月別アーカイブ: 2005年7月

兵庫県で古民家再生工事が始まりました

兵庫県龍野(たつの)市で、築約100年の古民家再生のための工事が始まり、昨日現場へ様子を見に行ってきました。
台風が来て大荒れの天気になるのでは?と、朝のうちは気をもみながら車を走らせて行ったのですが、昼過ぎに現場へ着いたころには、もう雨も止んで、晴れ間がのぞいていました。

昨日は、別棟の蔵を解体・撤去したり、不必要な天井・床組み部分を解体・撤去する工事が行われているところでした。

自分の仕事(←ボランティアを除く)として携わる現場としては、久々の古民家ですが、やはりなかなかおもしろいものです。
特に解体作業中は、これまでの家の工事の歴史が一挙に見られるので、大変興味深いです。
一般の方(←建築業関係者以外)は、なかなかこういった現場に立ち会う機会がないと思うので、少し写真を交えてご紹介したいと思います。

(ちなみに、それぞれの写真は小さく表示されていますが、写真をクリックすると別ウィンドウで大きく表示されます。
詳しく見てみたい時にはお試しください。)

最初に、全ての建具を外して、部屋をがらんどうの状態にします。
畳ももちろん上げて、保管場所に移しておきます。
そして壁の上塗り部分をこそげ落としたり、ベニヤ張りの壁・天井なども撤去して、木軸の骨組(←柱・梁など)と土塗り壁だけの状態にします。

次に床をめくっていきます。

古民家ではよくあることですが、床組材である根太(ねだ)とか大引(おおびき)、床束(ゆかづか)など、床下の構造材は人目に触れないため、解体された古材が使われていることが多いです。
上の写真の中でグニャリと曲がっている太い材料(←大引)も、以前は別の場所で使われていた痕跡がありました。

なぜかというと、昔は木材が非常に高価だったため、新しい木材を買ってくるとお金がかかって仕方なかったからです。
近所で家の解体などがあったりすると、材料をもらってきて保管しておき、それを自分の家の建て直しの際に使ったりしていたようです。
人目に触れる柱や梁などには、きれいな新材を使っても、見えない部分の木材には見栄えはよくないが耐久性に問題のない古材を使うというのが一般的でした。

今回のお宅でもご多分に漏れず、床組材はほとんどが解体材を転用したものでした。
解体工事に立ち会っていると、こういう当時の社会情勢や家の歴史を目の当たりにすることができて、とてもおもしろいのです。

この柱は、床下の部分で柱を継いでいたことがわかりました。
これを

【 根継ぎ (ねつぎ) 】

と言います。
この家が建てられたあと、何度か近くを流れる揖保川(いぼがわ)の水害による床下浸水があったようです。
そのせいかどうかはわかりませんが、何らかの事情により、この柱の根元が腐ってしまったので、当時の大工さんが苦労して根継ぎしたのでしょう。

ここにもまた歴史を垣間見ることができます。

解体した木材や廃材を、大工さんが前庭で一枚一枚ていねいに整理してくれていました。
こういう心遣いはとってもうれしいものですね。
今は産業廃棄物処理の際にきちんと分別をしないといけないので、分別はどこでもやっていることなのですが、廃材をきれいに部材別に分けて整理していることは珍しいです。

  『 気は心 』

と言いますが、本当にそうだと思います。
もちろん、僕からも大工さんにきちんとお礼を言って、うれしく感じたこともちゃんと伝えておきました。
僕はこういう小さなコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。

今回の現場では敷地が広いためにこういった整理作業もやりやすかったのですが、なかなかここまできれいにやってくださる工務店は少ないと思います。
本当に感心しました。

大工さん、これからもどうぞよろしくお願いします。

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ボランティアによるかやぶき民家再生プロジェクトの報告


先週末(7/9、10の2日間)、兵庫県赤穂郡にて、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会(以下JMRA)主催イベント

 
【 ボランティアによるかやぶき民家再生プロジェクト~第2回 】
 
が行われました。
2日間で延べ35人(←参加申込希望者多数につき、定員を超えた時点で申込受付を締め切りました)が参加され、基本的に素人(=建築職人ではない人)だけで、2010年完成に向けた、築100年のかやぶき民家再生のためのワークショップを行いました。
ちなみに僕は、JMRA近畿地区運営委員でもあるため、上記このプロジェクトのリーダー(兼、使いッ走り?)として、企画・運営のあらゆる面をサポートさせてもらっています。
(↑このプロジェクトに関する、詳しい事情、これまでの経緯などについては、JMRA・近畿地区ホームページにて詳しく公開していますので、ぜひ一度ご覧下さい)
 
