月別アーカイブ: 2006年4月

My favorite

(↑写真は、後述するMITのチャペルです。
この写真も含め、すべての写真はクリックすることで拡大表示できます)

今日(みどりの日)は僕の誕生日です。
年男(1970生・戌年)ですから、ついに4まわり目に突入してしまいました。
そこで、今日は僕の好きな建築家の1人をご紹介させていただきます。

Eero Saarinen (エーロサーリネン:1910-1961)という建築家がいます。
一般の方には、建物よりも椅子の方が馴染みがあるかもしれませんね。

彼がデザインした建物のうち、僕がこれまでに現地で見たことがあるのは、

1. アメリカのバージニア州にあるダレス国際空港
2. ボストンのMIT(マサチューセッツ工科大学)チャペル、オーディトリアム
3. ニューヨークのJFK国際空港のTWA社ターミナル

の3つです。

彼の作品では、ディテールにとても細かな気配りがなされています。

日本で発行されている建築雑誌などでは、そこまで詳しくは紹介されていなかったのでわからなかったのですが、現地に行って実際の建物を見た時、その感覚に驚きました。

1. のダレス国際空港では、斜めに立ち上がったコンクリート製の柱の表面が全てビシャンたたき(←石などの表面をわざと目荒し加工すること)によって仕上げられていました。そのために、コンクリートの骨材(←砂・砂利など)をあらかじめ変えていて、目荒らしした時にきれいに仕上がって見えるように配慮してありました。

2. MITのチャペルでは、外壁の表情を豊かにみせるために、不規則に割ったレンガを凹凸をつけながら貼っていました。

そして、同じくMITの敷地の中にあるオーディトリアムの椅子の背もたれは一つ一つ別の色が塗り分けられていて、ベターッと均一な感じに見えてしまわないようにという配慮が感じられました。

僕は大学の時に所属していた研究室の先生から、
「建物は美しさと品位を備えていなければいけない。」
と教わりました。

建物全体のフォルムが美しいということはもちろんですが、間近で見た時のディテールからも設計者の苦悩の跡や配慮が感じられる、そんな建物が僕は好きです。

僕はEero Saarinenの他にも、Calro Scarpa(カルロ・スカルパ)、北村伝兵衛、村野藤吾などの建築家が好きなのですが、彼らの作品については、また機会があれば改めてご紹介したいと思います。

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やっと終わったぁ~

先週から取り組んでいた住宅の設計コンペ案の作成が、やっと今日完成しました。

もう、こいつが終わるまではナカナカ頭の切り替えができず、どうにも他のことに身が入らない状況だったので、とてもホッとしています。

今回の住宅設計コンペは大阪府池田市の現場で、うちの事務所から近いこともあって結果が楽しみです。
でも今回は合計41社で競合なので、確率はかなり低い・・・でしょう。

「ほんなら、なんでコンペ参加したん?」
と言われてしまいそうですが、そこにはイロイロ事情がありまして・・・。

○ 木造で和風モダンがよくて
○ ムク材を使いたくて
○ コスト管理が得意な事務所を
○ 池田市の近隣で探している

という今回のクライアントさんからの要望を見て、

「これって、うちに結構当てはまってるやん」
ということもあって、参加したというわけです。

ちなみに、今回提出したコンペ案の内観パースの一枚はこれ(↓)。

(↑クリックすると拡大表示できます)

さてドウナルコトヤラ・・・。

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どうもありがとうございます m(_ _)m

このところ、更新をサボっているさとうです。


実は、今週末提出期限の設計コンペ提出に向けて、ひたすらパソコンに向かって図面を描きつづけております。
というわけで一杯一杯なので他のことまで頭が回らず、更新もできず・・・という状況なのです。

なんとか毎週(月)発行のメルマガだけは送りましたが、今週は金曜日までブログの更新ができそうもありません。



ところで、みなさまのおかげでブログランキングでの順位がじわりじわりと上がってきております。
この記事を書いている時点で、ナント!


【 25位!】


先週の時点では、50位以内にも入っていなかったというのに。

こんな体たらくなのに、応援してくださって・・・。
みなさま、どうもありがとうございます。


m(_ _)m



書きたいネタは溜まってきているので、コンペを片付けたらドンドン書きます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



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おもしろい金融商品


昨日、神戸市東灘区のある現場に行った折、近くにあった池田銀行に入っておもしろい金融商品を見つけました。
<池田>住宅ローンエコプランという商品ですが、

 ○ エコウィル(都市ガスを使って各家庭で自家発電する設備)
○ エコキュート(ヒートポンプ方式で給湯する電気式給湯器)
○ 太陽光発電装置

のいずれかを新設する住宅の場合、住宅や土地の購入資金の低利融資を行います、というもので、通常年2.375%の金利が、年1.175%(最大 年1.2%優遇)にまで引き下げられるというものです。

まだあまり調べていないので他の銀行が同じようなローン商品を提供しているのかどうかよくわかりませんが、なかなか魅力的な商品だなぁと感じたのでご紹介することにしました。

