わって頂き、実際に伐採に立会い、
林業家ともいろんな話をしていただき、
そこから出てきた木材を使って家を建てる、
という一連の流れを構築していくことで、より思い入れの深い建物をご提供できるようにしていきます。
どうぞお楽しみに。
興味のある方は、
件名:【 新月伐採×葉枯らし乾燥 】興味アリ
と書いて、さとうまでご連絡ください。
きっとこれから一緒にゆっくり考えていくことができると思います。
大切な家づくりには、じっくり時間をかけて(2~3年)取り組んでいきたいですよね。
【お知らせ】 11/26(日)に、大阪府四条畷市で伝統構法で組上げた家の構造見学会を行います。詳しくはこちらをご覧下さい。
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世界に、300年先も美しい風景を