今回は、建物の足元(床下に隠れて見えなくなっている柱の根元部分)の傷み具合を確認することが、一番大きな目的でした。
そのために、既存床組み材(畳・床板・根太・大引など)をすべて解体し、一本一本柱を詳細に調べてまわる、という作業を行ったのです。
調査のための作業は順調に進み、予定通り(というか、みなさんのやる気が非常に高く、予定よりもかなり早く)調査を完了することができました。
ボランティアとして参加・協力してくださったみなさん、本当にありがとうございました。
(後日談ですが、当日の様子をオーナーにご報告したところ、大変喜んでくださっていました)

しかし、実は今回のワークショップには、上記の作業以上に大成功を収めたことがありました。
それは、これまで懐疑的(?)な目で僕たちの活動を

『 あいつら、都会からこんなところまでわざわざやってきて、ナニをやろうとしているんだ?

なんか怪しい集団なんちゃうか?』

と、遠巻きにイロ眼鏡で見ていた近隣地域住民のみなさんが、僕たちの活動に興味を示し、協力してもいいよという態勢に少しずつ傾いてきたということです。

これが何よりもうれしいコトでした。

(地域のみなさん、どうもありがとうございます!)

実はそのために僕たちがナニをしたのか?というと、とても単純なことで、自治会のみなさんが行う、農道の草刈作業を手伝っただけなのです。
本当にただそれだけです。
でも、それで地元のみなさんが僕たちを見る目がすっかり変わったのです!

イベント開催2日目のお昼には、自治会の区長さんが直接足を運んで下さってお礼を行ってくださっただけでなく、缶コーヒーの差し入れまでして下さいました。

(区長さん、ありがとうございます)
帰りがけには、近隣のおばちゃんが
「うちの畑で採れた野菜なんやけど・・・」
と言って、たくさんの新鮮な野菜を差し入れてくださいました。
(おばちゃん、どうもありがとう)

このプロジェクトを通じて、地元住民のみなさんとの間に友好的ないい関係が築き上げていけるように、これからも頑張っていって、

1. 地域のみなさんにも
2. 民家のオーナーにも
3. そしてボランティアで参加してくださっている協力者のみなさんにも

みんなが喜んでハッピーになっていただけるようなプロジェクトにしたいと思っています。

今回のワークショップに参加してくださった皆さんは、どなたも

「とても楽しかった。
次回またぜひ参加したいと思います」

と言って下さいました。
雨が降りしきる中を、雨カッパを着てずぶぬれになりながら草刈作業をしてくださったにもかかわらず、です。
しかも作業の(金銭的な)報酬は一切なし。

現地までの往復の交通費は自己負担。
参加費用も払いながら、という状況でこのような感想をみなさんが口にしてくださるのです。

本当にやってよかったと思いました。
参加してくださったみなさん、本当にどうもありがとうございました。
そして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


左:昼食の風景    右:参加者全員で記念撮影

注 : ここに掲載させて頂いている写真は、上記イベントで献身的な協力をしてくださった、
和歌山県在住のJMRA会員・東さんが写された写真を使わせて頂いています。
東さん、どうもありがとうございました。

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岡山・八塔寺の美しいかやぶき民家集落

 
 
 この日曜日に、岡山県備前市の山中にある、八塔寺(はっとうじ)ふるさと村というところへ行ってきました。
標高400mの山中にひっそりと佇む、十数軒のかやぶき民家がきれいに残されている小さな集落です。
上記の写真はそのうちの一軒ですが、僕の友人・K氏が撮ってくれた写真を使わせてもらっています。
(Kさん、ありがとう)
↑このK氏はなかなかいい写真を撮ります。
 実はこの人、ご自身でもブログを開設しているんですが、サボってばかり
 で全然更新しないので、ここでご紹介するのはやめておきます(笑)。

7/9()、10()の2日間にわたり、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会近畿地区主催イベント、【ボランティアによる、かやぶき民家再生プロジェクト~第2回】を兵庫県赤穂郡で実施したのですが、その現場から車で約30分程度と近いところにこの集落があると聞き、参加者のみなさんと早朝ドライブがてらに初めて訪れました。
(↑上記のプロジェクトについては、近日中にこのブログで改めてご報告したいと思っていますので、お楽しみに)
山の懐に、ぽっかりと取り残された桃源郷のような佇まいは大変美しく、またとっても静かで心が洗われました。