ちなみに、池田銀行と言うのは大阪府池田市を拠点とする地方銀行です。

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ボランティアの恩恵

 

 

以前からこのブログにも何度か書いていますが、僕はNPO法人・日本民家再生リサイクル協会の活動に理事として参画しています。
ボランティア活動をしていると、いろんな楽しいことがたくさんあるのですが、中でも 【人脈ができる】 という恩恵はかなり大きなものです。

現在大阪府で計画中のTさんの家は、長野県木曽のヒノキを使って建てる新築物件なのですが、先日そこで使う床板にと唐松(からまつ)のフローリングを探していました。
関西では唐松が採れないので、僕はこれまで唐松のフローリングを使ったことがありません。

唐松の産地は信州が有名です。
インターネットで調べてみるといろんな会社が唐松のフローリングを販売していました。

そのうちの数社に連絡をして、製品の規格(厚み・巾・長さ)と価格を知らせてもらうように、うちのスタッフが連絡してくれました。
ついでにカットサンプルも送ってくれるように、と依頼したので、各社カットサンプルを送ってくれました。

上の写真がそのカットサンプルの山です。
うちの事務所の応接間は和室なので、畳が写っています

送ってもらって実物を見て驚いたのですが、各社かなりバラツキがあるのです。

価格や大きさ(製品の巾・厚み)はもちろんのこと、材料の比重、年輪の詰み方(細かさ)、木目、など、本当にピンからキリまでありました。
(注:ここで当たり前のことをお伝えしておきますが、各社が送ってくれたのは、全て信州産のムクの唐松のフローリングです。そして当然のことながら、製品のグレードは1等材程度で各社共通。それなのにバラツキが大きい・・・。ナゼ?)

本当に、えらいちがうのです。

しかし正直なところ、インターネットで探したフローリングの販売元の製品は、どれも使いたくないようなグレードのものばかりでした。
( → 全てがそうだとは思いません。
きっと、たまたまうちの事務所であたった会社が悪かったのでしょう)
そのくせ大名商売をしているような会社もあったりして、幻滅していました。

そこで、前述の日本民家再生リサイクル協会で一緒に活動している、
田(でん)空間工作所の本城さんに

「どこか唐松のフローリングを販売しているところでオススメの会社あったら紹介してよ~」

とお願いしたところ、すぐにメールで2社紹介してくれたので、早速連絡をとってサンプルを送ってみました。

すると・・・。

ここがバツグンにいい商品を作っているのです。
しかも格安で!
これからドンドンここの唐松のフローリング使おうかなぁと思ってしまいました。
(しかし、なんで同じ信州の唐松ムク材にこれだけのバラツキが生じるのか、どうもよくわかりませんが・・・)

インターネットのおかげで検索できる情報量が格段に増えたとは言え、やはり商品の質感や細かい仕事の内容まではどうしても伝えにくいですよね。
そうなってくると、最後はこういう人脈が活きてくるんだよなぁ、と改めて感じました。

僕は上記協会の理事を4年間務めていたおかげで、全国各地にこういうネットワークがたくさんできました。
まさにボランティアの恩恵です。

本城さん、どうもありがとう!
再度ご紹介しておきます(↓)。

○ NPO法人・日本民家再生リサイクル協会のホームページはこちら
○ 長野県で木曽の木を使った家づくりを実践している、
田(でん)空間工作所のホームページはこちら

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天然檜の産地(メルマガのつづき)

※木曽の天然檜の木口の写真です。
写真をクリックすると拡大できますから
ぜひその年輪の細かさを確認してみてください

今週のメルマガ(04/10配信)で触れた、木曽檜(←関西では尾州檜として名が通っていますね)のことについて補足します。
(メルマガを購読されていない方はまずこちらでバックナンバーを読んでください)

これは最近読んだ本からの話です。

檜が天然に分布している地域は、北は福島県から南は屋久島にまでわたっています。
標高では、海抜200m~1700mの間に分布しているようですが、中でも海抜1000m前後の温暖地帯に、最も良質のヒノキ林が形成されているようです。
(ちなみに、今回行った木曽は、ちょうど海抜1000m付近でした)

木曽だけではなく、全国各地いろんなところに、天然ヒノキの自生林が存在しています。
例をあげると、
○ 高知県長岡郡の奥白髪(おくしらが)山
○ 和歌山県高野山
などがそうです。

しかし、上記の2つの山(奥白髪山、高野山)では伐採活動を禁止しているため、老朽木を除いてはこれらの山から伐り出されたヒノキが一般の市場に出回ることはないらしい。
たまに微量だけ出てくるものを除き、天然ヒノキが数多く産出されている森としては、木曽が唯一の天然ヒノキ産地だとのことです。

木曽では、昔は
「檜一本首一つ」
と言われていたそうで、無断で檜を伐った者は打ち首にされるほど厳しく管理され、大事に守られていたようです。
(→この逸話は、本を読む前に現地でもよく耳にしました)

