先日、うちの事務所にお招きしたお客さんがこう言いました。
「さとうさんの事務所に入った途端、すごく木の香りがしました」
僕はそうでもないと思うんですが、初めて来た方がそうおっしゃるのですから、きっとそうなんでしょう。
うちの事務所は普通のマンションの中にありますので、木造でも何でもないのです。
ただ、事務机脇のカウンター(長さ4m×巾60cm)と、打ち合わせ室(和室)の座卓は杉の板で作っています。
他にあるのはサンプル用の木材だけですから、きっとこれらの板が木の香りを発散しているんでしょう。
その話を聴いていて思い出しましたが、うちで設計させてもらったお宅の中はとても木の香りにあふれています。
使う樹種によってその香は異なりますが、僕が個人的に好きなのは杉の香りです。
うちで設計する家では、構造材(柱とか梁)を全て露出させるので、もちろん構造材からも木の香りは出ているのですが、どうもその家の香りを最終的に強く左右するのは、床材(フローリング)の樹種によるようです。
うちで設計させてもらった六甲山麓の家(Wさん宅)や小花の家(Iさん宅)では、どちらも吉野杉のムクの床板を張っているのですが、2軒とも同じことを奥様から言われてビックリしました。
「さとうさん、うちの子供とか私がよそのお宅に遊びに行くとね、『○○さんのご家族が来たら木の香りがする』って言われるんですよ(笑)。
住んでいる当の本人達は、家の中に入っても木の香りがするかどうかなんて、慣れてしまって全然感じていないのにね。」
初めてWさんの奥様からこの話を伺った時は、
「いや、それはちょっと大げさな言い方なんちゃうかなぁ。半ば冗談やろ。」
と思ったのですが、さすがに2回しかも別の方から同じことを伺うと、
「あっ、それってホンマなんや!」
と確信に変わりました。
杉の床板は柔らかいので住み始めるとすぐ傷だらけになりますが、香りがとてもさわやかだし、木目もはっきりしていて嫌味がないので僕は大好きです。
僕も自分の家を建てる時は、きっと杉の床板を張るのだろうと思います。
しかしいつになることやら・・・。
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