日本各地には、まだまだこのような美しい山村になるポテンシャルを秘めた集落が人知れず残っています。
近畿地方では、奈良県室生、京都府上瀬谷などもその一つです。

美しい景観をつくりあげるのには、長い時間と大変なエネルギーを必要とします。

しかしそれ以上に、それを維持していくことがもっと大変です。
この写真のように、目の前に(休耕田ではない)田んぼが広がる、生活に根ざした美しい景観が、今後も増えつづけていってくれることを願ってやみません。
自分もその一助となるようにがんばっていこう、と思いを新たにして八塔寺を後にしました。

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気持ちのいい買い物

うちの近所には、2軒の自転車屋さんがあります。

 

1軒は、こぎれいな大手自転車チェーン店

もう1軒は、なんかあまり冴えない町の小さな自転車屋さん。

 

 

 

昨日、愛車(←もちろん自転車です)を修理に出しました。
5年もまともにメンテナンスせずに乗っていたので、いろんなところにガタがきていて、もう大変です。

ブレーキは常に効いている(←走っている最中も)し、ギアは入れ替えできないし、タイヤはへなへなに歪んでるし、サドルとグリップは破れてるし。


とにかく、駅から帰る道すがら、まず大手チェーン店に立ち寄りました。
キレイなユニフォームを着た、若いお兄ちゃんが自転車を見てくれました。

しかし、このヒトの言うことが、どうも頼りないのです。

物言いも歯切れが悪いし、根拠がはっきりしません。
しかも、見積もりをする時に、レジカウンターにひじをついて、見るからにだるそうな姿勢(←本人はわざとやっているわけではないと思いますが)で計算するのです。
もういやになって、「また来ます」と言って帰りました。



次に、年老いたおっちゃんが油まみれになりながら一人でやっている店に行きました。
着くといきなり、「兄ちゃん、これ開けられへんか?」と筍の水煮が入ったビンを差し出されました。

どうも近所のおばちゃんが開けられずに、困っておっちゃんのところへ持ってきたようなのです。

なんでそれが俺のとこへ回ってくんねん(←突っ込みモード・笑)、と思いつつ、なんとかおっちゃんと2人で苦労して開けてあげました。

無事ひと仕事終わった後で、ようやくおっちゃんに本題を切り出すと、このおっちゃんが非常に的確な言い方をするのです。



 

「このワイヤーはあかんけど、こっちのワイヤーはまだ使えるから替えんでエエ。チェーンもまだ大丈夫。ブレーキシューとタイヤはあかんなぁ。」



と。
結局見積もり金額の合計はおっちゃんの店の方がちょっとだけ高いようにも感じましたが、もう即決でおっちゃんに修理を頼んできました。
おっちゃんに頼んで、僕はとてもすがすがしい気持ちになりました。



以前、本で読んだことがあります。
お金を使う(=買い物をする)時、人はみな楽しい気分になりたいのだそうです。
また、人間の感情は、相手が自分に対してしゃべった言葉の内容もさることながら、その時の声のトーンや言い方(抑揚・アクセントなど)に大きく左右されるのだそうです。

いくら安くても店員さんの態度が悪い店や、味は美味しくても愛想が悪い飲食店での食事は楽しくないし、気持ちよくお金を払えないですよね。
あなたはそんな風に感じることってないですか?

自分もクライアントのみなさんに気持ちよくお金を使ってもらえて、満足してもらえるように気をつけよう、と改めて強く思いました。
(↑何もクライアントだけに限った話ではありませんが)

製図スタイルを3次元へ

まだ具体的にどうするかは決めていませんが、今後は設計図の表現を
これまでの平面的な2次元のスタイル

立体的な3次元のスタイル
に変えていこうと考えています。

これまでは、プレゼンテーションの段階でのみ、立体的な3次元の図面を使ってクライアントのみなさんにご説明をしてきました。
今後ももちろん、必要に応じて2次元の図面は平行して使っていきますが、実施設計と呼ばれる詳細図を描く段階において、積極的に3次元の図面を用いていこうと思うのです。

理由は簡単。

3次元的な表現を用いた図面の方が、一般のクライアント(建築主)のみなさんにとって、よりわかりやすい図面となるからです。
まだまだ試行錯誤を重ねていく段階なので、いろんな不都合が出てくるかもしれませんが、

【 誰にとっても理解しやすい 】
ということに重点を置いて考えていきたいと思います。

建築の世界では、詳細な設計図においては2次元が主流です。
しかしそれはなぜかというと、

【 図面を見る人=現場で施工する人←職人さんにわかればよい 】
という暗黙の了解があったからです。
(まぁ、理由はそれだけではありませんが・・・)
しかしよく考えてみると、一番大事なクライアントにとっては判りにくい(=同意を得られにくい)表現(=図面)であるという、ねじれた構造になっています。

僕ら建築家にとって、図面というのは最も重要なコミュニケーションツールです。
コミュニケーションの原則は、

【 お互いの意思が通じること 】
のはずです。
いくら内容が素晴らしく高尚なものであっても、表現が難解で理解できない本や絵画は感動を生まないのと同じように、クライアントにとって難解な図面はどこかおかしいと思うのです。

と、そんなことをつらつらと考えながら、日々図面を描いています。

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思わず買ってしまいました!