今回の内容は、
『法隆寺を支えた木』西岡常一、小原二郎共著
という本からの抜粋です。

1978年に初版された古い本ですが、内容はとんでもなくすばらしいもので、僕は赤線を引きまくってページの右肩も折りまくってしまったので、もしブックオフに持っていっても

「すみませんがこの本は買取できません」

と絶対に断言されてしまいそうな状態になってしまいました。

木曽も現在ではその産出量も減り、大径木も格段に減ったとはいえ、いまだに木曽では植林によってできたヒノキを民材(みんざい)と呼ぶのに対し、天然ヒノキを

【 官材 / かんざい 】

と呼んで区別し、一般に流通し取引されています。
興味のある方は、下記サイトをぜひ一度ご覧下さい。

木曽官材市売協同組合

当方で発行しているメールマガジン

『最低目標200年! 古民家にならうこれからの家づくり』
(配信元:まぐまぐ)

では、このような情報(木・家・職人・技術などなど)を定期的に無料で配信しています。
興味をもたれた方は、ぜひこちらでご登録ください。

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メルマガバックナンバーの公開をはじめました

僕が2年くらい前から、週1回(←たまに隔週1回になりますが・・・)発行しているメールマガジン

 【最低目標200年! 古民家にならうこれからの家づくり】

のバックナンバーの公開をはじめました。
以前は当方ウェブサイトのみで公開していましたが、それも一旦中断していました。

今はまぐまぐの中のこちらのページより全バックナンバーを閲覧していただくことができます。
しかし、古いバックナンバーのハイパーリンク(画像)などはリンク先が無効になっているものもあると思います。
(↑原因は、リンク先が古いサイトのアドレスになっており、そのサーバー上のデータを消してしまったため)

そのうちに、もう一度現在の新しいサイトの中でメルマガバックナンバーの公開を再開したいと考えていますが、もう少し先になりそうです。



もし、全て画像も含めてきちんと読んでみたいという方がいらっしゃいましたら、さとう(info@mokuzo-architect.jp)まで 「メルマガバックナンバー希望」 と書いてメールを送っていただければ、直接メールにてお送りします。

ただし、ちょっとファイルが重いですよ。
ファイルサイズが合計で3.7MBありますので、その旨あらかじめお断りしておきます。



メルマガの購読(←無料かつ匿名で購読できます)を希望される方は、こちらのまぐまぐのページからお申込みください。
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民家やお寺など、壁の少ない木造建物のための構造計算手法

昨日、建築構造計算に関する講習を受けてきました。
限界耐力計算法と呼ばれるものです。

一般の住宅などの木造建築に対する構造計算手法としては、
「壁量計算」と呼ばれる手法が一般的です。
建築確認申請の際にも、大規模な建物を除くとほとんどがこの手法で今も計算されています。



両者の違いを簡単に言うと、

 ○ 壁量計算法・・・建物の壁面にコンパネを張りまくって、建物を
             強固な箱のようなガチガチの状態にして
             変形させないように固めて倒壊を防ぐ方法
             (絶対に変形させない/建物を剛体としてみなす)

 ● 限界耐力計算法・・・柳の木のように、しなやかに揺れる(歪みもする)が、
                揺れることによって地震のエネルギーを吸収し、
                建物が受けるエネルギーを減衰させて倒壊を防ぐ
                (建物に対して変形を許す/建物を柔体とみなす)

という、全く逆の考え方です。

ムズカシイ話は置いておくとして。
じゃあ、これによってどういうことが可能になるか?すごく簡単に説明します。

これがおかしな話なんですが、震度6強の地震が来た時に、
○の方法で計算すると違法建築(→すなわち、地震時に倒壊する)とこれまで判定されていたものが、
●での方法で計算すると合法建築である(→すなわち、地震時にも倒壊しない)と判断される
というケースが発生するのです。

もちろん同一建物で、ですよ。



これまで一般に、耐力壁(筋交いやコンパネを張った壁)が少ない古民家や社寺などは、建築基準法に適合しない建物(既存不適格建築物と言います)として扱われてきました。

しかし様々な実験・研究結果が進んだことにより、これらの伝統的な建物は大地震のエネルギーを受けても倒壊しないどころか、むしろ逆に破壊的なエネルギーを持つ地震に対しては●方式で計算した建物(古民家や社寺)の法が安全で倒壊しない、ということが科学的に証明されてきました。



この、限界耐力計算法は2000年に施行された建築基準法に準拠しており、完全に合法的な手法ですが、まだまだ一般に認知度が低く、役所や確認申請機関もこれに対応できていない機関がほとんど、というのが実情です。

しかし決して難解な構造計算手法ではなく、しかもしなやかでより安全な建物をつくることができるという、とても優れた手法です。



今年うちの事務所ではこの設計手法によって構造計算をする予定の建物が現在のところ2棟あるのですが、今後はこの構造計算手法を主流にして設計していくつもりです。

古民家などの耐震改修でお悩みの方は、下記ページからさとうまでご相談下さい。


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