静岡茶

昨日、現場へ行く前に立ち寄ったセブンイレブンでこれを発見し、

「おお~っ!」

と、つい買ってしまいました。
なぜなら僕は静岡出身だからです(笑)。

静岡県以外に住んでいる静岡県出身者の方も、きっと同じ思いでこの商品を見ていらっしゃる方がいることかと思います。
最近、マーケティングの世界ではブランディング戦略ということが盛んに叫ばれていて、
僕自身も

【 木造建築家 】

というカテゴリーでブランディングをしようと目論んでいる一人です(笑)が、やはりお茶の世界で静岡は認知度が高いブランドなんですよね。
このネーミング「自然がおいしい静岡茶」の商品が全国区で販売されているという事実に、とても嬉しく感じてしまいました。

<おまけ~おいしい水出し煎茶の作り方>
さて、ついでに今日は水出し煎茶の作り方をご紹介しておきます。
時間がかかりますが、とっても簡単でおいしいお茶の淹れ方です。
夏には最適ですので、ぜひ一度お試しください。

【必要な材料】 お茶の葉20g、おいしい水、1リットルの容器、お鍋
① お鍋に水1リットルを入れます
② そこへお茶の葉を20g入れます
③ 鍋ごと冷蔵庫へ入れます
④ 約3時間経ったら取り出して、茶漉しで茶葉を取除いて容器に移せば
できあがりです。

ポイント・・・お茶の葉20gとは、だいたい茶さじ6杯分です。
ポイントその2・・・絶対にかきまぜたりしないこと
かき混ぜたりすると、渋みがでてきます

↑ 茶さじ一杯はこんな感じ

水出し煎茶の利点は、
① 2~3日くらいなら日持ちして変色もしない
② 淹れるときに高い温度をかけないので、お茶の渋みが
出にくく、甘味と香りを引き出してくれる
の2点です。

ぜひ一度お試しください。

海水から夢のエネルギー

6/29の朝刊に大変興味をひかれた記事がありました。
フランス・カダラッシュ(←マルセイユの近くらしい)に、核融合によってエネルギー取り出すための実験炉を建設されることが決まったというものです。
ナンダカムズカシソウ・・・と思っていぶかしげに読み進めると、ナント!海水中に無尽蔵に存在する重水素(※)という物質約1グラムから、石油76リットル分に相当するエネルギーが取り出せるという核融合実験を行うための施設だというのです!
 
 「す、すごい・・・。」

しかも核エネルギーのように放射能汚染の危険性も非常に少ないクリーンなエネルギーで、さらに地球温暖化の原因となっているCO2(二酸化炭素)も発生させないという、まさに夢の次世代エネルギー。

ところで核融合ってナニ・・・? と思いますよね?
実は、あなたの身近にも核融合エネルギーが存在します。
太陽がそれです。
太陽のように自分で発光している星を恒星(こうせい)と呼ぶのです(←地球は惑星)が、恒星は自身の内部で核融合反応を起こして、光・熱などのエネルギーを発生させているのだそうです。

つまり、上記のこれからフランスで建設されようとしている施設では、イメージ的に小さな太陽みたいなものを作ってそこから安全な電気を取り出そうとしているのです。

今世紀中にはこのエネルギーが実用化されるとのことで、EU(50%出資)、日本、米国、韓国、中国、ロシア(各国10%出資)が共同で施設の建設・運営を行うようです。

いやぁ、実用化が待ち遠しいですね。
この技術が実用化されると、地球のエネルギー問題は一挙に解決するほどのすごい革新だそうです。
新しい科学技術にはいつも夢を感じますね。

(※)重水素とは・・・通常の水素の2倍の質量をもつ水素。別名 トリチウム。アニメ・宇宙戦艦ヤマト完結編の最後のシーンで、艦内にトリチウムを満載して波動砲(はどうほう←核融合エネルギー)を自艦内で爆発させ、トリチウムとの核融合反応によって、惑星アクエリアス(だったかな?)からの水が地球に及んで水没するのを防ぐ、という設定だったのを思い出しました。

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